【一級土木施工管理技士の問題と解説】R1年問題A(No.6~10)

一級土木施工管理技士 問題と解説R1_A_No.6~10

【R1_学科A_No6】

 コンクリート用細骨材に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)高炉スラグ細骨材は、粒度調整や塩化物含有量の低減などの目的で、細骨材の一部として山砂などの天然細骨材と混合して用いられる場合が多い。
(2)細骨材に用いる砕砂は、粒径判定実積率試験により粒径の良否を判定し、角ばりの形状はできるだけ小さく、細長い粒や偏平な粒の少ないものを選定する。
(3)細骨材中に含まれる粘土塊量の試験方法では、微粒分量試験によって微粒分量を分離したものを試料として用いる。
(4)再生細骨材Lは、コンクリート塊に破砕、磨砕、分級等の処理を行ったコンクリート用骨材で、JIS A 5308レディーミクストコンクリートの骨材として用いる。
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正解(4)
(1)○です。高炉スラグ骨材は、製鉄の際に発生する産業副産物です。有機不純物、粘土、貝殻などを含まず、粗粒から微粒に至るまで同一の化学成分です。
さらに、アルカリシリカ反応の原因となる溶解性シリカをほとんど含まず、環境負荷低減効果を有します。高炉スラグ細骨材は、粒度調整や塩化物含有量の低減などの目的で、細骨材の一部として山砂などの天然細骨材と混合して用いられる場合が多いです。
(2)○です。細骨材に用いる砕砂は、粒径判定実積率試験により粒径の良否を判定し、実積率が高い骨材を選定します。具体的には、角が少なく、細長い粒や偏平な粒の少ないものを選定します。
(3)○です。細骨材中に含まれる粘土塊量の試験方法では、微粒分量試験によって微粒分量を分離したものを試料として用います。粘土塊とは、指で押して砕ける粘土の塊です。微粒分量とは75μmの網ふるいを通過する微粉末の量です。
(4)×です。JIS A 5308レディーミクストコンクリートの骨材として用いることができるのは、再生骨材Hです。
再生骨材H:コンクリート塊に対して、破砕、磨砕、分級など高度な処理を行う。
再生骨材M:コンクリート塊に対して、破砕、磨砕などの処理を行う。
再生骨材L:コンクリート塊に対して、破砕などの処理を行う。

【R1_学科A_No7】

 混和材を用いたコンクリートの特徴に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)普通ポルトランドセメントの一部をフライアッシュで置換すると、単位水量を減らすことができ長期強度の増進や乾燥収縮の低減が期待できる。
(2)普通ポルトランドセメントの一部をシリカフュームで置換すると、水密性や化学抵抗性の向上が期待できる。
(3)普通ポルトランドセメントの一部を膨張材で置換すると、コンクリートの温度ひび割れ抑制やアルカリシリカ反応の抑制効果が期待できる。
(4)細骨材の一部を石灰石微粉末で置換すると、材料分離の低減やブリーディングの抑制が期待できる。
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正解(3)
(1)○です。フライアッシュは、石炭火力発電でボイラーの出口付近で集塵される、球状の微細粒子です。球状であるため、流動性が高くなり、単位水量を減らすことができます。また、フライアッシュの主成分であるシリカは、コンクリート中の水酸化カルシウムと反応し、ケイ酸カルシウム水和物を生成します。それにより、長期強度の増進や乾燥収縮の低減が期待できます。
(2)○です。電気炉で金属シリコン(金属ケイ素)を製造する際に発生する蒸気を集塵すると、シリカフュームと呼ばれる高純度の二酸化ケイ素の微細球状粒子が得られます。シリカフュームの主成分であるシリカは、コンクリート中の水酸化カルシウムと反応し、ケイ酸カルシウム水和物を生成します。シリカフュームは極めて小さいため、コンクリートの組織を緻密にし、水密性や化学抵抗性の向上が期待できます。
(3)×です。コンクリートの収縮を膨張させることで相殺し、ひび割れを抑制する働きを持つのが、膨張材です。コンクリートの温度ひび割れ抑制やアルカリシリカ反応の抑制効果には期待できません。
(4)○です。細骨材の一部を石灰石微粉末で置換すると、コンクリートの単位粉体量が多くなります。単位粉体量が多くなると、材料分離の低減やブリーディングの抑制が期待できます。

