【フリーデル氏塩】理解して覚える(由来も)

主任技士

音声学習用動画のご紹介

このページの内容を、音声学習用動画としてまとめました。運動や通勤をしながらの学習に役立ててください。

はじめにコンクリート中の塩分について

コンクリート硬化体内部に侵入した塩分は、細孔溶液中に存在し濃度勾配により容易に移動する塩化物イオンと、コンクリート硬化体中に取り込まれ通常の濃度勾配では移動しない固定化塩素に大別されます。

コンクリート内部に侵入した塩分

  1. 塩化物イオン=濃度勾配で容易に移動
  2. 固定化塩素=コンクリート硬化体中に取り込まれ、濃度勾配では移動しない

コンクリート中の固定化塩素について

さらに固定化塩素は、主にフリーデル氏塩(C3A・CaCl2・10H2O)としてセメント水和物中に取り込まれる固相塩素と、細孔壁に電気的に固定されている吸着塩素の2つに分類されます。

固形化塩素

  1. 固相塩素=フリーデル氏塩
  2. 吸着塩素=電気的に固定

フリーデル氏塩は、セメント水和物として一般的な鉱物であるモノサルフェート(C3A・CaSO4・12H2O)と同じ Afm相の一つで、モノサルフェート中のSO42-が2つのClに置き換わることにより塩素を結晶中に固定します。

ここで、モノサルフェートとは、モノ(一つ)サルフェート(硫酸塩)のことです。化学式の中に”SO4”が入っていることから、分かると思います。

また、Afm相とは、モノサルフェート水和物のことです。化学組成式は3CaO・Al2O3・CaSO4・12H2Oと表されます。

フリーデル氏塩の生成に関係するコンクリートの硬化反応

コンクリートの硬化は、第Ⅰ期~第Ⅴ期まで大別され、フリーデル氏塩の生成には第Ⅰ期と第Ⅳ期の硬化反応が深く関係してきます。コンクリートの硬化について、もう少し詳しく知りたい方は、こちらのページを参照してください。

第Ⅰ期:注水直後は、セメントに含まれるアルミン酸三カルシウム(C3A)とせっこう(CaSO4・2H2O)の反応によりエトリンガイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O)が生成します。

エトリンガイトは、石膏がすべて消費されるとアルミネート相と反応して、次第にモノサルフェート水和物に変化します。

第Ⅳ期:モノサルフェートの生成が始まりエトリンガイトが減少していきます。

フリーデル氏塩が存在するとどうなのか?

コンクリート硬化体内部に侵入した塩分のうち、鉄筋腐食に影響するのは主に細孔溶液中の塩化物イオンです。塩分が侵入してもフリーデル氏塩といった固定化能力を有するコンクリートは塩化物イオン量が相対的に小さく抑えられ、鉄筋腐食への抵抗性が高まると予想されます。

Cofee Break ~フリーデル氏塩の名前の由来~

その存在を発見した人の名前が、フリーデル氏塩という名称の由来になっています。

フランスの化学者で鉱物学者のCharles Friedel(チャールズ・フリーデル)〈1832,3~1899,4、享年67歳〉が研究の過程でフリーデル氏塩の合成をし、その存在を明らかにしました。
その息子であり、鉱物学者で結晶学者のGeorges Friedel(ジョージ・フリーデル)〈1865,7~1933,12、享年68歳〉はフリーデル氏塩の合成と検証を行い、その存在をフリーデル氏塩と命名しました。

両氏は、人工ダイヤモンドの生成などの研究を行っていたそうですが、フリーデル氏塩はその研究の中で発見されたとのことです

参考:wikipedia

以上、フリーデル氏塩について、まとめました。今後も学習をつづけ、覚えやすいように発信していきたいと思います。

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