【一級土木施工管理技士】過去問演習(No.101~105)

【No.101】

打ち込み杭工法による鋼管杭基礎の施工に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
(1)杭の打止め管理は,試験杭で定めた方法に基づき,杭の根入れ深さ,リバウンド量(動的支持力),貫入量,支持層の状態などより総合的に判断する必要がある。
(2)打撃工法において杭先端部に取り付ける補強バンドは,杭の打ち込み性を向上させることを目的とし,周面摩擦力を増加させる働きがある。
(3)打撃工法においてヤットコを使用したり,地盤状況などから偏打を起こすおそれがある場合には,鋼管杭の板厚を増したりハンマの選択に注意する必要がある。
(4)鋼管杭の現場溶接継手は,所要の強度及び剛性を有するとともに施工性にも配慮した構造とするため,アーク溶接継手を原則とし,一般に半自動溶接法によるものが多い。
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正解は(2)

【解説】
(1)〇正しい。杭の打止め管理に用いるリバウンド量と貫入量は,先端の支持力が増すと,貫入量が少なくなりリバウンド量が増加します。
(2)×誤り。打撃工法において杭先端部に取り付ける補強バンドは,打ち込みに対する補強及び打ち込み性向上(地盤との周面摩擦力低減)のため,鋼管の先端外面に板厚9mmの鋼板を溶接するものです。
(3)〇正しい。打撃工法においてヤットコを使用したり,地盤状況などから偏打を起こすおそれがある場合には,鋼管杭の板厚を増したりハンマの選択に注意する必要があります。
(4)〇正しい。鋼管杭の現場溶接継手は,所要の強度及び剛性を有するとともに施工性にも配慮した構造とするため,アーク溶接継手を原則とし,一般に半自動溶接法によるものが多いです。

【No.102】

場所打ち杭基礎の施工に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)アースドリル工法では,地表部に表層ケーシングを建て込み,孔内に注入する安定液の水位を地下水位以下に保ち,孔壁に水圧をかけることによって孔壁を保護する。
(2)リバース工法では,スタンドパイプを安定した不透水層まで建て込んで孔壁を保護・安定させ,コンクリート打ち込み後も,スタンドパイプを引き抜いてはならない。
(3)深礎工法では,掘削孔全長にわたりライナープレートなどによる土留めを行いながら掘削し,土留め材はモルタルなどを注入後に撤去することを原則とする。
(4)オールケーシング工法では,掘削孔全長にわたりケーシングチューブを用いて孔壁を保護するため,孔壁崩壊の懸念はほとんどない。
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正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。アースドリル工法では,孔内の安定液の水位を地下水位以上に保ち,孔壁を保護します。
(2)×誤り。リバース工法では,スタンドパイプを安定した不透水層まで建て込んで孔壁を保護・安定させ,コンクリート打ち込み後スタンドパイプを引き抜きます。
(3)×誤り。深礎工法では,掘削孔全長にわたり,ライナープレートなどで土留めを行いながら掘削し,硬質な粘性土,硬岩など明らかに崩壊しないと判断される場合を除いて土留め材は撤去しません。
(4)〇正しい。オールケーシング工法では,ケーシングチューブを揺動圧入または回転圧入しながら内部の土砂をハンマーグラブで掘削するので,孔壁崩壊の懸念はほとんどません。

【No.103】

擁壁の直接基礎の施工に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
(1)基礎の施工にあたっては,擁壁の安定性を確保するため,掘削時に基礎地盤を緩めたり,必要以上に掘削することのないように処理しなければならない。
(2)基礎地盤が岩盤のときには,擁壁の安定性を確保するため,掘削面にある程度の不陸を残し,平滑な面としないように施工する。
(3)基礎地盤を現場で安定処理した改良土の強度は,一般に同じ添加量の室内配合における強度よりも大きくなることを考慮して施工しなければならない。
(4)基礎地盤をコンクリートで置き換える場合には,底面を水平に掘削して岩盤表面を十分洗浄し,その上に置換えコンクリートを直接施工する。
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正解は(3)

