【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.23)損傷、疲労

コンクリート診断士 問題と解説Vol.23

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 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【問111_損傷】

 コンクリートの損傷に関する記述中の(A)~(C)に当てはまる次の語句の組合せのうち、適当なものはどれか
 コンクリートの表面が(A)している場合、その表面に(B)が流れると、その下流には気泡が混在した流れが形成され、これらの気泡が急激に圧壊される場所で(C)が生じ、コンクリートが損傷する。
(A) (B) (C)
(1) 急激に屈曲 高速の水 キャビテーション
(2) なだらかに傾斜 高速の水 エロージョン
(3) 急激に屈曲 砂などの粒子を含む水 エロージョン
(4) なだらかに傾斜 砂などの粒子を含む水 キャビテーション
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正解(1)

 キャビテーションとは、空洞現象という意味です。液体の流れの中で、圧力が局部的に低下して、圧力が飽和水蒸気圧より低くなったごく僅かな間に、液体の中に気泡が発生、消滅が起きる現象です。キャビテーションは、コンクリート表面が急激な屈曲をもち、それに沿って高速の水が流れる場合に生じます。
 一方、エロージョンは液体によって表面が摩耗する機械的作用のことを言います。

【問112_摩耗】

 コンクリートのすり減りに関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)圧縮強度が同一の場合、普通コンクリートは、軽量コンクリートよりすり減り抵抗性が高い。
(2)圧縮強度が同一の場合、細骨材率が38%のコンクリートは、細骨材率が43%のコンクリートよりすり減り抵抗が高い。
(3)流速が一定の場合、流水中のコンクリートのすり減り量は、時間の平方根に比例する。
(4)コンクリート水路では、落差のある箇所の水叩き部におけるすり減り量は、落差のない箇所におけるすり減り量より大きい。
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正解(3)

(1)問題のとおりです。軽量骨材は吸水率が高く骨材強度が小さいため、軽量コンクリートのすり減り抵抗性は、普通コンクリートより小さくなります。
(2)問題のとおりです。細骨材率は、骨材に占める細骨材の量です。細骨材が多いほど、粗骨材が少なく、すり減り抵抗性は低くなります。
(3)誤りです。流水中のコンクリートのすり減り量は、コンクリート表面の状態や形状に大きく左右されるため、時間の平方根のように単純化はできません。
(4)問題のとおりです。落差があるほど水叩きによる衝撃が大きくなるため、すり減り量は大きくなります。

【問113_疲労】

 疲労に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)鉄筋溶接部の疲労強度は、母材よりも大きい。
(2)鉄筋の疲労強度は直径が大きくなるにつれて増加する。
(3)鉄筋が腐食しない場合でも、水中にある鉄筋コンクリート部材の疲労寿命は気中にある場合よりも短くなる。
(4)鉄筋が腐食した場合、鉄筋の疲労強度は低下するが、鉄筋コンクリート部材の疲労寿命は変わらない。
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正解(3)

(1)誤りです。溶接部の疲労強度は、母材に比べて小さく、50%程度です。
(2)誤りです。鉄筋の疲労強度は直径が大きくなるほど低下します。これは、圧延による材質の不均質が一因とされています。
(3)問題のとおりです。鉄筋は、腐食しない場合でも、水中では疲労寿命が短くなります。
(4)誤りです。鉄筋が腐食すると、疲労強度や伸び強度が低下するため、鉄筋コンクリート部材としての疲労寿命も短くなります。

【問114_疲労】

 コンクリートの疲労に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)コンクリートの疲労強度は、海水中のほうが、海上大気中よりも大きい。
(2)コンクリートが疲労破壊に近づくと、コンクリートの超音波伝播速度は増加する。
(3)コンクリートは200万回の疲労強度が疲労限界に相当する。
(4)応力振幅が同じであれば、下限応力が小さいほどコンクリートの疲労寿命は長くなる。
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正解(4)

(1)誤りです。水中のコンクリートの疲労強度は、大気中にくらべて著しく低下します。これは、コンクリート内部の空隙内に水が満たされた状態で力を受けると、空隙中の水の圧力が大きくなり、周囲の組織を破壊するためと考えられています。
(2)誤りです。疲労強度に近づくと、コンクリート内部のひび割れが進展するため、超音波速度は低下します。
(3)誤りです。疲労限界は、無限回数の繰り返しでも破壊しない限界の応力です。疲労限界は、鋼材では確認されますが、コンクリートでは確認されません。
(4)問題のとおりです。応力振幅は、下限強度と上限強度の差を指します。応力振幅が同じであれば、下限応力が小さいほど、上限応力も小さくなるため、コンクリートの疲労寿命は長くなります。

【問115_疲労】

 圧縮応力を受けるコンクリートの200万回疲労強度に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか
(1)コンクリートの疲労強度は、下限応力が静的強度の10%程度の場合、静的強度の60~70%の範囲にある。
(2)コンクリートの疲労強度は、水中で繰返し荷重を受ける場合のほうが気中で繰返し荷重を受ける場合より小さい。
(3)上限応力がコンクリートの静的強度の70%程度の場合、載荷速度が大きくなるほど疲労強度は小さくなる。
(4)圧縮強度が同じ場合、軽量コンクリートの疲労強度は、普通コンクリートの疲労強度より小さい。
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正解(3)

(1)問題のとおりです。コンクリートの疲労強度は、下限応力が静的強度の10%程度の場合、静的強度の60~70%の範囲にあります。
(2)問題のとおりです。水中のコンクリートの疲労強度は、大気中にくらべて著しく低下します。これは、コンクリート内部の空隙内に水が満たされた状態で力を受けると、空隙中の水の圧力が大きくなり、周囲の組織を破壊するためと考えられています。
(3)誤りです。一般に、載荷速度が小さいと、変形が増大し強度が小さくなります。疲労強度についても同じように、載荷速度が小さいほど疲労強度は小さくなります。
(4)問題のとおりです。軽量コンクリートは、普通コンクリートに比べて骨材の空隙量が多いため、変形が生じやすく、疲労強度は小さくなります。
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