『JASS5』によると、現場打ちコンクリートの荷卸し時の温度は原則としてが35℃以下としています。
JASS5 13節 暑中コンクリート 13.3品質
- コンクリートの品質は、3節によるほか、スランプ、空気量、圧縮強度などは、高温環境下での変動要因を考慮して定める。
- 荷卸し時のコンクリート温度は、原則として35℃以下とする。
- 荷卸し時のコンクリート温度が35℃を超えないように材料・調合を変更したり、材料やコンクリートを冷却したりする場合、それらの方法については、工事監理者の承認を受ける。
- 荷卸し時のコンクリート温度が35℃を超える場合に備えて、工事監理者とコンクリートの品質変化に対する対策を講じておく。
コンクリートは、水和反応(効果反応)により水和熱を発生させるため、温度が上昇します。さらに、近年では夏場の気温上昇もあり、外気温による温度上昇も加わることになります。
JASS5 13.7製造によると、コンクリートの練上がり温度に上限値は定めておりませんが、練上がり温度は可能な限り低くしなければならないとも書かれています。
コンクリートの練上がり温度の予測式
『土木学会示方書』では、コンクリートの練上がり温度T(℃)は、下式により予測できるとしています。
$$T=\frac{c_{s}(T_{a}W_{a}+T_{c}W_{c})+T_{m}W_{m}}{c_{s}(W_{a}+W_{c})+W_{m}}$$
Wa:骨材の質量(kg)
Ta:骨材の温度(℃)
Wc:セメントの質量(kg)
Tc:セメントの温度(℃)
Wm:練混ぜ水の質量(kg)
Tm:練混ぜ水の温度(℃)
cs:セメントおよび骨材の比熱/水の比熱(4.18kJ/(kg・K))、一般に0.2
コンクリート主任技士の過去問でも出題されていますので、実際に問題をご紹介していきます。
コンクリート診断士過去問 平成28年No.25
暑中コンクリートの施工において、コンクリートの練上がり温度が35℃を超えると予想されたので、水、細骨材、および粗骨材の温度を下表に示す温度に調整した。対策後のコンクリートの練上がり温度として、適当なものはどれか。ただし、水の比熱は4.18/(kg・K)、セメントおよび骨材の比熱は0.836kJ/(kg・K)(水の比熱に対する比は0.2)とする。
材料 | 水 | セメント | 細骨材 | 粗骨材 |
---|---|---|---|---|
単位量(kg/m3) | 165 | 300 | 900 | 1000 |
温度(℃) | 10 | 50 | 20 | 20 |
(1)約17℃
(2)約20℃
(3)約23℃
(4)約26℃
正解(2)
式\(T=\frac{c_{s}(T_{a}W_{a}+T_{c}W_{c})+T_{m}W_{m}}{c_{s}(W_{a}+W_{c})+W_{m}}\)にそれぞれの値を代入していきます。
\(T=\frac{0.2(20・(900+1000)+50・300)+10・165}{0.2((1000+900)+300)+165}=20\)
となり正解は(2)となります。
以上、分子は質量×温度、分母は質量を覚えれば、簡単ですね!