【一級土木施工管理技士】過去問演習(No.21~25)

【No.21】

河川の掘削工事に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
(1)河道内の掘削工事では,掘削深さが河川水位より低い場合や地下水位が高い場合,数層に分けて掘削するなど,土質や水位条件などを総合的に検討して掘削方法を決める必要がある。
(2)河道内の掘削工事では,出水時に掘削機械が迅速に安全な場所に退避できるようにあらかじめ退避場所を設けておく必要がある。
(3)低水路部の一連区間の掘削では,流水が乱流を起こして部分的に深掘れなどの影響が生じないよう,原則として上流から下流に向かって掘削する。
(4)低水路の掘削土を築堤土に利用する場合は,地下水位や河川水位を低下させるための瀬替えや仮締切り,排水溝を設けた釜場での排水などにより含水比の低下をはかる。
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正解は(3)

【解説】
(1)〇正しい。河道内の掘削工事では,掘削深さが河川水位より低い場合や地下水位が高い場合,数層に分けて掘削するなど,土質や水位条件などを総合的に検討して掘削方法を決める必要があります。
(2)〇正しい。河道内の掘削工事では,出水時に掘削機械が迅速に安全な場所に退避できるようにあらかじめ退避場所を設けておく必要があります。
(3)×誤り。低水路部の一連区間の掘削では,上流から掘削すると流水が掘削面に当たり,乱流を起こして部分的な深掘れや,水衝部となった河岸や堤防に洗掘等の影響を及ぼすだけでなく,掘削箇所の土砂をも洗掘させることになるため,原則として下流から上流に向かって掘削します。
(4)〇正しい。低水路の掘削土を築堤土に利用する場合は,運搬して直接盛土することができ,所定の締め固めが確保できる最適な含水比に近づけておきます。

【No.22】

河川護岸前面に設置する根固工に関する次の記述のうち,適当なものほどれか。
(1)根固工は,流体力に耐える重量であり,護岸基礎前面の河床の洗掘を生じさせない敷設量とし,耐久性が大きく,河床変化に追随できる屈とう性構造とする。
(2)根固工の敷設天端高は,平均河床高と同じ高さとすることを基本とし,根固工と法覆工との間に間げきを生じる場合には,適当な間詁工を施すものとする。
(3)根固工のブロック重量は,平均流速及び流石などに抵抗できる重さを有する必要があることから,現場付近の河床にある転石類の平均重量以上とする。
(4)根固工に用いる異形コンクリートブロックの乱積みは,河床整正を行って積み上げるので,水深が深くなると層積みと比較して施工は困難になる。
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正解は(1)

【解説】
(1)〇正しい。根固工は,流体力に耐える重量であり,護岸基礎前面の河床の洗掘を生じさせない敷設量とし,耐久性が大きく,河床変化に追随できる屈とう性構造とします。
(2)×誤り。根固工の敷設天端高は,護岸の基礎工天端高と同じ高さとすることを基本とします。なお,根固工を基礎工よりも上として洗掘を防止する方法もあります。
(3)×誤り。根固工のブロック重量は,洪水時の流速で流失しない重さを有する必要があります。
(4)×誤り。異形コンクリートブロックの積み方には,層積みと乱積みがあり,層積みは河床を整正してブロックを規則正しく並べ,鉄筋,ワイヤーなどで連結する工法で水中での施工,維持・補修が困難です。乱積みは河床にブロックを不規則に積み上げる工法で,水深が深い場所や河床変化の大きい場所での施工,維持・補修が容易です。

【No.23】

河川の柔構造樋門の施工に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
(1)キャンバー盛土の施工は,キャンバー盛土下端付近まで掘削し,新たに適切な盛土材を用いて盛土することが望ましい。
(2)樋門本体の不同沈下対策としての可とう性継手は,樋門の構造形式や地盤の残留沈下を考慮し,できるだけ土圧の大きい堤体中央部に設ける。
(3)堤防開削による床付け面は,荷重の除去にともなって緩むことが多く,乱さないで施工するとともに転圧によって締め固めることが望ましい。
(4)基礎地盤の沈下により函体底版下に空洞が発生した場合は,その対策としてグラウトが有効であることから,底版にグラウトホールを設置する。
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正解は(2)

