【宅建過去問】権利関係ー弁済、売主の担保責任No.36-40

宅建士

【No.36】

AのBからの借入金100万円の弁済に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
(1)AのBからの借入金100万円の弁済に関して,Aの兄Cは,Aが反対しても,Bの承諾があれば,Bに弁済することができる。
(2)AのBからの借入金100万円の弁済に関して,Aの保証人DがBに弁済した場合,Dは,Bの承諾がなくてもBに代位することができる。
(3)AのBからの借入金100万円の弁済に関して,B名義の領収証をEが持参したので,AがEに弁済した場合において,Eに受領権限がなくても,Aが過失無くしてその事情を知らなかったときは,Aは,免責される。
(4)AのBからの借入金100万円の弁済に関して,Aは,弁済に当たり,Bに対して領収証を請求し,Bがこれを交付しないときは,その交付がなされるまで弁済を拒むことができる。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。利害関係を有しない第三者は,債務者の意思に反して弁済することができません。利害関係とは,抵当不動産の第三取得者のように,弁済をすることによって,法律上,責任を免れたり,権利を保全したりすることができる関係をいい,単に債務者の兄弟であるというだけでは利害関係があるとはいえません。
(2)○正しい。弁済をするにつき正当な利益を有する者は,弁済によって当然に債権者に代位します。保証人は弁済をすれば保証債務を免れるから,弁済をするにつき正当な利益を有します。
(3)○正しい。弁済者が善意無過失で受取証書、領収証の持参人に弁済した場合,たとえその者が受領権限を有しない者であっても,弁済は有効となります。
(4)○正しい。弁済者は弁済受領者に対して受取証書の交付を請求することができます。そして,弁済者は,弁済受領者が受取証書を交付しないときは,弁済を拒むことができます。

【No.37】

Aが,Bに対して不動産を売却し,所有権移転登記及び引渡しをした場合のBの代金の弁済に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
(1)Aが,Bに対して不動産を売却し,所有権移転登記及び引渡しをした場合のBの代金の弁済に関し,Bの親友Cが,Aに直接代金の支払いを済ませても,それがBの意思に反する弁済である場合には,Bの代金債務は消滅しない。
(2)Aが,Bに対して不動産を売却し,所有権移転登記及び引渡しをした場合のBの代金の弁済に関し,Aが,Bに対し代金債権より先に弁済期の到来した別口の貸金債権を有する場合に,Bから代金債権の弁済として代金額の支払いを受けたとき,Aは,Bの意思に反しても,代金債権より先にその貸金債権に充当することができる。
(3)Aが,Bに対して不動産を売却し,所有権移転登記及び引渡しをした場合のBの代金の弁済に関し,Bが,「AからDに対して代金債権を譲渡した」旨記載された偽造の文書を持参した代金債権の準占有者Dに弁済した場合で,Bが善意無過失であるとき,Bは,代金債務を免れる。
(4)Aが,Bに対して不動産を売却し,所有権移転登記及び引渡しをした場合のBの代金の弁済に関し,Bの友人Eが,代金債務を連帯保証していたためAに全額弁済した場合,Eは,Aの承諾がないときでもAに代位する。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。利害関係を有しない第三者は,債務者の意思に反して,弁済をすることができません。ここでいう利害関係とは,弁済についての法律上の利害関係をいいます。Bの親友であるCは,弁済について法律上の利害関係を有しないので,Bの意思に反して弁済をすることはできません。したがって,Cが弁済しても,Bの代金債務は消滅しません。
(2)×誤り。Aは債務者Bの意思に反して弁済の充当はできません。債務者が同一の債権者に対して数個の金銭債務を負担する場合において,債務者が弁済として提供した金銭の額が,すべての債務を消滅させるのに足りないときには,当事者の合意がない限り,債務者が,弁済の時に弁済を充当する債務を指定することができます。
(3)○正しい。債権の準占有者に対して,弁済者が善意無過失でなした弁済は,有効となります。したがって,Bが善意無過失で弁済している場合,Bの弁済は有効となり,Bは,代金債務を免れます。
(4)○正しい。弁済をする正当の利益を有する者が弁済をした場合,その者は,債権者の承諾がなくても,当然に債権者に代位します。そして,連帯保証人は,弁済をする正当の利益を有する者にあたります。

【No.38】

弁済に関する次の記述のうち,判決文及び民法の規定によれば,誤っているものはどれか。
(1)借地人が地代の支払いを怠っている場合,借地上の建物の賃借人は,借地人の意思に反しても,地代を弁済することができる。
(2)借地人が地代の支払いを怠っている場合,借地上の建物の賃借人が土地賃貸人に対して地代を支払おうとしても,土地賃貸人がこれを受け取らないときは,当該賃借人は地代を供託することができる。
(3)借地人が地代の支払いを怠っている場合,借地上の建物の賃借人は,土地賃貸人の意思に反しても,地代について金銭以外のもので代物弁済することができる。
(4)借地人が地代の支払いを怠っている場合,借地上の建物の賃借人が土地賃貸人に対して地代を弁済すれば,土地賃貸人は借地人の地代の不払を理由として借地契約を解除することはできない。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。利害関係を有しない第三者は,債務者の意思に反して,弁済をすることはできません。借地上の建物の賃借人は敷地の地代の弁済について法律上の利害関係を有するとしています。したがって,借地上の建物の賃借人は,借地人の意思に反しても,地代の弁済をすることができます。
(2)○正しい。債権者が弁済の受領を拒むときは,弁済をできる者は,供託をすることができます。借地上の建物の賃借人は,地代の弁済について法律上の利害関係を有し,弁済をできる者です。
(3)×誤り。債権者の意思に反する代物弁済はできません。代物弁済を行うためには,債権者の承諾を得る必要があります。したがって,借地上の建物の賃借人が代物弁済する場合には,土地賃貸人の承諾が必要です。代物弁済をすることはできません。
(4)○正しい。第三者の弁済も,弁済である以上,債務者の弁済と変わらず,その債務を消滅させます。したがって,借地上の建物の賃借人が土地賃貸人に対して地代を弁済すれば,借地人の地代債務は消滅し,土地賃貸人が借地人の地代の不払いを理由に借地契約を解除することはできなくなります。

