コンクリート診断士 問題と解説Vol.2-23
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【No.111】
コンクリートの配合調査に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)配合調査におけるセメント協会法は,105μmのふるいを全部通過する程度に微粉砕した資料を塩酸で処理した後,不溶残分および酸化カルシウムを定量し,これらの値からそれぞれの骨材量およびセメント量を推定する方法である。
(2)配合調査におけるセメント協会法は,中性化したコンクリートに適用できない。
(3)配合調査におけるセメント協会法は,石灰石骨材や貝殻を含んだ海砂を使用したコンクリートには適用できない。
(4)配合調査におけるセメント協会法は,コンクリートコア採取後に単位容積質量を測定し,乾燥後に微粉砕して分析資料を採取する。
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正解は(2)
【解説】
(1)○正しい。配合調査におけるセメント協会法は,105μmのふるいを全部通過する程度に微粉砕した資料を塩酸で処理した後,不溶残分および酸化カルシウムを定量し,これらの値からそれぞれの骨材量およびセメント量を推定する方法です。
(2)×誤り。配合調査におけるセメント協会法は,酸化カルシウムを定量するため,中性化したコンクリートに適用可能です。
(3)○正しい。配合調査におけるセメント協会法は,石灰石骨材や貝殻を含んだ海砂を使用したコンクリートに適用すると,セメント水和物中と骨材中のカルシウムが区別できないため,単位セメント量の推定値に誤差を生じるため適用できないという欠点があります。
(4)○正しい。配合調査におけるセメント協会法は,コンクリートコア採取後に単位容積質量を測定し,乾燥後に微粉砕して分析資料を採取します。
【No.112】
コンクリートの配合調査に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)配合調査におけるセメントICP法は,セメント協会法の欠点の解消を図った方法であり,石灰石骨材を用いたコンクリートに適用できる。
(2)配合調査におけるグルコンサナトリウムを用いる方法は,グルコン酸ナトリウム溶液を溶解液として採用しており,この溶液が貝殻や石灰石骨材に起因する炭酸カルシウムをほとんど溶解せず,セメント分を溶解することを活用した方法である。
(3)配合調査におけるグルコンサナトリウムを用いる方法は,セメント協会法の欠点の解消を図った方法であり,石灰石骨材を用いたコンクリートや中性化したコンクリートに適用できる。
(4)配合調査におけるフッ化水素酸を用いる方法は,フッ化水素酸を用いてコンクリートを完全に分解し,酸化カルシウム量を求める方法であり,石灰石を用いたコンクリートにも適用可能である。
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正解は(3)
【解説】
(1)○正しい。配合調査におけるセメントICP法は,セメント協会法の欠点の解消を図った方法であり,セメント構成成分の酸化溶性シリカに着目し,ICPにより定量を行うため,石灰石骨材を用いたコンクリートに適用できます。
(2)○正しい。配合調査におけるグルコン酸ナトリウムを用いる方法は,グルコン酸ナトリウム溶液を溶解液として採用しており,この溶液が貝殻や石灰石骨材に起因する炭酸カルシウムをほとんど溶解せず,セメント分を溶解することを活用した方法です。
(3)×誤り。配合調査におけるグルコン酸ナトリウムを用いる方法は,セメント協会法の欠点の解消を図った方法であり,石灰石骨材を用いたコンクリートに適用できますが,混和材や炭酸カルシウムがグルコン酸ナトリウムに溶解されないため,中性化したコンクリートに適用できません。
(4)○正しい。配合調査におけるフッ化水素酸を用いる方法は,フッ化水素酸を用いてコンクリートを完全に分解し,酸化カルシウム量を求める方法であり,石灰石を用いたコンクリートにも適用可能です。
【No.113】
コンクリートの微細構造の調査に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)コンクリートの組織構造の調査方法として,化学組成分析と微細構造観察に分けられる。
(2)コンクリートの微細構造観察の調査方法には,SEM,走査型電子顕微鏡,水銀圧入法,ガス吸着法がある。
(3)走査差型電子顕微鏡は,光学顕微鏡と同様に拡大像を直接目でとらえる仕組みで,更に高解像度の観察が可能である。
