【フライアッシュ(飛ぶ灰)】現場監督が持っておくべき知識

主任技士

音声学習動画のご紹介

フライアッシュセメントと高炉セメントの違いについて、音声で解説しています。ぜひ復習に役立ててください。

フライアッシュとは?

Fly(フライ)=飛ぶ、Ash(アッシュ)=灰
という意味なので読んでそのままの意味と捉えて間違いないです。

石炭火力発電でボイラーの出口付近で集塵される、球状の微細粒子です。主成分はSiO2とAl2O3です。

フライアッシュを用いたコンクリートは、以下のような特徴があります。

長期強度の増進

フライアッシュは、可溶性の二酸化シリカ(SiO2)がセメントの水和で生じた水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と反応し、長期強度を発現させます。この反応による水和物が空隙を充てんするためコンクリートの組織が緻密化して、長期強度が増進されます。

フライアッシュセメントを用いたコンクリートは、組織が緻密化するため、中性化の原因である、大気中の二酸化炭素を通しにくくなります。

一方、コンクリートのアルカリ性を保つ、水酸化カルシウムが、反応により消費されるため、中性化速度は、フライアッシュを使用していないコンクリートより、若干早いです。

アルカリシリカ反応の抑制

フライアッシュは、骨材のアルカリシリカ反応を抑制する効果があります。反応抑制には、フライアッシュセメントの分量は、15%以上であることが必要です。フライアッシュセメントの種別(A,B,C種)の区分とは別であることに注意です。

フライアッシュセメントの種別
種別 セメント中のフライアッシュ分量(%)
A種 5超え 10以下
B種 10超え 20以下
C種 20超え 30以下

普通ポルトランドセメントはpHが12以上と高いアルカリ性を示します。これは、材料のセメント分が強アルカリ性であることが大きく関係しています。

一方、フライアッシュを強アルカリ性であるセメントの一部と置換することで、pHを11程度とすることができるため、アルカリシリカ反応の抑制対策として有効とされています。

アルカリシリカ反応について、詳しくはコチラを参照してください。

空気連行性

フライアッシュは強熱減量(高温で加熱することにより炭酸カルシウムが二酸化炭素として揮発すること)により、未燃炭素含有量を測定することが出来ます。
未燃炭素含有量とは、石炭中の炭素が完全に燃焼せずに残っている炭素の量のことを差します。つまり、燃焼しろが残っている場合には、未燃炭素含有量が大きくなり、強熱減量が大きくなります。

フライアッシュは、強熱減量が大きくなるほど未燃炭素にAE剤が吸着するため、AE剤によるコンクリートの空気連行性が小さくなってしまいます。

JIS A 6201によるフライアッシュの未燃炭素含有量

フライアッシュの品質(JIS A 6201)
項目 Ⅰ種 Ⅱ種 Ⅲ種 Ⅳ種
二酸化けい素含有量a) 45.0以上
湿分% 1.0以上
強熱減量b) 3.0以下 5.0以下 8.0以下 5.0以下
粉末度c) 網ふるい方法% 10以下 40以下 40以下 70以下
プレーン方法(比表面積)cm2/g 5000以上 2500以上 2500以上 1500以上
フロー値比% 105以上 95以上 85以上 75以上
活性度指数% 材齢28日 90以上 80以上 80以上 60以上
材齢91日 100以上 90以上 90以上 70以上

a)二酸化けい素含有量は、溶解質量分析方法又は蛍光X線分析方法による。
b)強熱減量に代えて,未燃炭素含有率の測定をJIS M 8819又はJIS R 1603に規定する方法で行い,その結果に対し,強熱減量の規定値を適用してもよい。
c)粉末度は,網ふるい方法又はブレーン方法による。ただし,網ふるい方法による場合は,ブレーン方法による比表面積の試験結果を参考値として併記する。

以上、フライアッシュについて、最低限知っておくべきことを書きました。

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