【社会資本ストック】について覚えやすく<技術士試験学習記録1>

<社会資本ストックとは?>

国や自治体などの公的な機関により整備された、交通網、上下水道、公園といった国民の生活の質を向上させるための社会資本のことを言います。

<社会資本のストック効果とフロー効果>

ーストック効果ー

日本では、高度経済成長期移項、インフラ整備が進められてきました。これは、交通網や下水道等を整備することで、以下の効果が得られるためです。

・生活の質の向上
・衛生状態の改善
・安全性の向上(耐震性の向上、水害リスクの低減)
・生産性向上(移動・輸送時間の短縮等)

これらをストック効果と呼び、整備された社会資本が機能することで中長期的に得られるメリットのことを言います。

ーフロー効果ー

インフラ整備のその多くは、公共投資の事業として行われます。規模も大きく費用も高額なため、以下のような効果を得られます。

・経済活動の活性化(生産、雇用)
・消費の活性化

フロー効果は、短期的に経済全体を拡大させる効果があると言われています。

ストック効果=中長期的な効果
フロー効果=短期的な効果

日本の高度経済成長期:1954年(昭和29年)12月(日本民主党の第1次鳩山一郎内閣)~
1970年(昭和45年)7月(自民党第3次佐藤内閣)まで

まずはグラフの線の説明ですが、図まで読み飛ばしても構いません。気になる方だけ読んでください。

粗資本ストック:現存する固定資産について、評価時点で新品として調達する価格で評価した値
純資本ストック:粗資本ストックから供用年数の経過に応じた減価(物理的減耗、陳腐化等による価値の減少)を控除した値
生産的資本ストック:粗資本ストックから供用年数の経過に応じた効率性の低下(サービスを生み出す能力量の低下)を控除した値

図1.ストック推計結果の推移

図2.粗資本ストックの部門別内訳(2014年度)

出典:内閣府ホームページ (https://www5.cao.go.jp/keizai2/ioj/index.html)

図1を見ると、高度経済成長期が始まった1954年から徐々に社会資本ストックが増えていることが分かります。

図2の社会資本ストックの内訳を確認すると『コンクリート関連』が多くを占めることが分かります。多い順に並べてみると下表のようになります。主要項目だけ抜き取っても、ざっくり7割以上がコンクリートに関係していることが分かります。

項目 割合
道路 35.3%
下水道 10.3%
治水 10.1%
港湾・航空・鉄道・地下鉄等 5.4%
公共賃貸住宅 5.3%
学校施設 6.3%
合計 72.7%

ここで、コンクリート構造物のメンテナンスサイクルは約60年と言われています。現在は2020年なので、60年前というと1960年ということになります。1960年の社会ストックは、グラフを見るとちょうど50兆円前後です。そして問題なのが、社会資本ストックの増加率が上がっていくのもちょうど1960年頃であるという点です。あと5年もすると倍の100兆円程度になることがグラフからわかります。

<社会資本ストックに関する課題>

今後(現在)日本社会で①少子高齢化・人口減少②地方の過疎化が進む中で、社会資本ストックに関する課題は以下のようなものが挙げられます。

選択と集中
・ストック効果の最大化
・メンテナンスを考慮したマネジメントサイクルの構築
・廃棄・使用停止措置

ICT技術の活用>
・点検・診断技術の省力化
・インフラデータの活用

民間活用
・国や地方自治体の事業ではあるものの、維持・管理に民間の力を借りる
=PPP/PFI

※PPP:パブリック・プライベート・パートナーシップ=公民連携
※PFI:プライベイト・ファイナンス・イニシアティブ

今回の学習記録(記録1)はここまでです。次回はPFIついて、詳しく書きたいと思っています。以上

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