【解説】
(1)〇正しい。キャンバー盛土は,予測される沈下量をかさ上げ盛土し,樋門の沈下量を抑え不同沈下を軽減するために施工するもので,盛土材料は均一で締め固め易く透水性が低い材料がよいです。
(2)×誤り。可とう継ぎ手は,樋門の構造形式及び地盤の残留沈下分布に対応できるスパン割りを検討して適切な位置に設けます。できるだけ堤体中央部付近を避け,継手は2箇所以上とします。
(3)〇正しい。荷重の除去にともなって床付け面が緩むと,ボイリング,パイピング,ヒービング,盤ぶくれ等の破壊現象を起こしやすくなります。
(4)〇正しい。函体の底版下に空洞が発生した場合の対策工法は,空洞にグラウトを充てんするグラウトエ法が広く用いられます。

【No.24】

砂防えん堤の施工に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
(1)岩盤にコンクリートを打ち込む場合は,基礎掘削によって緩められた岩盤を取り除き岩屑や泥を十分洗い出し,たまり水をふき取る作業が必要である。
(2)砂礫の上にコンクリートを打ち込む場合は,転石などの泥を洗浄し,基礎面は十分水切りを行って泥ねいによるコンクリート汚染が起こらないようにしなければならない。
(3)砂防えん堤の上下流の岩盤余掘部をコンクリートで充てんするための間詰めは,風化していない岩盤までコンクリートを打ち上げる。
(4)コンクリートの打ち継ぎ面は,砂防えん堤の堤体の一体化をはかるため,コンクリート打込み時には乾燥した状態でなければならない。
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正解は(4)

【解説】
(1)〇正しい。岩盤にコンクリートを打ち込む場合は,基礎掘削によって緩められた岩盤を取り除き岩屑や泥を十分洗い出し,たまり水をふき取る作業が必要です。
(2)〇正しい。砂礫の上にコンクリートを打ち込む場合は,転石などの泥を洗浄し,基礎面は十分水切りを行って泥ねいによるコンクリート汚染が起こらないようにしなければなりません。
(3)〇正しい。砂防えん堤の上下流の岩盤余掘部の間詰めは,基礎部の場合,岩盤基礎はコンクリート,砂礫基礎は砂礫あるいはコンクリートで行い,本体の立ち上がり部及び袖の嵌入部は,岩盤の場合はコンクリート,土砂盤の場合は土留擁壁を設け土砂で埋め戻すことが多いです。
(4)×誤り。コンクリートの打ち継ぎ面は,あらかじめ吸水させ,湿潤状態にしたうえで,モルタルを塗り込むように敷き均します。

【No.25】

渓流保全工の各構造に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)床固め工は,コンクリートを打ち込むことにより構築される場合が多いが,地すべり地などのように柔軟性の必要なところでは,枠工や蛇かごによる床固め工が設置される。
(2)帯工は,渓床の固定をはかるために設置されるものであり,天端高と計画河床高の差を考慮して落差を設ける。
(3)護岸工は,渓岸の侵食・崩壊を防止するために設置されるものであり,床固め工の袖部を保護する目的では設置しない。
(4)水制工は,荒廃渓流に設置される場合,水制頭部が流水及び転石の衝撃を受けることから,堅固な構造とするが,頭部を渓床の中に深くは設置しない。
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正解は(2)

【解説】
(1)×誤り。床固め工は,一般的に重力式コンクリート型式が用いられますが,地すべり地や軟弱地盤などでは枠床固工,ブロック床固工,鋼製床固工等が用いられます。
(2)〇正しい。帯工は,渓床の固定をはかるために設置されるもので,天端高と計画河床高の差を考慮して落差を設けます。
(3)×誤り。護岸工は,山脚の固定,渓岸の侵食・崩壊を防止するとともに床固工の袖部の保護などを目的に設置される構造物です。
(4)×誤り。荒廃渓流における水制頭部は,流水及び転石の衝撃を最も強く受けることから,堅固な構造とする必要があり,また洗掘に対し安定するよう頭部を長く,深く渓床の中に掘り入れます。
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