【内部の温度変化と内部応力】主任技士過去問を例に(図で解説)

主任技士

主任技士の過去問で出題された、内部の温度変化と内部応力に関する問題をご紹介します。応力の向きって間違えやすいですよね!このページでは、わかりやすいように図で解説しました。

コンクリート主任技士過去問 平成29年No.25

下図に示すように、スラブ状のマスコンクリート部材を連続的に打ち込んだ。コンクリート打込み後に部材中心部が最高温度に達したとき、中心断面(X-X’)の温度応力分布を模式的に表したものとして、適当なものはどれか。ただし、地盤の拘束は受けないものとし、コンクリートの自重の影響はないものとする。

(1)a
(2)b
(3)c
(4)d

正解(3)

内部の温度変化と内部応力

マスコンクリートは、表面は外部に温度が逃げやすいため、温度下降が早く”収縮”しようとします。

逆に、内部は水和熱によって生じた温度が放出されにくいため温度が上昇し”膨張”しようとします。

ここで、膨張と収縮のイメージ図と、それに伴う「内部応力」の図を見てください。

内部応力=形状を保とうとするために生じる応力

というイメージを持って解けば、方向を間違えないと思います。

マスコンクリートの定義

JASS5によると「部材断面の最小寸法が大きく、かつセメントの水和熱による温度上昇で有害なひび割れが入るおそれがある部分のコンクリート」と定義されています。

引用元:JASS5-21節

一律に部材断面寸法からマスコンクリートの規定を適用することを避けていますが、特記に際しては、以下の寸法が目安とされています。

・壁状部材で80cm以上
・マット状部材・柱状部材で100cm以上

JASS5の1997年の改定前では「部材断面の最小寸法が80cm以上で、かつ水和熱によるコンクリートの内部最高温度と外気温の差が25℃以上になると予想される場合」とされてきましたが、定義が変わりました。参考としてください。

以上、マスコンクリートの温度変化による内部応力の分布について、覚えられましたか?今回の問題は、地盤の拘束を受けないものとし、コンクリートの自重の影響はないものとされていましたので、イメージしやすいと思います。

地盤の拘束と、コンクリートの自重による影響についても今後の記事でまとめていきたいと思います。

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