【ポリマーセメントとは?】断面修復材料について

診断士

ポリマーセメント=セメントの一部をポリマーに置換したもの

ポリマーとは、化学分野で使われる言葉で”重合体”の意味です。詳しくはページ中ほどに記載しています。良ければ参考にしてください。

コンクリート、(セメント)モルタル、セメントペーストの違い

”セメントモルタル”は①セメント②水③細骨材の3材料で構成されます。

コンクリートと比較すると粗骨材(石)が入っておらず、主にタイルの下地や断面補修材として左官工事で使用されることが多いです。

ポリマーセメントモルタルとは?

ポリマーセメントモルタルは、セメントモルタル中のセメントの一部をポリマーに置換したものとなります。

ポリマー/セメントの質量比が5~20%といわれることが一般的です。5%以下ではポリマーの効果が出にくいこと、20%以上入れると費用対効果が出にくいことが理由です。

『公共建築工事標準仕様書』ではポリマーセメントモルタルの調合の混和剤の使用量はセメント質量の5%程度とすることとなっています。

樹脂モルタルとは?

一方、樹脂モルタル(レジンモルタル)は、セメントモルタルのセメントと水を樹脂に置き換えたものになります。

上の図だけで、呼び方の違いを納得できれば問題ありませんが、「ポリマー」や「樹脂(レジン)」について、少し突っこんで調べてみましょう。

”ポリマー”と”樹脂”の違いは?

上の図に示すように、ポリマーと樹脂(合成樹脂)は、ほぼ同義です。ポリマー(重合体)の中に樹脂が含まれています。

「樹脂」は字のごとく、樹液のような性質を持つ物質を差します。ポリマーの中には樹脂よりも硬い「合成ゴム」や有機である樹脂に対して、無機である「合成ガラス」などが含まれます。

コンクリート診断士の講習で用いられるテキストには、「一般に使用されている断面修復材は、ポリマーセメント系と樹脂モルタル(ポリマーモルタル)形に大別される。」とあります。

ポリマーセメントモルタルと樹脂モルタル(ポリマーモルタル)の違いは、セメントを使うか使わないかの違いであることがわかります。

断面修復材の種類と特徴

これらのポリマーを断面修復材として使用する場合には、強度、耐久性、防水性、施工性、耐薬品性といった特徴を理解したうえで、最も適する材料を選択しなければなりません。ここでは、診断士試験の過去問を例として、種類と特徴をまとめました。

断面修復材として基本的に要求される性能は、以下のとおりです。
①圧縮、曲げおよび引張強度等が既存コンクリートと同等以上であること
②熱膨張係数、弾性係数およびポアソン比等が既存コンクリートと同等であること
③乾燥収縮が小さく、接着性が高いこと
④現場施工であるため、作業性がよいこと

セメント系~ポリマー系の比較
物理的性質\種類 セメント系 ポリマーセメント系 ポリマー系
弾性係数
引張強度
熱膨張係数
電気抵抗
耐紫外線性
耐酸性

※ポリマー系=エポキシ樹脂とする。

ポリマーセメント系については、亜硝酸リチウムや網のアルコール系の防錆剤を添加したものや、アルカリ金属イオン(Cl)やアルカリ金属イオン(Na+、K+)などの有害物質を吸着する特殊混和材を添加したものなど、劣化要因に応じた材料が開発されています。

以上、ポリマーセメントモルタルについて、診断士試験で使えそうな知識をまとめました。

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