【解説】
(1)〇正しい。基礎の施工にあたっては,擁壁の安定性を確保するため,掘削時に基礎地盤を緩めたり,必要以上に掘削することのないように処理しなければなりません。
(2)〇正しい。基礎地盤が岩盤のときには,擁壁の安定性を確保するため,掘削面にある程度の不陸を残し,平滑な面としないように施工します。
(3)×誤り。基礎地盤を現場で安定処理した改良土の強度は,一般に同じ添加量の室内配合における強度よりも小さくなります。
(4)〇正しい。基礎地盤をコンクリートで置き換える場合には,岩盤とコンクリートが密着し,滑動しないように岩盤表面を十分洗浄し,その上に置換えコンクリートを直接施工します。

【No.104】

土留め工の施工に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
(1)自立式土留めは,掘削側の地盤の抵抗によって土留め壁を支持する工法で,掘削面内に支保工がないので掘削が容易であり,比較的良質な地盤で浅い掘削に適する。
(2)切ばり式土留めは,支保工と掘削側の地盤の抵抗によって土留め壁を支持する工法で,現場の状況に応じて支保工の数,配置などの変更が可能である。
(3)控え杭タイロッド式土留めは,控え杭と土留め壁をタイロッドでつなげ,これと地盤の抵抗により土留め壁を支持する工法で,軟弱で深い地盤の掘削に適する。
(4)アンカー式土留めは,土留めアンカーと掘削側の地盤の抵抗によって土留め壁を支持する工法で,掘削面内に切ばりがないので掘削が容易であるが,良質な定着地盤が必要である。
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正解は(3)

【解説】
(1)〇正しい。自立式土留めは,掘削側の地盤の抵抗によって土留め壁を支持する工法で,掘削面内に支保工がないので掘削が容易であり,比較的良質な地盤で浅い掘削に適します。
(2)〇正しい。切ばり式土留めは,鋼矢板や,H型鋼杭に横矢板を挿入した構造で,腹おこしの段数を柔軟に変え,現場の状況に応じて支保工の数,配置などの変更が可能です。
(3)×誤り。控え杭タイロッド式土留めは,比較的良質な地盤で浅い掘削に適しています。
(4)〇正しい。アンカー式土留めは,土留めアンカーと掘削側の地盤の抵抗によって土留め壁を支持する工法で,偏土圧が作用する場合にも適用できます。

【No.105】

鋼道路橋に用いる耐候性鋼材に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
(1)耐候性鋼材の箱桁や鋼製橋脚などの内面は,閉鎖された空間であり結露が生じやすく,耐候性鋼材の適用可能な環境とならない場合には,普通鋼材と同様に内面用塗装仕様を適用する。
(2)耐候性鋼用表面処理剤は,塩分過多な地域でも耐候性鋼材を使用できるように防食機能を向上させるために使用する。
(3)耐候性鋼材は,普通鋼材に適量の合金元素を添加することにより,鋼材表面に緻密なさび層を形成させ,これが鋼材表面を保護することで鋼材の腐食による板厚減少を抑制する。
(4)耐候性鋼橋に用いる高力ボルトは,主要構造部材と同等以上の耐候性能を有する耐候性高力ボルトを使用する。
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正解は(2)

【解説】
(1)〇正しい。耐候性鋼材の箱桁や鋼製橋脚などの内面は,閉鎖された空間であり結露が生じやすく,耐候性鋼材の適用可能な環境とならない場合には,普通鋼材と同様に内面用塗装仕様を適用します。
(2)×誤り。耐候性鋼用表面処理剤は,耐候性鋼材から流出したさび汁によって,周辺を汚すことを抑制する目的で開発されたものであり,鋼材表面の保護性さびの形成を助け,当初のさびむらの発生やさび汁の流出を防ぐものです。基本的には,鋼材中に添加された合金元素の作用を補助して腐食速度をより低減させるものであり,塩分過多な地域で耐候性鋼材を使用できるように防食機能を向上させるものではありません。
(3)〇正しい。耐候性鋼材は,鋼材に適量の合金元素(銅,クロム,ニッケルなど)を添加することで,鋼材表面に緻密なさびを生成させ,腐食の原因となる酸素や水から鋼材を保護し,さびの進展を抑制するものです。
(4)〇正しい。耐候性鋼橋に用いる高力ボルトは,主要構造部材と同等以上の耐候性能を有する耐候性高力ボルトを使用します。
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