高炉セメントとは?
高炉セメントB種は【BB】と略されたりもしますが、いったいどう意味なのでしょうか。
高炉=Blast furnaceの頭文字をとってB、更にB種だとBBということになります。高炉セメントC種だと【BC】と略されることになります。
高炉セメントの種類
高炉セメントは、セメント中の高炉スラグの比率によって以下の3種類に区分されます。フライアッシュセメントのA,B,C種とは分量が違う点に注意してください。(詳しくはこちらのページ)
【フライアッシュセメントの種別】
A種:5を超え30%以下
B種:30を超え60%以下
C種:60を超え、70%以下
一般には高炉セメントB種がよく使われます。A種は普通ポルトランドセメントと同様に使用することが出来ます。C種は産業廃棄物である高炉スラグを多く使用しているため「環境配慮型のコンクリート」と言えます。
高炉スラグとは?
高炉スラグは産業廃棄物として、再生利用がされています。近年の高炉スラグ再生利用率は80%を超えており、比較的再生利用率の高い産業廃棄物です。主な用途は、セメント原料の他に路盤材などがあります。
高炉スラグとフライアッシュ、シリカフュームの違い
フライアッシュについて:詳しくはこちらのページ
シリカフュームについて:詳しくはこちらのページ
4高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフュームの特徴を分類すると以下のように分けられます
潜在水硬性をもつ:高炉スラグ
ポゾラン反応性をもつ:フライアッシュ、シリカフューム
潜在水硬性とは?
まず、水硬性とは、水と水和反応を起こして硬化する性質のことを言います。
潜在水硬性とは、単に水を混ぜただけでは水和反応を起こさないですが、刺激剤によって水和反応を起こす性質のことを差します。
高炉スラグは、アルカリ環境(pH12以上)で、固溶されていた炭酸カルシウム(CaO)、三酸化アルミニウム(Al2O3、酸化マグネシウム(MgO)などが溶出しそれらが刺激剤となって、カルシウムシリケート水和物(C-S-H)やカルシウムアルミネート水和物(C-A-H)を生成して硬化します。
ポゾラン反応性とは?
”ポゾラン”とは「火山灰やシリカを含んだ砂や粉」のことを差します。フライアッシュは灰、シリカフュームは主成分がシリカである微細な粉なので、ポゾランの一種です。
また、コンクリート中のセメントが水和する際に生成される”水酸化カルシウム”とポゾランが反応してカルシウムシリケート化合物(C-S-H)が生成される反応のことをポゾラン反応と言います。
高炉スラグ微粉末は、比表面積(単位質量に対する表面積)が大きくなるほどセメントとの反応性が高くなります。その際、水和熱が発生するため、比表面積の大きな高炉スラグ微粉末ほど、コンクリートの断熱温度上昇速度が大きくなる特徴があります。
高炉スラグ微粉末の種類は、比表面積によって4種類に区分されます。数値が大きいほど比表面積が大きい高炉スラグ微粉末となります。
- 高炉スラグ微粉末3000
- 高炉スラグ微粉末4000
- 高炉スラグ微粉末6000
- 高炉スラグ微粉末8000
高炉セメントの特徴
中性化は早くなる
高炉スラグ微粉末を用いたコンクリートは、普通ポルトランドセメントのみを用いたコンクリートよりも中性化は早くなります。これは、以下の理由となります。
①普通ポルトランドセメント(pH12~14)を高炉スラグ微粉末(pH10~12)に置換することで、アルカリ性が弱まる
②セメントの水和により生成されたCa(OH)2と高炉スラグ微粉末が反応するためアルカリ成分が少なくなる
アルカリシリカ反応は抑制される
Ca(OH)2と高炉スラグ微粉末が反応するためアルカリ成分が少なくなることで、コンクリート中のアルカリが減少し、結果的にアルカリシリカ反応を抑制することにあります。
ここで、アルカリシリカ反応を抑制させるためには、セメント中の高炉スラグの比率を40%以上とすることが必要とされています。ページ上部のA,B,C種とは別の規定であることに注意してください。
耐酸性、耐硫酸塩性の向上
高炉スラグ微粉末を用いたコンクリートと、無混入のコンクリートを1年間硫酸に浸漬した後の圧縮強度を測定した実験から、高炉スラグ微粉末の比表面積が大きく、置換率が大きいほど強度低下が少ないという結果が分かっています。
まとめ
以上、”高炉セメントB種”という言葉を見かけたら、この記事の内容を思い出してみてください。
音声学習動画のご紹介
フライアッシュセメントと高炉セメントの違いについて、音声で解説しています。ぜひ復習に役立ててください。