【令和2年度技術士2次試験B判定の反省】-技術士学習記録

建設部門【選択科目Ⅲ】

問題Ⅲ-1

我が国は人口減少局面にあることに加え、総人口に占める高齢者の割合は増加しており、他国も経験したことのない超高齢化社会を迎えようとしている。こうしたなか、全国平均に比べて早い時期から高齢化が進行している過疎地域では、今後の地域社会の維持・持続が困難になる事態が多数発生すると危惧されている。この様な状況を踏まえ、施工計画・施工設備及び積算分野の技術者として、以下の問いに答えよ。

(1)過疎化が進行しつつある地域におけるインフラの維持管理・更新を実施するに当たって、多面的な観点から課題を抽出し、その内容を観点とともに示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示した解決策の実施に際して生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

筆者の骨子

(1)の試験本番のメモ

①インフラストック(ハード面)
②技術者不足(人材面)
③気候変動(環境面)

「多面的」という観点からは、一見良さそうです。しかし、「課題」の抽出であるにもかかわらず、②③は「問題」を抽出しています。問題がどうあるべきかを記述するのが「課題」なので、ここで結構な減点がされていると思われます。

(1)の反省点

(1)の問題文をよく読むと

A.人口減少(人材面)
B.超高齢化社会(人材面)
C.過疎地域(地域間格差)

という条件(問題)がある中で

地域社会の維持・持続が困難なる中で、「インフラの維持管理・更新を実施するには?」にということが問われていると思われます。

(1)では、A~Cの問題が本来どうあるべきかという「課題」を挙げるのが正解と思われます。

「多面的」という点を踏まえ、骨子では、次のように「課題」を設定するとよかったかもしれません。

前置きとして、「社会インフラ」を「上水道設備を付帯した橋梁など、交通の利便性や公衆の衛生を確保するためのインフラは」と前置きすることで、採点者が読みやすかったのではと、反省です。

また、課題の前置きとして、「人口減少と超高齢化が同時に進行している過疎地域では、人口に対するインフラストックのギャップ、インフラの維持管理・更新を行う技術者不足、財源の縮小といった状況が考えられる。それを考慮したうえで、以下の課題を挙げる。」と書き加えれば、採点者も同じ前提に立ってもらいやすかったのではと、反省です。

また、技術士に求められる「マネジメント能力」のなかには、「人員・設備・金銭・情報等の資源を配分すること。」と明記されています。(1)の設問のように、「多面的」と問われた場合、「ヒト、モノ、カネ、情報」という観点から課題設定すると、良さそうな気がします。

①技術者の技術力向上による、生産性増大(人材面=ヒト)
②自動点検ロボットや状態監視センサーなどの新技術開発(ハード面=モノ)
③選択と集中によるストック効果の増大(コスト面=カネ)
④ビッグデータやスーパーコンピューター活用によるシュミレーション(情報)

というかたちで、問題で問われているところに前置きをつくることで、より課題設定しやすくなったのではと感じます。

(2)の試験本番のメモ

試験中メモによると、「技術者不足」という課題が最も重要と考えていたようです。そのうえで、次の課題が挙げられていました。

①技新技術活用
②ストック効果の増大
③間(官)民連携

試験本番を思い出すと、なぜ「技術者不足」が最も重要な課題であるか、その理由を書かなかったと記憶しています。採点者の立場からすると、選択した理由を書くべきだったと反省です。

(2)の反省点

(1)の課題、それぞれについて解決策を考えていきます。
【課題①】
技術者の技術力向上による、生産性増大
【①の解決策】
①-1.入職者への技術教育・研修拡充(制度面)
①-2.動画や可視化データ等による熟練技術者の技術伝承(情報)
①-3.技術力向上に伴う賃金上昇、研修の無償化(コスト面)

【課題②】
自動点検ロボットや状態監視センサーなどの新技術開発
【②の解決策】
②-1.ドローンを活用した画像による点検技術開発(技術面)
②-2.ビッグデータやAI活用による情報化施工(情報)
②-3.新技術仕様および開発費用の補助(コスト面)

【課題③】
選択と集中によるストック効果の増大
【③の解決策】
③-1.自治体と民間企業、および大学と連携した人材活用(人材面)
③-2.高耐久性を実現する工法開発(技術面)
③-3.必要性に応じた無更新、減築の実施(コスト面)

【課題④】
ビッグデータやスーパーコンピューター活用によるシュミレーション
【③の解決策】
④-1.IT人材の活用(人材面)
④-2.インフラの維持管理・更新に関するAI開発(技術面)
④-3.自治体同士および産官学のデータ共有(情報)

個々の対応策も、課題に対して、どのような理由で解決策を選定したかの前置きを書かないと、採点者にとって読みにくい文章となってしまうと思います。

(3)の試験本番のメモ

(2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクと対策は、次のようなメモが残っていました。

リスク:新たな技術の実証が必要

①技術提案促進型
②技術の伝承
③計画的メンテナンスサイクル

ここは、かなり主観的ですが、そこまで大きな問題は無さそうなメモです。実際に試験の時に何を書いたかは、すっかり忘れていますが・・・。

(3)の反省点

共通して新たに生じうるリスクなので、どんな場面でも使えそうなリスクを考えておきます。

課題①~③のいずれにも共通しそうな「リスク(=生じる可能性のあるマイナス面)」

リスク-1) 建設業界以外でも人材確保が課題であるなかでの、建設業界の技術者不足
対応策-1) 他業界と比較し、賃金・労働環境面で劣らないようにする

リスク-2) 新たな取組により生ずる新たな課題の解決
対応策-2) インフラの維持管理・更新は、その都度終わりではなく、継続した観察が必要

以上、筆者の技術士2次試験のメモ書きから、反省をした点についてまとめました。学習記録としてまとめます。

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