WES試験対策(1級) 問題と解説 No.11~15
このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。
【No.11】 熱切断方法
熱切断方法に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)板厚150mmの低合金鋼は、一般的に、ガス切断によって切断する。
(2)板厚2mmの軟鋼の高速、精密切断は、一般的に、プラズマ切断によって切断する。
(3)板厚75mmのステンレス鋼は、一般的に、ガス切断によって切断する。
(4)板厚30mmのアルミニウム合金は、一般的に、レーザ切断によって切断する。
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誤っている選択肢は (2)、(3)、(4)
【解説】
(1)正しい。ガス溶断は、鋼材切断方法の中でも厚板に適した切断方法です。ガス溶断は厚板、極厚板であれば高精度に加工することが可能です。
(2)誤り。レーザ切断は工作物が薄ければ薄いほど高速切断が可能で 、板厚が薄いほど精度は上がります。切断限界の厚みとしては、一般的に30mm程度です。2mm以下の厚みであれば、ほとんどの金属を切断することが出来ます。
(3)誤り。ステンレス鋼は、ガス切断には不向きです。ガス切断は、酸素と金属の酸化反応を利用して切断するため、ステンレス鋼のように酸化しにくい金属には適していません。ステンレス鋼を切断する場合は、プラズマ切断やレーザ切断などの方法が用いられます。板厚が30mmを超えるような場合は、高エネルギーのプラズマ切断が適しています。
(4)誤り。アルミニウムは鉄やステンレスに比べ、レーザ光の反射率が高く、切断中にレーザ光を反射してしまう可能性があります。加工ノズルから照射されたレーザ光がアルミニウム鋼板で反射されると、加工レンズを破損する可能性があるため、アルミニウム合金の切断にはプラズマ切断が適しています。なお、アルミニウムは、ガス炎で加熱されると酸素と反応して、酸化アルミニウムという極めて融点の高い物質に変化するため、ガス切断も適していません。
【No.12】 切断方法
切断方法に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)鉄筋コンクリートは、一般的にガス切断によって切断する。
(2)建築構造用圧延鋼材、SN材のB種とC種にあって、A種に規定されていない元素は炭素とリンである。
(3)建築構造用圧延鋼材、SN材のC種にあって、B種に規定されていないのは、板厚方向の絞りおよび溶接割れ感受性組成である。
(4)建築構造用圧延鋼材、SN材のB種とC種にあって、溶接構造用圧延鋼材、SM材のB種とC種にない規定は炭素当量である。
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誤っている選択肢は (1)、(2)、(4)
【解説】
(1)誤り。鉄筋コンクリートは、一般的に、アグレシブウォータージェット切断で切断します。
(2)誤り。建築構造用圧延鋼材、SN材のB種とC種にあって、A種に規定されていない元素はマンガンとケイ素です。
(3)正しい。建築構造用圧延鋼材、SN材のC種にあって、B種に規定されていないのは、板厚方向の絞りおよび溶接割れ感受性組成である。
(4)誤り。建築構造用圧延鋼材、SN材のB種とC種にあって、溶接構造用圧延鋼材、SM材のB種とC種にない規定は伸びです。
【No.13】 鋼材の化学成分
鋼材の化学成分に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)耐候性鋼材において、耐候性を高めるために添加される元素は、マンガンとニッケルである。
(2)9%ニッケル鋼は、低温用途には使われない。
(3)オーステナイト系ステンレス鋼は、低温用途に使われる。
(4)アルミニウム合金は、低温用途に使われる。
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誤っている選択肢は (1)、(2)
【解説】
(1)誤り。耐候性鋼材において、耐候性を高めるために添加される元素は、銅とクロムです。
(2)誤り。9%ニッケル鋼は、主に液化天然ガス、LNGの貯蔵タンクなど、極低温環境で使用される特殊鋼です。高い強度と靭性を持ち、特に低温での脆性破壊に対する抵抗力が優れていることが特徴です。
(3)正しい。オーステナイト系ステンレス鋼は低温においても脆性破壊を起こしにくく、かつ適当な強度を有することから、低温用途に使われます。
(4)正しい。アルミニウムは鉄鋼などと違って、マイナス196℃の液体窒素などの極低温下でも脆性破壊がなく、靭性が大きいのが特長です。
【No.14】 鋼材の用途
鋼材の用途に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)9%クロム、1%モリブデン鋼は、低温用途に使われる。
(2)アーク溶接部の断面の硬さ分布について、溶接ビードと熱影響部の間の溶接境界線付近において最も硬くなる。
(3)熱影響部で硬さが最高となる溶接境界部付近の領域は、粒状化域と呼ばれる。
(4)熱影響部の最高硬さに影響を及ぼす主な因子として、母材の化学組成と、800から500℃の冷却時間が挙げられる。
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誤っている選択肢は (1)
【解説】
(1)誤り。9%クロム、1%モリブデン鋼は、火力発電所などの高温高圧環境で使用される耐熱鋼の一種です。
(2)正しい。アーク溶接部の断面の硬さ分布について、溶接ビードと熱影響部の間の溶接境界線付近において最も硬くなります。
(3)正しい。熱影響部で硬さが最高となる溶接境界部付近の領域は、粒状化域と呼ばれます。粒状化域とは、溶接によって母材が加熱され、組織が変化した部分のうち、特に粗大化した結晶粒を持つ領域のことです。
(4)正しい。熱影響部の最高硬さに影響を及ぼす主な因子として、母材の化学組成と、800から500℃の冷却時間が挙げられます。
【No.15】 クロムモリブデン鋼
クロムモリブデン鋼に関する問題で、誤っているものはどれか。
(1)クロムモリブデン鋼は、ボイラーに適用される。
(2)クロムモリブデン鋼溶接接手は、溶接後熱処理される。その目的は、溶接部残留応力の緩和、組織改善による硬さ低減、えん性と靭性の回復、水素除去である。
(3)クロムモリブデン鋼の溶接後熱処理の種類には、後熱処理(プレヒート)と溶接後熱処理(ポストヒート)があり、プレヒートは溶接後、550℃~750℃程度に加熱し、硬化組織を軟化させ、残留応力を除去する目的で行われる。
(4)クロムモリブデン鋼溶接接手に溶接後熱処理を行うと、溶接止端部から割れを生じる場合がある。これを再熱割れといい、熱影響部の粗粒化域で生じる粒界割れにより生じる。
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誤っている選択肢は (3)
【解説】
(1)正しい。クロムモリブデン鋼は、高温高圧環境で使用される耐熱鋼の一種ですボイラーに適用されます。
(2)正しい。クロムモリブデン鋼溶接接手は、溶接後熱処理されます。その目的は、溶接部残留応力の緩和、組織改善による硬さ低減、えん性と靭性の回復、水素除去です。
(3)誤り。プレヒートは溶接直後に、250℃~350℃程度に加熱し、拡散性水素を逃散させ、硬化を軽減する目的で行われます。
(4)正しい。クロムモリブデン鋼溶接接手に溶接後熱処理を行うと、溶接止端部から割れを生じる場合がある。これを再熱割れといい、熱影響部の粗粒化域で生じる粒界割れにより生じます。