【シリカフュームとは】主任技士試験に役立つ知識

主任技士

シリカフュームとは?

シリカ(Silica)=ケイ素化合物、フューム(fume)=煙

電気炉で金属シリコン(金属ケイ素)を製造する際に発生する蒸気を集塵すると、シリカフュームと呼ばれる高純度のSiO2(二酸化ケイ素)の微細球状粒子が得られます。

金属シリコンは、半導体デバイスの基板として使われているシリコンウエハーや光ファイバーの原料として使われます。

シリカフュームは従来、産業廃棄物として廃棄されていましたが、環境改善の要望が高まり、コンクリートの混和材等としての再利用が進みました。

シリカフュームの特徴

シリカフュームは、pHが中性域で、熱に強いSiO2を主成分としているため、耐火性の求められるコンクリートにうってつけの材料です。その特徴を以下にまとめます。

1.ポゾラン反応性が高い

シリカフュームのひとつ目の特徴は、ポゾラン反応性が高いことです。”ポゾラン”とは「火山灰やシリカを含んだ砂や粉」のことを差します。シリカフュームは主成分がシリカである微細な粉なので、ポゾランの一種といえます。
また、コンクリート中のセメントが水和する際に生成される”水酸化カルシウム”とポゾランが反応してカルシウムシリケート化合物(C-SーH)が生成される反応のことをポゾラン反応と言います。
カルシウムシリケート化合物は、ケイ酸カルシウム水和物とも呼ばれます。

フライアッシュもポゾラン反応性を有する材料としてコンクリートに用いられますが、大きな違いとしては、粒子の大きさが挙げられます。

シリカフューム:球形(平均粒形1pm)、粒の大きさが揃っている
フライアッシュ:球形(平均粒形20pm)、粒の大きさは不揃い

フューム=煙、フライ=飛ぶということから、シリカフュームの方が小さいと覚えましょう。

コンクリートが固まる過程での反応

セメント中のケイ酸三カルシウムC3Sが水和により水酸化カルシウムが生成されます。生成された水酸化カルシウムとシリカなどのポゾランと反応し、硬化性を持つカルシウムシリケート化合物(C-S-H)が生成されます。下図でいうと、第2ピークの部分(コンクリート製造後10~12H)での反応になります。

コンクリートが固まる際の主成分は4つ挙げられますが、その中でもコンクリート打設後の硬化反応に大きく寄与するのがカルシウムシリケート化合物です。

2.高い流動性を得られる=高強度化が可能

シリカフュームは、微細球状粒子であり、セメント中でベアリングのように働くことで、コンクリートの流動性を高めます。これをベアリング効果と呼びます。ベアリング効果により、水セメント比を20%以下まで抑えることができ、セメント量が多く、水の少ない高強度コンクリートの製造が可能となります。

3.マイクロフィラー効果

シリカフュームの粒径はとても小さく、コンクリートの組織の間隙を埋める効果があります。コンクリートの組織を緻密化することで、コンクリートの耐久性を向上させることができます。

4.自己収縮量が多い

シリカフュームや高性能AE減水剤を用いて水セメント比を小さくしたコンクリートは、水和反応による”自己収縮”が大きくなることが実験により確認されています。そのため、シリカフュームを用いたコンクリートには、膨張剤を入れる等して、自己収縮に対する対策を取ることが求められます。

まとめ

金属シリコンを製造する際に発生する蒸気に含まれていた”産業廃棄物”として廃棄される存在だったシリカフュームは様々な研究をもとに、産業廃棄物を減らすことから、環境に配慮した材料として活用されるようになりました。

以上、シリカフュームについて情報をまとめました。何かのお役に立てれば幸いです。

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