【R1_学科A_No8】

 コンクリートの打込みに関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)型枠内に打ち込んだコンクリートは、材料分離を防ぐため、棒状バイブレータを用いてコンクリートを横移動させながら充てんする。
(2)コンクリート打込み時にシュートを用いる場合は、縦シュートではなく斜めシュートを標準とする。
(3)コールドジョイントの発生を防ぐためのコンクリートの許容打ち重ね時間間隔は、外気温が高いほど長くなる。
(4)コンクリートの打ち上がり面に帯水が認められた場合は、型枠に接する面が洗われ、砂すじや打ち上がり面近くにぜい弱な層を形成するおそれがあるので、スポンジやひしゃくなどで除去する。
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正解(4)
(1)×です。棒状バイブレータを用いてコンクリートを横移動させると、材料分離の原因となるため、行ってはいけません。
(2)×です。シュートはコンクリートを打ち込み箇所まで流し込むための筒状、あるいは、筒を半分に切断したU字形断面の道具です。コンクリート打込み時に斜めシュートを用いると、材料分離の原因となるため、縦シュートを用いることを標準とします。
(3)×です。コンクリートの凝結時間は、温度が高いほど短くなります。コールドジョイントの発生を防ぐためのコンクリートの許容打ち重ね時間間隔は、外気温が高いほど短くなります。許容打ち重ね時間間隔は、外気温が25℃以下の時は150分以内、25℃を超える時は、120分以内とされています。
(4)○です。コンクリートの打ち上がり面に帯水が認められた場合は、型枠に接する面が洗われ、砂すじや打ち上がり面近くにぜい弱な層を形成するおそれがあるので、スポンジやひしゃくなどで除去します。砂すじは、コンクリート表面のセメントペーストが水によって洗い流され、細骨材があらわになった状態です。また、打ち上がり面に帯水があると、ぜい弱な層であるレイタンスが発生します。

【R1_学科A_No9】

 暑中コンクリートに関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)暑中コンクリートでは、運搬中のスランプの低下や連行空気量の増加などの傾向があり、打込み時のコンクリート温度の上限は、35℃以下を標準とする。
(2)暑中コンクリートでは、練上がり温度の10℃の上昇に対し、所要のスランプを得るために単位水量が2~5%増加する傾向がある。
(3)暑中コンクリートでは、コールドジョイントの発生防止のため、減水剤、AE減水剤及び流動化剤について遅延型のものを用いる。
(4)暑中コンクリートでは、練上がりコンクリートの温度を低くするために、なるべく低い温度の練混ぜ水を用いる。
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正解(1)
(1)×です。暑中コンクリートでは、コンクリートの練上がり温度が高くなることで、運搬中のスランプの低下や連行空気量の減少などの傾向があります。そのため、打込み時のコンクリート温度の上限は、35℃以下を標準とします。
(2)○です。暑中コンクリートでは、練上がり温度の10℃の上昇に対し、所要のスランプを得るために単位水量が2~5%増加する傾向があります。
(3)○です。暑中コンクリートでは、コールドジョイントの発生防止のため、減水剤、AE減水剤及び流動化剤について遅延型のものを用います。
(4)○です。暑中コンクリートでは、練上がりコンクリートの温度を低くするために、なるべく低い温度の練混ぜ水を用います。

【R1_学科A_No10】

 鉄筋の重ね継手に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)横方向鉄筋の継手は、鉄筋を直接接合する継手を用いることとし、原則として重ね継手を用いてはならない。
(2)重ね継手を設ける場合は、コンクリートのゆきわたりをよくするために、できるだけ同一断面に集中して配置する。
(3)重ね継手部分を焼きなまし鉄線で緊結する際の焼きなまし鉄線を巻く長さは、コンクリートと鉄筋の付着強度が低下しないよう、適切な長さとし、必要以上に長くしない。
(4)継足しのために構造物から露出させておく鉄筋は、セメントペーストを塗ったり、高分子材料の被膜で包んだりして、損傷、腐食などから保護しなければならない。
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正解(2)
(1)○です。横方向鉄筋であるスターラップやフープは、かぶりが小さく、コンクリートとの付着力が小さいため、原則として重ね継手を用いてはなりません。
(2)×です。重ね継手を設ける場合は、コンクリートのゆきわたりをよくするために、重ね継手の位置をずらして設けます。ずらす距離は継手の長さに鉄筋直径の25倍を加えた長さ以上を標準とします。
(3)○です。重ね継手部分を焼きなまし鉄線で緊結する際の焼きなまし鉄線を巻く長さは、コンクリートと鉄筋の付着強度が低下しないよう、適切な長さとし、必要以上に長くしなようにします。
(4)○です。継足しのために構造物から露出させておく鉄筋は、セメントペーストを塗ったり、高分子材料の被膜で包んだりして、損傷、腐食などから保護しなければならなりません。
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