【ざっくり解説】耐火・準耐火・防火・不燃・難燃について

建築士

はじめに

 まず、建築物には、『1.耐火建築物』『2.準耐火建築物』があります。そして、耐火建築物であるたの条件、準耐火建築物であるための条件が定められています。

 その条件として、建物の決められた部分が『①耐火構造』『②不燃材料』『③防火構造』でなければならないことが定められています。
 火災に対する性能を決める建物の部分は、大きく分けると次のようになります。
A.建物の重さを支える構造部   =柱・梁
B.逃げるときに通る場所     =床・階段
C.外からの火が伝わりやすいところ=壁(外壁)・屋根(軒裏)
 建築基準法では、A・B・Cのことをまとめて「主要構造部」と呼びます。

耐火建築物と準耐火建築物

 耐火建築物では、上記のA・B・Cそれぞれの部分(主要構造部全て)で”耐火構造”でなければならないことが定められています。
 準耐火建築物は、少し複雑になります。耐火建築物と同じように、A・B・Cそれぞれの部分で”準耐火構造”であることに加え、外壁が”耐火構造”である建物、主要構造部が”不燃材料(外壁と軒裏は防火構造)”である建物の3つの条件があります。
 まとめたものを次の表に示します。
建物の部分 柱・梁 床・階段 壁(外壁)・屋根(軒裏)
耐火建築物 耐火構造
準耐火建築物 純耐火構造
耐火構造
不燃材料 防火構造

【耐火構造-不燃材料-防火構造】

 建物の火災に対する性能は大きく次のように考えます。
①火災が起きてもしばらく壊れない=耐火構造
②建物内部での火で燃えない   =不燃材料
③建物外部からの火で燃えない  =防火構造

耐火構造・準耐火構造の関係

耐火構造(15階建の場合)
部分 階段 屋根 階数
最上階から数えて
4以内
1h 1h 1h 30m 1h 30m 15
14
13
12
最上階から数えて
5以上14以下
2h 2h 2h 30m 2h 30m 11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
最上階から数えて
15以上
3h 3h 2h 30m 2h 30m 1
準耐火構造
部分 階段 屋根 階数
全階 45m 45m 45m 30m 45m 30m

※ 防火地域及び準防火地地域では45m→1h(1時間)

不燃材料・準不燃材料・難燃材料の関係

 不燃材料・準不燃材料・難燃材料は、建物の内部の規定と捉えるとわかりやすいと思います。
不燃材料 :不燃性能※1が20分間(令108条の2)
準不燃材料:不燃性能が10分間(令1条 1項 5号)
難燃材料 :不燃性能が5分間(令1条1項 6号)
※1 不燃性能=火災時に壊れない、燃えない、有毒な煙やガスが出ない
 不燃材料であれば、準不燃材料・難燃材料の性能を満たしており、準不燃材料であ
れば難燃材料の性能を満たしています。

防火構造・準防火構造の関係

 防火構造・準防火構造は、外壁と軒裏に関する規定です。つまり外部からの(外部に対する)火に関する規定です。

防火構造 :防火性能※2が30分間(令108条の1)
準防火構造:防火性能が20分間(令109条の6)
※2 防火構造=火災時に壊れない、可燃物燃焼温度(平均160℃)以上に上昇しない
 防火構造であれば、準防火構造の性能を満たしています。

まとめ

 以上、建築物の耐火についてザックリとまとめました。用途・地域による制限や、木造に対する細かな規定もあります。今後、まとめていきたいと思います。
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