【No.39】

Aを売主,Bを買主として甲土地の売買契約を締結した場合における次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
(1)Aを売主,Bを買主として甲土地の売買契約を締結した場合,A所有の甲土地にAが気付かなかった瑕疵があり,その瑕疵については,Bも瑕疵であることに気付いておらず,かつ,気付かなかったことにつき過失がないような場合には,Aは瑕疵担保責任を負う必要はない。
(2)Aを売主,Bを買主として甲土地の売買契約を締結した場合,BがAに解約手付を交付している場合,Aが契約の履行に着手していない場合であっても,Bが自ら履行に着手していれば,Bは手付を放棄して売買契約を解除することができない。
(3)Aを売主,Bを買主として甲土地の売買契約を締結した場合,甲土地がAの所有地ではなく,他人の所有地であった場合には,AB間の売買契約は無効である。
(4)Aを売主,Bを買主として甲土地の売買契約を締結した場合,A所有の甲土地に抵当権の登記があり,Bが当該土地の抵当権消滅請求をした場合には,Bは当該請求の手続きが終わるまで,Aに対して売買代金の支払いを拒むことができる。
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正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。Aは瑕疵担保責任を負わなければなりません。瑕疵担保責任は,売買の目的物に隠れた瑕疵があるときに売主が負う無過失責任です。そして,売買の目的物に瑕疵があることについて買主Bが気付かず,かつ,気付かなかったことにつき過失がない以上,売主Aがその瑕疵の存在に気付かなかったとしても,Aは瑕疵担保責任を負わなければなりません。
(2)×誤り。Bは手付を放棄して売買契約を解除できます。買主が売主に手付を交付したときは,当事者の一方が契約の履行に着手するまでは,買主はその手付を放棄し,売主はその倍額を償還して,契約の解除をすることができます。そして,解約手付による解除は,自ら履行に着手している場合でも,相手方が契約の履行に着手していなければ認められます。
(3)×誤り。AB間の売買契約は無効ではありません。他人の物を売る契約も,有効です。したがって,甲土地がAの所有地ではなく,他人の所有地であった場合でも,AB間の売買契約は有効です。
(4)○正しい。買い受けた不動産に抵当権の登記があるときは,買主は,抵当権消滅請求の手続きが終わるまで,その代金の支払いを拒むことができます。

【No.40】

Aが,BからB所有の土地付中古建物を買い受けて引渡しを受けたが,建物の主要な構造部分に欠陥があった。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。なお,瑕疵担保責任については,特約はない。
(1)Aが,BからB所有の土地付中古建物を買い受けて引渡しを受けたが,建物の主要な構造部分に欠陥があった。Aが,この欠陥の存在を知って契約を締結した場合,AはBの担保責任を追及して契約を解除することはできないが,この場合の建物の欠陥は重大な瑕疵なのでBに対して担保責任に基づき損害賠償請求を行うことができる。
(2)Aが,BからB所有の土地付中古建物を買い受けて引渡しを受けたが,建物の主要な構造部分に欠陥があった。Aが,この欠陥の存在を知らないまま契約を締結した場合,Bの担保責任を追及して契約の解除を行うことができるのは,欠陥が存在するために契約を行った目的を達成することができない場合に限られる。
(3)Aが,BからB所有の土地付中古建物を買い受けて引渡しを受けたが,建物の主要な構造部分に欠陥があった。Aが,この欠陥の存在を知らないまま契約を締結した場合,契約締結から1年以内に担保責任の追及を行わなければ,AはBに対して担保責任を追及することができなくなる。
(4)Aが,BからB所有の土地付中古建物を買い受けて引渡しを受けたが,建物の主要な構造部分に欠陥があった。AB間の売買契約が,宅地建物取引業者Cの媒介により契約締結に至ったものである場合,Bに対して担保責任が追及できるのであれば,AはCに対しても担保責任を追及することができる。
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正解は(3)

【解説】
(1)×誤り。Aは悪意であるため,損害賠償請求できません。買主は,目的物の欠陥の存在を知って売買契約を締結した場合,売主の瑕疵担保責任を追及することができません。重大な瑕疵かどうかは無関係です。
(2)○正しい。買主は,目的物の欠陥の存在を知らないまま売買契約を締結した場合,欠陥が存在するために契約を行った目的を達成することができないときに限り,瑕疵担保責任を追及して,契約の解除を行うことができます。
(3)×誤り。瑕疵担保責任の追及は,買主が欠陥の存在を知った時から1年以内にしなければなりません。契約締結から1年以内ではありません。
(4)×誤り。媒介業者Cに瑕疵担保責任を追及することはできません。瑕疵担保責任は,売買の目的物につき,売主が負う責任です。
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