【膨張材と収縮低減剤】現場監督が知っておくべき違い

主任技士

膨張材と収縮低減剤の違いとは?

膨張材も収縮低減剤も、両方ともひび割れの抑制を目的として使われます。

大スパンの床など、一度に打設する面積が大きい場合、コンクリートに膨張材や収縮低減剤を配合させる場合が多いと思います。ここでは、膨張材や収縮低減剤がコンクリート内部でどのように働くかを解説したいと思います。

膨張材とは?

コンクリートの収縮に対して、水和反応によって膨張させることで相殺し、ひび割れを抑制する働きを持つのが、膨張材です。膨張材には、主に以下の2種類があります。

  1. 遊離石灰と反応させ、水酸化カルシウムを生成させて膨張性を付与するもの
  2. エトリンガイトを生成させて膨張性を付与するもの

1.遊離石灰系の製品例として「ハイパーエクスパン」があります。

遊離石灰とは、水和反応を起こさずにコンクリート中に残った酸化カルシウム(CaO)のことをいいます。膨張材(ハイパーエクスパン)は、酸化カルシウムが水と反応すると結晶化して膨張する作用を利用している製品です。

2.エトリンガイト系の膨張材の製品例として「デンカパワー」があります。

エトリンガイトとは、セメントのアルミネート相(アルミン酸三カルシウム)(3CaO・Al2O3)と硫酸イオン(SO42-)および水(H2O)が反応して生成される水和物のことを言います。デンカパワーは厳密にいうと、遊離石灰系とエトリンガイト系両方の性質を利用している膨張材となります。

コンクリートの収縮を膨張させることで相殺し、ひび割れを抑制する働きを持つのが、膨張材です。

鉄筋コンクリート部材ではコンクリートの乾燥収縮が鉄筋に拘束されることにより応力が発生します。この乾燥収縮による応力を抑制するために、膨張材が使われます。

収縮低減剤とは?

収縮低減剤は、コンクリート内部の水に働く表面張力を低減させることで、乾燥収縮による応力を小さくし、ひび割れを抑制する作用があります。

収縮低減材の製品例として「クラックセイバー」があります。


乾燥収縮とは、コンクリート内部の自由水が乾燥する際に、表面張力によりコンクリート内部に応力を発生させることをいいます。この応力によりコンクリートがひび割れを起こします。

まとめ

膨張材と収縮低減剤の違いは、名前のとおりです。「材」=材料で、「剤」=薬剤のことを指す点に注意してください。

「膨張」というキーワードに共通する事項

コンクリートで膨張というキーワードは、アルカリシリカ反応によるシリカゲルの反応でも見ることが出来ます。

シリカゲルは、吸水により膨張する作用があります。

酸化カルシウムの膨張と、エトリンガイトの膨張は、水和反応による膨張です。

どちらも水によって膨張が起きるという点では、コンクリートの膨張作用については、膨張=水が必要といえます。

アルカリシリカ反応によるシリカゲルの膨張について詳しく知りたい方はコチラのページを参考にしてください。

今回の記事は以上です。何かのお役に立てれば幸いです。

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