実積率は、フレッシュコンクリートのワーカビリティ(施工しやすさ)に大きく関係します。
コンクリート主任技士過去問H29No.8
選択肢の正誤を問われる問題が出題されています。
選択肢(1)粗骨材を実積率の小さいものに変更したので、同一のスランプを得るために、単位水量を減らすとともに、細骨材率を小さくした。
この選択肢は誤りです。
①実積率は高いものほどスランプが大きくなる傾向があります。
②単位水量は大きいほどスランプが大きくなります。
③細骨材率は大きいほうがスランプが大きくなる傾向があります。
このページでは①の実積率について詳しく解説していきたいと思います。
実積率とは?
計算式
実積率(G)の計算式:JIS A 1104骨材の単位容積質量及び実積率試験方法
$$G=\frac{T}{d_D}×100$$
骨材の実積率:G(%)
骨材の単位容積質量:T(kg/L)
骨材の絶乾密度:dD(g/cm3)
また、試験で使用する骨材が表乾状態のときは下式になります。
$$G=\frac{T}{d_S}×(100+Q)$$
骨材の実積率:G(%)
骨材の単位容積質量:T(kg/L)
骨材の表乾密度:dS(g/cm3)
骨材の吸水率:Q(%)
図によるイメージ
上式の単位容積質量は、図のようにある容器に入れた場合の空気を含む骨材の質量になります。そのため、必ず骨材の絶乾(表乾)密度より小さい値となります。
容器の中に骨材を入れると、骨材の大きさや形状により、空隙(隙間)の大きさが異なります。上図では左の方が空隙が大きく、右は空隙が小さいことが分かります。
実積率の試験では、”付き棒”で締固めながら骨材を容器に入れますが、形状が左のように角張っていると、骨材同士が引っ掛かりうまく充てんされず、空隙が大きく(実積率が小さく)なります。
また、骨材の大きさは右のように大きなものから小さなものまで適度に入っている(粒度分布が良い)骨材の方が空隙が小さく(実積率が大きく)なります。
※仮に、空隙が無い状態の単位容積質量は、骨材の絶乾(表乾)密度と等しくなります。つまり、\(T=d_{D(S)}\)となり、G=100(%)となります。
①実積率が高いものほどスランプが大きくなる=ワーカビリティ―が良くなることが実験の結果わかっています。
以上、コンクリートを発注する際には、コンクリートの実積率にも注意してみましょう、所定の強度とスランプを出すために、無限の配合の組合せがあります。