合成率とは?
合成率は、完全合成梁の頭付きスタッド所要本数に対する、合成梁の頭付きスタッドの配置本数のことです。
式で表すと、次のようになります。
$${合成率}=\frac{{n}_{p}}{{n}_{f}}$$
np:合成梁の頭付きスタッドの本数(本)
nf:完全合成梁の頭付きスタッド所要本数(本)
npは、設計で任意に決めた、合成梁のスパン全体に配置された頭付きスタッドの本数です。
完全合成梁とは、H型鋼梁と、協力幅を考慮した床スラブの全断面を、曲げ応力に対して有効とした合成梁のことです。
完全合成梁とするためには、H形鋼梁と床スラブを、充分な数の頭付きスタッドにより固定する必要があります。
nf:完全合成梁の頭付きスタッドの所要本数
完全合成梁の頭付きスタッドの所要本数は、次式で算定します。
$${n}_{f}=\frac{{Q}_{h}}{{q}_{s}}$$
nf:完全合成梁の頭付きスタッド所要本数(本)
Qh:各スパンに作用する水平せん断力
qs:頭付きスタッド1本当たりの水平せん断耐力
合成梁のスパン全体に、頭付きスタッドを等間隔に配置すると仮定しますが、設計荷重による応力には、各種荷重の組合せによって、いろいろな分布状態があります。
そこで、各スパンの正曲げあるいは負曲げ区間を考慮することで、完全合成梁に必要な頭付きスタッドの本数を算出する方法で仮定する、崩壊時の曲げモーメント分布について、式の構成を示します。
頭付きスタッドに作用する全水平せん断力
等分布荷重wと水平荷重の組合せによって、骨組の中の合成梁が崩壊するときの塑性ヒンジ位置を求めます。
崩壊時の曲げモーメント分布を下図のように考えます。そして、塑性ヒンジが右端からx=nlのところと右端に生じたとします。
そのときの式は次のように表すことができます。
$${M}_{x}=-{M}_{p}’+({M}_{p}’+\eta{・}{M}_{p}){n}+4\xi{・}{M}_{p}{・}{n}-4\xi{・}{M}_{p}{・}{n}^2$$
この式は、崩壊時の曲げモーメント分布図を分解して考えると構成が分かります。図の右端をx=0としてMxを考えます。
①右端(x=0)のMp’
モーメント図全体から、Mp’の分だけ取り出したのが①の部分です。
②Mp’とηMpの勾配によるせん断力とモーメントの関係
左右の曲げモーメントと部材長lから、位置xのせん断力を求めることができます。
$${M}_{x}=\frac{({M}_{p}’+\eta{・}{M}_{p})}{l}{・}{x}$$
ここで、x=nlとおきます。
$${M}_{x=nl}={({M}_{p}’+\eta{・}{M}_{p})}{・}{x}$$
③等分布荷重を受ける単純梁の曲げモーメント
等分布荷重を受ける単純梁の曲げモーメントMxは、次のように表します。(公式参照)
$${M}_{x}=\frac{w}{2}{・}{X}{(l-x)}$$
ここで、x=nlとおきます。
$${M}_{x=nl}=\frac{w}{2}{l}^2{・}{n}{(1-n)}$$
③の項で\(\xi{・}{M}_{p}=\frac{{w}{・}{l}^2}{8}\)として変形すると、次のようになります。
$$4\xi{・}{M}_{p}{・}{n}-4\xi{・}{M}_{p}{・}{n}^2=\frac{w}{2}{l}^2{・}{n}{(1-n)}$$
以上が、崩壊時の曲げモーメント分布の構成です。境界条件を考慮して、xl区間の頭付きスタッドの所要本数を満足するピッチと同じピッチで頭付きスタッドを配すれば、完全合成梁として充分な数となります。
以上、式の解き方について、詳しくは『合成梁構造設計指針』を参考にしてください。