【宅建過去問】権利関係ー売主の担保責任、民法No.46-50

宅建士
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【No.46】

宅地建物取引業者であるAが,自らが所有している甲土地を宅地建物取引業者でないBに売却した場合のAの責任に関する次の記述のうち,民法及び宅地建物取引業法の規定並びに判例によれば,誤っているものはどれか。
(1)宅地建物取引業者であるAが,自らが所有している甲土地を宅地建物取引業者でないBに売却した場合,売買契約で,Aが一切の瑕疵担保責任を負わない旨を合意したとしても,Aは甲土地の引渡しの日から2年間は,瑕疵担保責任を負わなければならない。
(2)宅地建物取引業者であるAが,自らが所有している甲土地を宅地建物取引業者でないBに売却した場合,甲土地に設定されている抵当権が実行されてBが所有権を失った場合,Bが甲土地に抵当権が設定されていることを知っていたとしても,BはAB間の売買契約を解除することができる。
(3)宅地建物取引業者であるAが,自らが所有している甲土地を宅地建物取引業者でないBに売却した場合,Bが瑕疵担保責任を追及する場合には,瑕疵の存在を知った時から1年以内にAの瑕疵担保責任を追及する意思を裁判外で明確に告げていればよく,1年以内に訴訟を提起して瑕疵担保責任を追及するまでの必要はない。
(4)宅地建物取引業者であるAが,自らが所有している甲土地を宅地建物取引業者でないBに売却した場合,売買契約で,Aは甲土地の引渡しの日から2年間だけ瑕疵担保責任を負う旨を合意したとしても,Aが知っていたのにBに告げなかった瑕疵については,瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権が時効で消滅するまで,Bは当該損害賠償を請求できる。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。引渡し日から2年間ではなく知った時から1年間です。宅建業者が自ら売主となる場合の瑕疵担保責任については,その責任を負う期間を目的物の引渡しの日から2年以上とする特約を除き,民法の規定よりも買主に不利となる特約をしてはならず,この規定に反する特約は無効となります。この場合,民法の規定により,その期間は,買主が瑕疵の事実を知った時から1年間となります。
(2)○正しい。売買の目的物に抵当権が設定されており,その抵当権が実行された結果,買主が所有権を失った場合,買主は善意悪意にかかわらず,売買契約を解除することができます。
(3)○正しい。瑕疵担保責任の追及期間は,買主が瑕疵の事実を知ったときから1年間です。そして,買主が瑕疵担保責任を追及する場合,売主の担保責任を追及する意思を裁判外で明確に告げることで足り,裁判上で権利行使をする必要はありません。
(4)○正しい。買主の瑕疵担保に基づく損害賠償請求権には,引渡しを起算点として10年間とする消滅時効の規定の適用があります。

【No.47】

甲建物を所有するAが死亡し,相続人がそれぞれAの子であるB及びCの2名である場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
(1)甲建物を所有するAが死亡し,相続人がそれぞれAの子であるB及びCの2名である場合,Bが甲建物を不法占拠するDに対し明け渡しを求めたとしても,Bは単純承認をしたものとはみなされない。
(2)甲建物を所有するAが死亡し,相続人がそれぞれAの子であるB及びCの2名である場合,Cが甲建物の賃借人Eに対し相続財産である未払賃料の支払いを求め,これを収受領得したときは,Cは単純承認をしたものとみなされる。
(3)甲建物を所有するAが死亡し,相続人がそれぞれAの子であるB及びCの2名である場合,Cが単純承認をしたときは,Bは限定承認をすることができない。
(4)甲建物を所有するAが死亡し,相続人がそれぞれAの子であるB及びCの2名である場合,Bが自己のために相続の開始があったことを知らない場合であっても,相続の開始から3か月が経過したときは,Bは単純承認をしたものとみなされる。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき,単純承認をしたものとみなされますが,保存行為を行っても,単純承認をしたものとはみなされません。建物の共有者が不法占拠者に対して建物明け渡しを求めることは保存行為にあたるので,Bが甲建物を不法占拠するDに対し,明け渡しを求めたとしても,Bは単純承認をしたものとみなされません。
(2)○正しい。相続人が,被相続人の有していた債権を取り立てて,これを収受領得する行為は,相続財産の処分にあたります。したがって,Cが賃借人Eに対し相続財産である未払賃料の支払いを求め,これを収受領得したときは,Cは単純承認したものとみなされます。
(3)○正しい。相続人が数人あるときは,限定承認は,共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができます。
(4)×誤り。相続人が,自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に,相続について放棄又は限定承認をしなかったときは,単純承認をしたものとみなされます。したがって,Bが自己のために相続の開始があったことを知らないときは,相続の開始から3ヵ月が経過したとしても,単純承認をしたものとみなされません。

