【一級建築士過去問H29_Ⅳ_構造】一日5問!詳しく解説No.6

【一級建築士過去問_Ⅳ_構造】一日5問!詳しく解説

構造_H29_No.15

鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.引張力を負担する筋かいを保有耐力接合とするために、筋かい端部及び接合部の破断耐力より、筋かいの軸部の降伏耐力のほうが大きくなるように設計した。
2.溝形鋼を用いた筋かいの設計において、接合部のボルト本数に応じた突出脚の無効長さを考慮して、部材の断面積を低減した。
3.横移動が拘束された両端ピン接合の柱材において、節点間距離を柱材の座屈長さとした。
4.平面計画上、梁の横座屈を防止するための横補剛材を梁の全長にわたって均等間隔に設けることができなかったので、梁の端部に近い部分を主として横補剛する方法を採用した。
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【正解(1)】

1.×です。引張力を負担する筋かいを保有耐力接合とするために、筋かいの軸部の降伏耐力より、筋かい端部及び接合部の破断耐力のほうが大きくなるように設計します。一般に、母材の耐力は、接合部の耐力の1.2倍を確保して設計します。
2.○です。溝形鋼を用いた筋かいの設計において、接合部のボルト本数に応じた突出脚の無効長さを考慮して、部材の断面積を低減します。
3.○です。横移動が拘束された両端ピン接合の柱材において、座屈長さは、節点間距離と同じです。
4.○です。地震による水平荷重が作用した際に、梁の端部に大きな曲げモーメントが生じます。そのため、梁の端部に近い部分を主として横補剛する方法は横座屈防止に有効です。

構造_H29_No.16

鉄骨構造の柱脚の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.露出形式柱脚に使用する「伸び能力のあるアンカーボルト」には、「建築構造用転造ねじアンカーボルト」等があり、軸部の全断面が十分に塑性変形するまでねじ部が破断しない性能がある。
2.一般的な根巻形式柱脚における鉄骨柱の曲げモーメントは、根巻鉄筋コンクリート頂部で最大となり、ベースプレートに向かって小さくなるので、根巻鉄筋コンクリートより上部の鉄骨柱に作用するせん断力よりも、根巻鉄筋コンクリート部に作用するせん断力のほうが大きくなる。
3.根巻形式柱脚において、柱脚の応力を基礎に伝達するための剛性と耐力を確保するために、根巻鉄筋コンクリートの高さが鉄骨柱のせいの2.5倍以上となるように設計する。
4.埋込形式柱脚において、鉄骨柱の剛性は、一般に、基礎コンクリート上端の位置で固定されたものとして算定する。
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【正解(4)】

1.○です。露出形式柱脚に使用する「伸び能力のあるアンカーボルト」には、「建築構造用転造ねじアンカーボルト(ABR)」「建築構造用切削ねじアンカーボルト(ABM)」があり、軸部の全断面が十分に塑性変形するまでねじ部が破断しない性能があります。
2.○です。一般的な根巻形式柱脚における鉄骨柱の曲げモーメントは、根巻鉄筋コンクリート頂部で最大となり、ベースプレートに向かって小さくなるので、根巻鉄筋コンクリート部分の曲げモーメント勾配が大きくなります。そのため、根巻鉄筋コンクリートより上部の鉄骨柱に作用するせん断力よりも、根巻鉄筋コンクリート部に作用するせん断力のほうが大きくなります。
3.○です。根巻形式柱脚において、柱脚の応力を基礎に伝達するための剛性と耐力を確保するために、鉄骨柱のせいの2.5倍以上を根巻鉄筋コンクリートに埋め込むように設計する必要があります。
4.×です。埋込形式柱脚において、鉄骨柱の剛性は、一般に、基礎コンクリート上端から柱の断面せいの1.5倍下がった位置で固定されたものとして算定します。

構造_H29_No.17

鋼材ダンパーを用いた制振構造を採用した鉄骨造の建築物に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.地震時に主架構を無損傷とする目的で、柱梁部材には建築構造用圧延鋼材SN490に比べて、基準強度Fが大きい建築構造用高性能鋼材SA440を用いた。
2.地震エネルギーを効率的に吸収させるために、鋼材ダンパーには建築構造用圧延鋼材SN400と比べて、伸び能力の優れた建築構造用低降伏点鋼材LY225を用いた。
3.制振効果を高めるために、鋼材ダンパーの主架構への取付け部の剛性を小さくした。
4.せん断パネルタイプの鋼材ダンパーについて、地震等による繰返し変形下の疲労に対して累積損傷度による検討を行った。
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【正解(3)】

