問題文
下表に示す配(調)合条件で高流動コンクリートの試し練りを行ったところ、目標とする自己充填性を満足しなかった。そこで、細骨材率および空気量は変更せず、水粉体容積比を90%に、単位粗骨材絶対容積(コンクリート1m3を造るときに用いる粗骨材の絶対容積)を0.300(m3/m3)に変更した修正配(調)合で再度試し練りを行うこととした。修正配(調)合の単位水量として、適当なものはどれか。
水粉体容積比(%) | 単位水量(kg/m3) | 単位粗骨材絶対容積(m3/m3) | 空気量(%) |
---|---|---|---|
100 | 165 | 0.310 | 5.0 |
(1)160kg/m3
(2)166kg/m3
(3)175kg/m3
(4)184kg/m3
問題解説(解き方)
この手の問題が出てきたら、自分で表を作成しましょう。その際、単位に気を付けてください。コンクリートは1m3中に含まれる材料の割合が問題になることが多いですが、材料の質量(kg)なのか容積(m3or L)なのかを明確にする必要があります。
ここで、注意しなければならないのは、水は1000kg=1m3であるということです。
この問題では、問題文から”容積”について表をまとめることで問題が解けそうです。
修正前の配(調)合 | 水(m3/m3) | 粉体(m3/m3) | 細骨材(m3/m3) | 粗骨材(m3/m3) | 空気(m3/m3) | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
絶対容積 | 0.165 | C | S | 0.310 | 1×5%=0.05 | 1.00 |
割合 | S/0.165×100=100(水粉体容積比) | RG | RS | 5.0 | 100 |
※C:Cement、S:Sand、RG:Ratio Gravel、RS:Ratio Sandの意味で記号を決めています。
分かるところから埋めていきましょう。
まずは、粉体の絶対容積Cです。
水紛体比((W/C)×100)が100%なので、Cは以下のように求められます。
$$\begin{eqnarray}
\frac{W}{C}×100 &=& 100\\
C &=& 100×\frac{W}{100}
&=& W=0.165
\end{eqnarray}$$
次に細骨材の絶対容積です。
細骨材以外の単位容積あたりの絶対容積が分かっていますので、計算は以下のようになります。
$$S=1.00-(0.165+0.165+0.310+0.05)=0.310$$
細骨材率RS、粗骨材率RGは以下になります。
$$R_{S}=\frac{S}{S+G}×100=\frac{0.310}{0.310+0.310}×100=50$$
$$R_{G}=50$$
これで修正前の配(調)合が分かりました。
次に修正後の配(調)合について、表にまとめます。
修正後の配(調)合 | 水(m3/m3) | 粉体(m3/m3) | 細骨材(m3/m3) | 粗骨材(m3/m3) | 空気(m3/m3) | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
絶対容積 | W’ | C’ | S’=0.300 | 0.300 | 1×5%=0.05 | 1.00 |
割合 | S’/C’×100=90(水粉体容積比) | 50 | 50 | 5.0 | 100 |
問題文から、細骨材率は変更しないことが分かっているため、細骨材の絶対容積S’は下式になります。
$$R_{G’}=\frac{G’}{S’+G’}×100=\frac{0.300}{S’+0.300}×100=50$$
$$S’=0.300$$
また、これでW’とC’について連立して問題が解けそうです。
①水粉体比について
②絶対容積の合計について
この2式について連立方程式を解いていきます。
$$\begin{cases}
\frac{W’}{C’}×100=90 \\
W’+C’+0.300+0.300+0.05=1.00\end{cases}$$
これを解くと、W’=0.1657(m3)≒166(kg/m3)
答えは(2)となります。
配(調)合の問題では、容積なのか質量なのかどちらで問題が解けそうかを判断し、表を作成して解くと分かりやすいと思います。以上です。