【No.48】

Aは未婚で子供がなく,父親Bが所有する甲建物にBと同居している。Aの母親Cは令和2年3月末日に死亡している。Aには父親Bと母親Cの実子である兄Dがいて,DはEと婚姻して実子Fがいたが,兄Dは令和30年3月末日に死亡している。この場合における次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
(1)Aは未婚で子供がなく,父親Bが所有する甲建物にBと同居している。Aの母親Cは令和2年3月末日に死亡している。Aには父親Bと母親Cの実子である兄Dがいて,DはEと婚姻して実子Fがいたが,兄Dは令和30年3月末日に死亡している。この場合,父親Bが死亡した場合の法定相続分は,Aが2分の1,Eが4分の1,Fが4分の1である。
(2)Aは未婚で子供がなく,父親Bが所有する甲建物にBと同居している。Aの母親Cは令和2年3月末日に死亡している。Aには父親Bと母親Cの実子である兄Dがいて,DはEと婚姻して実子Fがいたが,兄Dは令和30年3月末日に死亡している。父親Bが死亡した場合,甲建物につき法定相続分を有する死亡した兄Dの実子Fは,甲建物を1人で占有しているAに対して,当然に甲建物の明け渡しを請求することができる。
(3)Aは未婚で子供がなく,父親Bが所有する甲建物にBと同居している。Aの母親Cは令和2年3月末日に死亡している。Aには父親Bと母親Cの実子である兄Dがいて,DはEと婚姻して実子Fがいたが,兄Dは令和30年3月末日に死亡している。この場合,Aが死亡した場合の法定相続分は,父親Bが4分の3,死亡した兄Dの実子Fが4分の1である。
(4)Aは未婚で子供がなく,父親Bが所有する甲建物にBと同居している。Aの母親Cは令和2年3月末日に死亡している。Aには父親Bと母親Cの実子である兄Dがいて,DはEと婚姻して実子Fがいたが,兄Dは令和30年3月末日に死亡している。この場合,父親Bが死亡した後,Aがすべての財産を第三者Gに遺贈する旨の遺言を残して死亡した場合,FはGに対して遺留分を主張することができない。
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正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。子の配偶者は,代襲して相続人になりません。被相続人の子が死亡したときは,その者の子が代襲して相続人になるので,配偶者は,代襲して相続人になりません。
(2)×誤り。当然に明け渡し請求をすることはできません。父親Bが死亡した場合,A,Fはそれぞれ2分の1の持分で,甲建物を共有します。そして,共有持分の価格が過半数を超える者は,共有物を単独で占有する他の共有者に対して当然にその明け渡しを請求することができません。
(3)×誤り。直系尊属である父親Bがすべてを相続します。被相続人の兄弟姉妹が法定相続人となるのは,被相続人に子及び直系尊属がいない場合です。
(4)○正しい。兄弟姉妹には,被相続人の相続財産について遺留分がありません。そして,被相続人の兄弟姉妹の子もまた,被相続人の相続財産について遺留分が当然ありません。

【No.49】

1億2000万円の財産を有するAが死亡した。Aには,配偶者はなく,子B,C,Dがおり,Bには子Eが,Cには子Fがいる。Bは相続を放棄した。また,Cは生前のAを強迫して遺言作成を妨害したため,相続人となることができない。この場合における法定相続分に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,正しいものはどれか。
(1)1億2000万円の財産を有するAが死亡した。Aには,配偶者はなく,子B,C,Dがおり,Bには子Eが,Cには子Fがいる。Bは相続を放棄した。また,Cは生前のAを強迫して遺言作成を妨害したため,相続人となることができない。この場合の法定相続分は,Dが4000万円,Eが4000万円,Fが4000万円となる。
(2)1億2000万円の財産を有するAが死亡した。Aには,配偶者はなく,子B,C,Dがおり,Bには子Eが,Cには子Fがいる。Bは相続を放棄した。また,Cは生前のAを強迫して遺言作成を妨害したため,相続人となることができない。この場合の法定相続分は,Dが1億2000万円となる。
(3)1億2000万円の財産を有するAが死亡した。Aには,配偶者はなく,子B,C,Dがおり,Bには子Eが,Cには子Fがいる。Bは相続を放棄した。また,Cは生前のAを強迫して遺言作成を妨害したため,相続人となることができない。この場合の法定相続分は,Dが6000万円,Eが6000万円となる。
(4)1億2000万円の財産を有するAが死亡した。Aには,配偶者はなく,子B,C,Dがおり,Bには子Eが,Cには子Fがいる。Bは相続を放棄した。また,Cは生前のAを強迫して遺言作成を妨害したため,相続人となることができない。この場合の法定相続分は,Dが6000万円,Fが6000万円となる。
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正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。Bは相続放棄をしていることから初めから相続人とならなかったものとなります。相続放棄があると代襲相続が生じることもなく,Bの子であるEは相続人とはなりません。
(2)×誤り。Cは強迫によりAの遺言作成を妨害しているので,相続の欠格事由に該当し,Cは相続人となることができません。しかし,相続欠格は代襲相続の原因となるので,Cの子FはCの相続分を代襲して相続します。
(3)×誤り。Bは相続放棄をしていることから初めから相続人とならなかったものとなります。相続放棄があると代襲相続が生じることもなく,Bの子であるEは相続人とはなりません。
(4)○正しい。Bは相続放棄をしていることから初めから相続人とならなかったものとなります。相続放棄があると代襲相続が生じることもなく,Bの子であるEは相続人とはなりません。また,Cは強迫によりAの遺言作成を妨害しているので,相続の欠格事由に該当し,Cは相続人となることができません。しかし,相続欠格は代襲相続の原因となるので,Cの子FはCの相続分を代襲して相続します。したがって,DとFが相続人となり,この両者の相続分は同じであるため,Dが6000万円,Fが6000万円を相続することになります。

【No.50】

相続の承認及び放棄に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。
(1)相続の放棄をする場合,その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
(2)相続人が数人あるときは,限定承認は,共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
(3)相続人が,自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月(家庭裁判所が期間の伸長をした場合は当該期間)以内に,限定承認又は放棄をしなかったときは,単純承認をしたものとみなされる。
(4)被相続人の子が,相続の開始後に相続放棄をした場合,その者の子がこれを代襲して相続人となる。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。相続の放棄をしようとする者は,その旨を家庭裁判所に申述しなければなりません。
(2)○正しい。相続人が数人あるときは,限定承認は,共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができます。
(3)○正しい。相続人が,自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に,限定の承認又は放棄をしなかったときは,単純承認をしたものとみなされます。
(4)×誤り。相続放棄した者の子は代襲相続しません。被相続人の子が,相続の開始後に相続放棄をした場合,その者の子は,代襲相続しません。
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