【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.65)電気化学的防食

コンクリート診断士 問題と解説Vol.65

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 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【問321_電気化学的補修工法】

 電気化学的補修工法に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)脱塩工法において、コンクリート中の鉄筋をマイナス電極とし、外部にプラス電極を設置した。
(2)再アルカリ化工法において、コンクリート中の鉄筋をプラス電極とし、外部にマイナス電極を設置した。
(3)脱塩工法において、脱塩処理が完了したので外部電極を取り外した。
(4)再アルカリ化に要する通電期間は、脱塩処理に要する通電期間より短い。
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正解(2)

(1)問題のとおりです。脱塩工法では、コンクリート中の鉄筋をマイナス電極とし、外部にプラス電極を設置します。
(2)誤りです。再アルカリ化工法においては、コンクリート中の鉄筋をマイナス電極とし、外部にプラス電極を設置します。
(3)問題のとおりです。脱塩工法は、鉄筋を陰極としコンクリート表面に陽極材を設置し、直流電流を流すことで、 塩化物イオンを鉄筋からコンクリート表面へと電気泳動させ、コンクリートのイオン濃度を大幅に低減させる工法です。脱塩工法の通電期間は約8週間です。
(4)問題のとおりです。再アルカリ化工法は、コンクリート表面に陽極材と電解質溶液を設置し、陽極からコンクリート中の鉄筋(陰極)へ直流電流を流すことによって、アルカリ性溶液をコンクリート中に浸透させ、pHを回復させる工法です。再アルカリ化工法の通電期間は約2週間です。

【問322_電気化学的補修工法】

 電気化学防食・補修工法に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)電気防食工法では、コンクリートにアルカリシリカ反応性を有する骨材が使用されていないことを確認する。
(2)電気防食工法では、その適用期間を通じてコンクリート表面積1m2当たり1A程度の直流電流を通電する。
(3)脱塩工法では、鉄筋をカソード、コンクリート表面の陽極材をアノードとして通電する。
(4)脱塩工法では、通電処理は2ヶ月程度で終了する。
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正解(2)

(1)問題のとおりです。電気防食工法を適用すると、コンクリート内部の水の電気分解により水酸化物イオン(OH)が発生するため、鉄筋付近でpHが高くなります。アルカリシリカ反応は、発生した水酸化物イオン(アルカリ)とアルカリ反応性骨材が反応するため、アルカリシリカ反応を有する骨材には適用できません。
(2)誤りです。通電密度は、電気防食工法は10~30mA/m2程度です。
(3)問題のとおりです。脱塩工法では、コンクリート中の鉄筋をマイナス電極(カソード)とし、コンクリート表面にプラス電極(アノード)を設置します。
(4)問題のとおりです。脱塩工法の通電期間は、約8週間(約2ヶ月)です。

【問323_電気化学的補修工法】

 電気化学防食・補修工法に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)電気防食工法で流電陽極方式を採用する場合には、陽極材の消耗を予測しておかなくてはならない。
(2)電気防食工法をプレストレストコンクリート構造物に適用する場合には、カソード電位を水素発生電位よりも卑な値としなくてはならない。
(3)脱塩工法の適用によるコンクリートからの脱塩率(抽出塩化物量/初期含有塩化物量)は、コンクリート深さによらず同程度となる。
(4)再アルカリ化工法に用いられるアルカリ性電解液としては、水酸化カルシウム溶液が一般的である。
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正解(1)

(1)問題のとおりです。流電陽極方式は、鉄筋よりもイオン化傾向が大きい(イオン化しやすい)金属を用いて、外部電源を使用せずに、上図のような電流(電子の流れ)を発生させる方式です。他の金属が鉄筋の代わりにさびることで防食することから、犠牲陽極方式とも呼ばれています。
(2)誤りです。電気防食工法をプレストレストコンクリート構造物に適用する場合には、カソード電位を水素発生電位よりも貴な値としなくてはなりません。過大な電流を流した際に、PC鋼材周辺に水素が発生し、発生した水素による遅れ破壊(水素脆化)が生じます。
(3)誤りです。脱塩工法は深さ方向で電位、含有塩分量が異なるため、深さ方向の脱塩率は同程度とはなりません。
(4)誤りです。再アルカリ化工法に用いられるアルカリ性電解液は、炭酸ナトリウム溶液が一般的です。

