【宅建過去問】権利関係ー物権変動、抵当権No.71-75

宅建士

【No.71】

不動産の登記に関する次の記述のうち,不動産登記法の規定によれば,誤っているものはどれか。
(1)新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は,その所有権の取得の日から1月以内に,所有権の保存の登記を申請しなければならない。
(2)登記することができる権利には,抵当権及び借地権が含まれる。
(3)建物が滅失したときは,表題部所有者又は所有権の登記名義人は,その滅失の日から1月以内に,当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。
(4)区分建物の所有権の保存の登記は,表題部所有者から所有権を取得した者も,申請することができる。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。所有権の保存の登記は権利に関する登記であるため申請義務はありません。したがって,新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得したとしても,その所有権の取得の日から1ヵ月以内に所有権の保存の登記を申請する必要はありません。
(2)○正しい。抵当権,賃借権は登記することができる権利です。
(3)○正しい。建物が滅失したときは,表題部所有者又は所有権の登記名義人は,その滅失の日から1ヵ月以内に,当該建物の滅失の登記を申請しなければなりません。
(4)○正しい。区分建物にあっては,表題部所有者から所有権を取得した者も,所有権保存の登記を申請することができます。

【No.72】

不動産の仮登記に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1)仮登記の申請は,仮登記義務者の承諾があるときは,仮登記権利者が単独ですることができる。
(2)仮登記の申請は,仮登記を命ずる処分があるときは,仮登記権利者が単独ですることができる。
(3)仮登記の抹消の申請は,その仮登記の登記識別情報を提供して登記上の利害関係人が単独ですることができる。
(4)仮登記の抹消の申請は,仮登記名義人の承諾があるときは,登記上の利害関係人が単独ですることができる。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。仮登記の申請は,仮登記義務者の承諾があるときは,仮登記権利者が単独ですることができます。
(2)○正しい。仮登記の申請は,仮登記を命ずる処分があるときは,仮登記権利者が単独ですることができます。
(3)×誤り。仮登記の抹消の申請は,その仮登記の登記識別情報を提供して登記上の利害関係人が単独ですることができません。仮登記の抹消の申請は,申請情報とあわせて登記識別情報を提供して,仮登記名義人が単独で行うことができます。利害関係人が,単独で申請できるわけではありません。
(4)○正しい。仮登記の抹消の申請は,仮登記名義人の承諾があるときは,登記上の利害関係人が単独ですることができます。

【No.73】

不動産の仮登記に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
(1)仮登記は,登記の申請をするために登記所に対し,申請情報とあわせて提供しなければならない情報を提供できない場合に限り,申請することができる。
(2)仮登記の申請に仮登記義務者が協力しない場合には,仮登記権利者は,仮登記手続きを求める訴えを提起し,勝訴判決を得たときでなければ,単独で仮登記の申請をすることができない。
(3)抵当権設定の仮登記に基づき本登記を申請する場合に,その本登記について登記上利害関係を有する第三者があるときは,当該第三者の承諾がなければ,当該本登記を申請することができない。
(4)仮登記の抹消は,仮登記名義人の承諾がある場合には,仮登記義務者が単独で申請することができる。
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正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。仮登記は,所有権等の権利の設定,移転,変更,消滅に関して請求権を保全しようとする場合にも申請することができます。
(2)×誤り。仮登記の申請は,仮登記義務者の承諾があるとき,及び,仮登記を命ずる処分があるときは,仮登記権利者が単独で申請することができます。
(3)×誤り。第三者の承諾がなくても,本登記を申請できます。所有権以外の権利に関する仮登記に基づき本登記を申請する場合には,所有権とは異なり,同一不動産上に2個以上の権利が併存することが可能なので,承諾書等を添付する必要がありません。
(4)○正しい。仮登記の抹消は,仮登記名義人の承諾がある場合には,登記上の利害関係人が単独で申請することができます。仮登記義務者は,ここでいう利害関係人にあたります。

【No.74】

不動産の登記に関する次の記述のうち,不動産登記法の規定によれば,誤っているものはどれか。
(1)登記事項証明書の交付の請求は,利害関係を有することを明らかにすることなく,することができる。
(2)土地所在図,地積測量図,地役権図面,建物図面及び各階平面図を除く登記簿の附属書類の閲覧の請求は,請求人が利害関係を有する部分に限り,することができる。
(3)登記事項証明書の交付の請求は,請求情報を電子報処理組織を使用して登記所に提供する方法によりすることができる。
(4)筆界特定書の写しの交付の請求は,請求人が利害関係を有する部分に限り,することができる。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。何人も登記官に対し,手数料を納付して,登記事項証明書の交付を請求することができます。この場合に,利害関係を明らかにしなければならないとする規定はありません。
(2)○正しい。何人も,登記官に対し,手数料を納付して,登記簿の附属書類の閲覧を請求することができます。ただし,土地所在図,地積測量図,地役権図面,建物図面及び各階平面図以外のものについては,諂求人が利害関係を有する部分に限られます。
(3)○正しい。登記事項証明書の交付の請求は,請求情報を電子情報処理組織を使用して登記所に提供する方法によりすることができます。
(4)×誤り。利害関係を有する部分という限定はありません。何人も,登記官に対し,筆界特定手続き記録のうち筆界特定書の写しの交付を請求することができます。この場合に,請求人が利害関係を有する部分に限るという規定はありません。

【No.75】

物上代位に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。なお,物上代位を行う担保権者は,物上代位の対象とする目的物について,その払渡し又は引渡しの前に差し押さえるものとする。
(1)Aの抵当権設定登記があるB所有の建物の賃料債権について,Bの一般債権者が差し押さえをした場合には,Aは当該賃料債権に物上代位することができない。
(2)Aの抵当権設定登記があるB所有の建物の賃料債権について,Aが当該建物に抵当権を実行していても,当該抵当権が消滅するまでは,Aは当該賃料債権に物上代位することができる。
(3)Aの抵当権設定登記があるB所有の建物が火災によって焼失してしまった場合,Aは,当該建物に掛けられた火災保険契約に基づく損害保険金請求権に物上代位することができる。
(4)Aの抵当権設定登記があるB所有の建物について,CがBと賃貸借契約を締結した上でDに転貸していた場合,Aは,CのDに対する転貸賃料債権に当然に物上代位することはできない。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。抵当権者の物上代位は,設定登記後の一般債権者の差し押さえに優先します。債権について一般債権者の差し押さえと抵当権者の物上代位権に基づく差し押さえが競合した場合には,両者の優劣は一般債権者の申し立てによる差し押さえ命令の第三債務者への送達と抵当権設定登記の先後によって決せられます。Aは一般債権者に優先して物上代位をすることができます。
(2)○正しい。目的不動産に対して抵当権が実行されている場合でも,右実行の結果抵当権が消滅するまでは,賃料債権に対しても抵当権を行使することができます。Aは賃料偵権に対して物上代位することができます。
(3)○正しい。火災保険金請求権についても,物上代位が認められています。Aの抵当権は,火災保険契約に基づく損害賠償請求権に対しても行使することができます。
(4)○正しい。抵当権は,抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当する場合を除き,賃借人が取得すべき転貸賃料債権について,物上代位権を行使することはできません。Aは,CのDに対する転貸賃料債権について,原則として,物上代位を行うことはできません。
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