沈みひび割れとは?
沈みひび割れは、打込み直後のコンクリートの沈下が鉄筋やセパレータなどによって妨げられ、鉄筋やセパレータに沿って生じるひび割れのことを指します。
沈みひび割れは、コンクリートを打設する際に、片押し打ちをすると起こりやすくなります。片押し打ちは、コンクリートの1層の打ちあがり高さが高くなるため、打ち込み直後の沈下量が大きくなります。(ページ下部には、片押し打ちと回し打ちの違いについてのまとめがありますので、参考にしてください。)
また、材料分離を起こしやすいコンクリートを使用すると、沈みひび割れが起こりやすくなります。これは、材料分離により、セメントペースト中の水分がブリーディング水として浮き上がることで、コンクリートの沈下が生じるためです。材料分離抵抗性を高めるためには、AE剤や減水剤などの混和剤を用いて、単位水量を減らすことが効果的です。
以下に、沈みひび割れについてまとめます。
沈みひび割れによる不具合
- 水みちとなり鉄筋腐食が進む
- 漏水の原因となる
- 空隙が生じ、耐力低下を引き起こす
沈みひび割れ発生の原因
- 片押し打ちをした
- 締固め時間が短かかった
- ブリーディング水が多いコンクリートを使用した
沈みひび割れの抑制方法
- 回し打ちをして、1層あたりの沈下量を少なくする
- 上部層と下部層のバイブレーター掛けを十分に行う
- 単位水量の少ないコンクリートを使用する
沈みひび割れを生じさせないための打設計画
沈みひび割れを生じさせないようにするためには、単位水量が少ないコンクリートを使用します。コンクリートの単位水量を少なくするためには、AE剤や減水剤を用います。AE剤や減水剤を用いたコンクリートは、材料分離抵抗性が高く、ブリーディング水の量が少なくなります。
コンクリート打設時の1層あたりの沈下量を減らすために、片押し打ちを避け、回し打ちを採用します。
沈みひび割れは、打設後数時間で収束します。収束後、コンクリートが完全に凝結する前に、表面のブリーディング水を取り除き、十分にタンピング(コテやトンボで軽くたたいて成型すること)など、再振動を与えることで、沈みひび割れを修復することができます。
片押し打ちと回し打ち
片押し打ち
- 一方の打込高さが高くなり、型枠に大きな圧力がかかる
- 型枠のはらみが生じやすい
- ブリーディングが大きくなり、沈みひび割れの原因となる
回し打ち
- 型枠に大きな圧力がかかりにくい
- 型枠のはらみが生じにくい
- 打ち重ね時間間隔が大きくなるとコールドジョイントが発生しやすい