【問324_電気化学的補修工法】

 鉄筋コンクリート構造物の電気化学的な各種補修工法に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)電気防食工法で流電陽極方式を適用すると、電気化学的な原理によって陽極材が消耗し、鉄筋の腐食進行が抑制される。
(2)脱塩工法を適用すると、かぶりコンクリート中に含まれる塩化物イオンが電気化学的な原理によって除去され、鉄筋の腐食進行が抑制される。
(3)再アルカリ化工法を適用すると、中性化したかぶりコンクリート部分が電気化学的な原理によってアルカリ性を回復し、鉄筋の腐食進行が抑制される。
(4)海水中の構造物に電着工法を適用すると、コンクリート中のセメント水和物が電気化学的な原理によってコンクリート表面に析出して、鉄筋の腐食進行が抑制される。
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正解(4)

(1)問題のとおりです。流電陽極方式は、鉄筋よりもイオン化傾向が大きい(イオン化しやすい)金属を用いて、外部電源を使用せずに、上図のような電流(電子の流れ)を発生させる方式です。他の金属が鉄筋の代わりにさびることで防食することから、犠牲陽極方式とも呼ばれています。
(2)問題のとおりです。脱塩工法は、鉄筋を陰極としコンクリート表面に陽極材を設置し、直流電流を流すことで、 塩化物イオンを鉄筋からコンクリート表面へと電気泳動させ、コンクリートのイオン濃度を大幅に低減させる工法です。脱塩工法の通電期間は約8週間です。
(3)問題のとおりです。再アルカリ化工法は、コンクリート表面に陽極材と電解質溶液(一般には炭酸ナトリウム溶液)を設置し、陽極からコンクリート中の鉄筋(陰極)へ直流電流を流すことによって、アルカリ性溶液をコンクリート中に浸透させ、pHを回復させる工法です。
(4)誤りです。電着工法は、海水環境の場合、海水中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンが炭酸カルシウムや水酸化マグネシウムとして析出し、コンクリート表層部をち密化して劣化因子の浸透を抑制する機能を向上させます。

【問325_電気化学的補修工法】

 コンクリート構造物に適用する電気化学的補修工法に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)厳しい塩害環境下で新設時から継続的に電気防食工法を適用することは、予防保全の観点から有効である。
(2)電気防食工法に用いられる電流密度は、脱塩工法の場合より小さい。
(3)補修効果を得るための通電時間は、脱塩工法のほうが再アルカリ化工法に比べて短い。
(4)かぶりコンクリートが中性化しているが鉄筋腐食は進行していない場合、再アルカリ化工法が有効である。
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正解(3)

(1)問題のとおりです。厳しい塩害環境下で新設時から継続的に電気防食工法を適用することは、予防保全の観点から有効です。
(2)問題のとおりです。通電密度は、電気防食工法は10~30mA/m2、脱塩工法および再アルカリ化工法では1A/m2です。電気防食工法は、鉄筋の電位を下げることで、アノード反応を生じなくする工法で、小さい電流密度で、常に通電していなければなりません。一方、脱塩工法および再アルカリ化工法は、アルカリイオンの電気泳動によるもので、大きい電流密度で、脱塩工法では約8週間、再アルカリ化工法では約2週間通電します。
(3)誤りです。脱塩工法および再アルカリ化工法は、アルカリイオンの電気泳動によるもので、1A/m2の電流密度で、脱塩工法では約8週間、再アルカリ化工法では約2週間通電します。
(4)問題のとおりです。再アルカリ化工法は、コンクリート表面に陽極材と電解質溶液を設置し、陽極からコンクリート中の鉄筋(陰極)へ直流電流を流すことによって、アルカリ性溶液をコンクリート中に浸透させ、かぶりコンクリートのpHを回復させる工法です。
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