(4)走査型電子顕微鏡は,低倍率ではコンクリート内部の空隙の形態,分布状況やアルカリシリカゲルの存在状態などを確認でき,高倍率では骨材とセメントペーストの界面の状態やセメント硬化体の結晶の生成状態などが観察できる。
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正解は(3)
【解説】
(1)○正しい。コンクリートの組織構造の調査方法として,化学組成分析と微細構造観察に分けられます。
(2)○正しい。コンクリートの微細構造観察の調査方法には,SEM,走査型電子顕微鏡,水銀圧入法,ガス吸着法があります。
(3)×誤り。走査型電子顕微鏡は,顕微鏡の一種であり,光学顕微鏡のように拡大像を直接目でとらえるのではなく,電子ビームを照射して跳ね返ってきた表面情報を検出部でとらえ,増幅してモニタに表示する者です。
(4)○正しい。走査型電子顕微鏡は,低倍率ではコンクリート内部の空隙の形態,分布状況やアルカリシリカゲルの存在状態などを確認でき,高倍率では骨材とセメントペーストの界面の状態やセメント硬化体の結晶の生成状態などが観察できます。
【No.114】
コンクリートの微細構造の調査に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)水銀圧入法は,コンクリートの細孔中に水銀を圧入し,侵入量と加圧力を測定する方法である。
(2)水銀圧入法は,硬化コンクリートの比表面積や細孔径分布,細孔容積を測定し,凍結融解の抵抗性の推定を行う。
(3)ガス吸着法は,ガス分子の吸着量や凝縮状態と,その時の加圧力を測定する。
(4)ガス吸着法は,硬化コンクリートの比表面積や細孔径分布,細孔容積を測定するが,超高強度コンクリートなど細孔径の小さいコンクリートに適用することはできない。
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正解は(4)
【解説】
(1)○正しい。水銀圧入法は,コンクリートの細孔中に水銀を圧入し,侵入量と加圧力を測定する方法です。
(2)○正しい。水銀圧入法は,硬化コンクリートの比表面積や細孔径分布,細孔容積を測定し,凍結融解の抵抗性の推定を行います。
(3)○正しい。ガス吸着法は,ガス分子の吸着量や凝縮状態と,その時の加圧力を測定します。
(4)×誤り。ガス吸着法は,硬化コンクリートの比表面積や細孔径分布,細孔容積を測定しますが,超高強度コンクリートなど細孔径の小さいコンクリートに適用する方法です。
【No.115】
コンクリートの化学成分分析に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)コンクリートの組織構造調査で,化学組成分析を行う方法には,主にEPMA,電子線マイクロアナライザー,XRD,X線回折,XRF,蛍光X線分析,示唆熱量分析がある。
(2)EPMA,電子線マイクロアナライザーは波長分散型X線分光器を搭載した分析装置で,10cm×10cm程度の大きさの試料の面分析が可能である。
(3)EPMA,電子線マイクロアナライザーは広域マッピング機能を利用してコンクリート表面から侵入する微量成分の分布や炭酸化の進行状況,塩化物イオンの侵入状況,下水道劣化の進行状況など多岐にわたっており,最近では,補修材料の効果の確認,防食材料の耐久性評価等に活用されている。
(4)X線回折は構造物に照射したX線がセメント水和物や骨材を通過した際の回折角から,含有される結晶性の成分を定量分析する。
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正解は(4)
【解説】
(1)○正しい。コンクリートの組織構造調査で,化学組成分析を行う方法には,主にEPMA,電子線マイクロアナライザー,XRD,X線回折,XRF,蛍光X線分析,示唆熱量分析があります。
(2)○正しい。EPMA,電子線マイクロアナライザーは波長分散型X線分光器を搭載した分析装置で,10cm×10cm程度の大きさの試料の面分析が可能です。
(3)○正しい。EPMA,電子線マイクロアナライザーは広域マッピング機能を利用してコンクリート表面から侵入する微量成分の分布や炭酸化の進行状況,塩化物イオンの侵入状況,下水道劣化の進行状況など多岐にわたっており,最近では,補修材料の効果の確認,防食材料の耐久性評価等に活用されています。
(4)×誤り。X線回折は構造物に照射したX線がセメント水和物や骨材を通過した際の回折角から,含有される結晶性の成分を定性分析します。