【No.16】
混和材をセメントの一部に置換して用いる場合に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)高炉スラグ微粉末は,潜在水硬性によって,コンクリートの強度発現に寄与する。
(2)シリカフュームは,マイクロフィラー効果およびポゾラン反応によって,コンクリートを緻密にする。
(3)石灰石微粉末は,高い化学的活性によって,長期的にコンクリート強度を増進させる。
(4)膨張材は,エトリンガイトまたは水酸化カルシウムの結晶を生成することによって,コンクリートを膨張させる。
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正解は(3)
【解説】
(1)〇正しい。高炉スラグ微粉末は,水酸化カルシウムや硫酸塩などの作用により反応する潜在水硬性を有しています。そのため,組織を緻密にし長期材齢において強度が増進します。
(2)〇正しい。シリカフュームは,比表面積やガラス含有量が大きいためにポゾラン反応性が高く,また超微粉末であるためマイクロフィラー効果を有しています。そのため,シリカフュームを混入すると,毛細管空隙が減少されコンクリートが緻密となります。
(3)×誤り。石灰石微粉末は,石灰石を微粉砕したもので,主成分はCaCO3(カルサイト)です。主に材料分離抵抗性の向上や作業性の確保あるいは水和熱低減を目的に利用される場合が多く,コンクリートの長期的な強度増進の効果は有していません。
(4)〇正しい。膨張材の膨張作用は,膨張材の粒子表面から生成されるエトリンガイトや水酸化カルシウムにより生じるものです。
【No.17】
混和材料とコンクリートの体積変化との関係に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)AE剤により連行される微細な空気泡には,コンクリートの乾燥収縮を低減する効果がある。
(2)収縮低減剤には,コンクリートの乾燥収縮を低減する効果のほかに,自己収縮を低減する効果もある。
(3)膨張材によるコンクリートの膨張作用は,けい酸カルシウム水和物の結晶を生成することで生じる。
(4)シリカフュームを混入したコンクリートの自己収縮は,無混入のものより小さい。
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正解は(2)
【解説】
(1)×誤り。AE剤あるいはAE減水剤の使用により,コンクリートの単位水量が減少することによって乾燥収縮は低減します。AE剤・AE減水剤の作用によって連行される独立した微細な空気泡自身には,乾燥収縮を低減する効果はありません。
(2)〇正しい。収縮低減剤を使用すると硬化体空隙中の水の表面張力が低下し,水の逸散蒸発に伴う毛細管張力が小さくなります。そのため,自己収縮や乾燥収縮が小さくなります。自己収縮は,セメントの水和により凝結以後に生じる体積減少です。
(3)×誤り。膨張材の膨張作用は,膨張材の粒子表面から生成されるエトリンガイトや水酸化カルシウムにより生じるものです。
(4)×誤り。シリカフュームを混入すると,コンクリートが緻密となり細孔径が小さくなります。そのため,空隙に発生する毛細管張力が大きくなり,自己収縮が無混入のものより大きくなります。
【No.18】
AE剤の使用量を一定としたコンクリートの空気量に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)使用するセメントの粉末度が大きいと,空気は連行されやすくなる。
(2)コンクリートの温度が高いと,空気は連行されやすくなる。
(3)細骨材率が大きいと,空気は連行されにくくなる。
(4)回収水中のスラッジ固形分量が多いと,空気は連行されにくくなる。
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正解は(4)
【解説】
(1)×誤り。粉末度の大きいセメントを使用するとコンクリートの粘性が大きくなるので,空気が連行されにくくなります。
(2)×誤り。コンクリートの温度が高くなるとコンクリートの粘性が大きくなるので,空気は連行されにくくなります。
(3)×誤り。コンクリートの細骨材率が大きくなるとモルタル分が多くなるので,AE剤の使用量が同一の場合,空気は連行されやすくなります。
(4)〇正しい。スラッジ固形分が多くなると微粒分か多くなるので,AE剤がその微粒分に吸着され,空気は連行されにくくなります。
【No.19】
普通ポルトランドセメントの一部を混和材で置換したコンクリートの性質に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)50%を高炉スラグ微粉末4000で置換すると,長期強度が高くなる。
(2)50%を高炉スラグ微粉末4000で置換すると,中性化速度が速くなる。
(3)20%をフライアッシュⅡ種で置換すると,初期強度が高くなる。
(4)20%をフライアッシュⅡ種で置換すると,水密性が向上する。
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正解は(3)
【解説】
(1)〇正しい。JIS A 6206-1997(コンクリート用高炉スラグ微粉末)に適合した品質のものを使用すると,コンクリートの長期強度の増進,水密性を高め塩化物イオン等のコンクリート中への浸透の抑制,硫酸塩や海水に対する化学抵抗性の改善,アルカリシリカ反応の抑制,高強度を得ること等,優れた効果をもたらします。これらの効果は,高炉スラグ微粉末の粉末度,置換率,単位結合材量等によって異なります。高炉スラグ微粉末は,粉末度を主体に高炉スラグ微粉末4000, 6000および8000の3種類あり,使用目的に応じて種類や置換率を選定することが必要です。高炉スラグ微粉末4000を50%置換すると長期強度が高くなります。
(2)〇正しい。高炉スラグ微粉末4000を50%置換すると,潜在水硬性により水酸化カルシウムが消費されるため,置換しない同一の水結合材比のコンクリートより中性化速度は速くなります。
(3)×誤り。JIS A 6201-1999(コンクリート用フライアッシュ)は,粉末度と強熱減量を主体に,Ⅰ種,Ⅱ種, Ⅲ種,Ⅳ種があり,使用目的に応じて種類や置換率を選定する必要があります。フライアッシュの使用効果は,流動性の向上,水和熱による温度上昇の抑制,アルカリシリカ反応の抑制,硫酸塩や海水に対する化学抵抗性の向上等があげられます。Ⅱ種を20%置換して用いた場合,水和熱の抑制に効果がありますが,初期強度は低くなります。
(4)〇正しい。Ⅱ種を20%置換して用いた場合,コンクリートの水密性は,十分な強度が確保された段階になると,置換しないコンクリートと同等以上となります。
【No.20】
コンクリートの性能を改善するために使用する混和材料に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)凍結融解作用を受けるコンクリートのスケーリングを抑制するため,AE剤を使用した。
(2)高流動コンクリートの流動性とスランプ保持性能を確保するため,高性能減水剤を使用した。
(3)乾燥収縮によるひび割れを抑制するため,膨張材を使用した。
(4)マスコンクリートの水和熱の発生を緩和するため,フライアッシュを使用した。
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正解は(2)
【解説】
(1)〇正しい。AE剤を用いるとコンクリート中に微細な気泡(エントレインドエア)が連行し凍結融解抵抗性が改善され,スケーリングが抑制されます。
(2)×誤り。高性能減水剤は,高い減水性能を有しているのでコンクリートの流動性は向上しますが,スランプ保持性能は劣るので高流動コンクリートには適用されません。スランプ保持を確保する場合には,高性能AE減水剤を用います。
(3)〇正しい。乾燥収縮の低減効果のある混和材料として,膨張材の使用,収縮低液剤の使用,収縮低減タイプ高性能AE減水剤等があげられます。
(4)〇正しい。フライアッシュはポゾラン反応を有しているので,長期強度の増進効果があります。また,水和熱の抑制を目的としてダムコンクリートやマスコンクリートに用いられます。