1.○です。建築構造用圧延鋼材SN490は引張強さの下限が490N/mm2で、降伏強度は325N/mm2です。一方、建築構造用高性能鋼材SA440は引張強さの下限が590N/mm2で、降伏強度が440N/mm/sup>です。降伏強度の高いSA440を使用することは、主架構を無損傷とする目的に適しています。
2.○です。鋼材ダンパーは、降伏後の変形により地震のエネルギーを吸収します。地震エネルギーを効率的に吸収させるために、鋼材ダンパーには建築構造用圧延鋼材SN400と比べて、伸び能力の優れた建築構造用低降伏点鋼材LY225を用いることは適しています。
3.×です。鋼材ダンパーの主架構への取付け部の剛性を大きくすることで、鋼材ダンパーの性能を十分に発揮させることができます。
4.○です。せん断パネルタイプの鋼材ダンパーは、地震等による繰返し変形下の疲労に対して累積損傷度による検討を行います。

構造_H29_No.18

冷間成形角形鋼管柱を用いた鉄骨造の建築物に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.プレス成形角形鋼管の角部は、成形前の素材と比べて、強度及び変形性能が高くなる。
2.柱と梁との仕口部の接合形式には、一般に、通しダイヤフラム形式、内ダイヤフラム形式及び外ダイヤフラム形式がある。
3.柱の継手は、一般に、現場溶接となり、継手位置は曲げ応力が小さくなる位置とすることが望ましい。
4.「耐震計算ルート1-1」の場合は、標準せん断力係数C0を0.3以上とするとともに、柱の設計用応力を割増して、許容応力度を検討しなければならない。
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【正解(1)】

1.×です。プレス成形角形鋼管の角部は、成形前の素材と比べて、折り曲げた部分が硬化するため、強度は向上しますが、変形性能は低くなります。
2.○です。柱と梁との仕口部の接合形式には、一般に、通しダイヤフラム形式、内ダイヤフラム形式及び外ダイヤフラム形式があります。
3.○です。柱の継手は、一般に、現場溶接となり、継手位置は曲げ応力が小さくなる位置とすることが望ましいです。曲げ応力が最小となるのは柱の高さ方向中央部分ですが、施工性を考慮して、中央よりも低い場所に継手位置を設けます。
4.○です。鉄骨造の建築物の「耐震計算ルート1-1、1-2」において、冷間成形角形鋼管柱を用いた場合、標準せん断力係数C0を0.3以上とするとともに、柱の設計用応力を割増して、許容応力度を検討しなければなりません。

構造_H29_No.19

基礎の設計を行うための地盤調査に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.地震時の杭の水平抵抗を検討するための孔内水平載荷試験は、杭頭から約5mの深さ又は最大杭径の約5倍の深さまでで実施する。
2.平板載荷試験により「地盤の支持力特性」の調査ができる範囲は、載荷板幅の1.5~2.0倍程度の深さまでである。
3.常時微動測定の結果は、地震の卓越周期の推定や、建築物の地震力の設定に必要な地盤種別の判定に利用される。
4.粘性土の内部摩擦角は、一軸圧縮試験により求めることができる。
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【正解(4)】

1.○です。孔内水平載荷試験は、ボーリング孔の孔壁に圧力を加えて地盤の変形を調べ、地盤の変形係数(地盤の硬さ)を求める試験です。杭頭から約5mの深さ又は最大杭径の約5倍の深さまでで実施します。
2.○です。平板載荷試験は、地盤面に載荷板(直径30cmの円盤)を設置し、そこに垂直荷重を与え、 荷重の大きさと載荷板の沈下量との関係から地盤の支持力を調べる試験です。 平板載荷試験により「地盤の支持力特性」の調査ができる範囲は、載荷板幅の1.5~2.0倍程度の深さまでである。
3.○です。常時微動測定の結果は、地震の卓越周期の推定や、建築物の地震力の設定に必要な地盤種別の判定に利用されます。一般に常時微動による測定の結果、振動が伝わる速度が速いほうが固い地盤となります。
4.×です。粘性土の内部摩擦角は、三軸圧縮試験により求めることができます。なお、粘着力については、一軸圧縮試験で求めることができます。
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