【コールドジョイント】とは?ひび割れではなく、コンクリートが一体化されていないことの現れ

ひび割れの種類 診断士

コールドジョイントとは?

 コールドジョイントとは、打ち重ねたコンクリートが一体化せずに生じた打ち継ぎ目のことを言います。

ひび割れの種類

 壁を打設する際や、せいの高い、基礎梁を打設する際に、回し打ちをすると、必ず水平の打ち重ね部が生じます。その、水平打ち重ね部のコンクリートの一体化が不十分になってしまうと、コールドジョイントが生じます。
 ”回し打ち”に対して、水平打ち重ねを少なくできる”片押し打ち”がありますが、壁や、せいの高い基礎梁を片押し打ちをすると、型枠が、コンクリートの側圧に耐えられず、パンクしてしまう可能性が高くなります。
 また、片押し打ちは、コンクリートの締固めに伴う沈み込みが大きくなります。それに伴いブリーディング水の発生が多くなります。
 コンクリート打設の担当者(計画および管理)は、コンクリートの打ち重ね時間を考慮し、コールドジョイントを発生させないよう回し打ちの順序を計画しなければなりません。
 打設計画では、打ち重ね時間などの品質だけでなく、ポンプ車の配置や、生コン車の動線といった、安全面についても配慮しなければなりません。
打設計画には、正解は無いが最適解を出すんだといった、謙虚な心が必要と感じます。計画通りに進まなかった場合のことを考えておくことで、品質面・安全面での問題を最小限にすることができます。

コールドジョイントで生じる不具合

  • 水みちとなり鉄筋腐食が進む
  • 漏水の原因となる
  • 美観を損ねる

コールドジョイント発生の原因

  • 打ち重ねコンクリート打込みまでに時間が掛かった
  • 上部と下部のコンクリートが十分に締固めされていない
  • コンクリート打設時の気温が高く、凝結時間が短い

コールドジョイントを発生させないための対策

  • 打込順序を計画し、打ち重ね時間が長くならないようにする
  • 上部層と下部層のバイブレーター掛けを十分に行う

打設計画時の注意点

 打設計画するうえで、回し打ちによる上部層と下部層の打ち重ね時間を考慮します。筆者の経験上、水密性を求められる壁で、高さが高い場合の計画は、難しいと感じます。壁の高さが高い場合、材料分離による不具合を生じさせないようにするため、打設高さが1.5m以下となるよう、壁の側面にコンクリート打設用のじょうごを設けるなどの工夫が必要です。じょうごは、高さ方向の位置だけでなく、回し打ちをするために必要な場所に設けます。

 打ち重ね時間間隔が JASS5の規定値を超えないように時間管理をしながら打設を進めることができるよう、打設の計画をすることが重要です。コンクリート打設は、計画通りにならないことも多く、スランプが大きいことで、コンクリートが想定よりも流れて行ってしまう場合があります。そのような場合、計画した高さまでコンクリートが上がってくるのを待っていては、打ち重ね時間間隔が長くなってしまう場合があります。注意してください。

許容打ち重ね時間間隔
許容うち重ね時間間隔
気温25℃以上 120分以内
気温25℃未満 150分以内

引用元:JASS5 コンクリート工事 7節 7.5 打込み

練混ぜから打込み終了までの時間の限度
練混ぜから打込み終了までの時間の限度
気温25℃以上 90分以内
気温25℃未満 120分以内

引用元:JASS5 コンクリート工事 7節 7.4 運搬

打設時の注意点

 打ち重ねの上部層と下部層が十分に一体化されるように、バイブレーター掛けの深さと時間を管理します。上部層だけのコンクリートに振動を加えても、打ち重ね部分は一体化されません。バイブレーター掛けの深さも気を付けて管理することが重要です。一般的に、バイブレーターの振動部分は50cm程度のため、打ち重ね高さを50cm以下に抑えることで、打ち重ね部の一体化を図ります。

筆者の失敗談

 壁のコンクリート打設の際、コンクリートを横に流しすぎたために、コールドジョイントを発生させてしまったことがあります。スランプが大きいコンクリートは、横に流れていくことで、打ち重ね部のコンクリートを一体化させるためのバイブレーター掛けがおろそかになってしまう場合があります。同じ失敗を犯さないように、注意してください。
 以上、コールドジョイントに関する内容をまとめました。どなたかのお役に立てればうれしいです。
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