【一級土木施工管理技士の問題と解説】R1年問題A(No.11~15)

一級土木施工管理技士 問題と解説R1_A_No.11~15

【R1_学科A_No11】

 コンクリートの養生に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)膨張材を用いた収縮補償用コンクリートは、乾燥収縮ひび割れが発生しにくいので、一般的に早強ポルトランドセメントを用いたコンクリートと比べて湿潤養生期間を短縮することができる。
(2)高流動コンクリートは、ブリーディングが通常のコンクリートと比べて少なく保水性に優れるため、打込み表面をシートや養生マットで覆わなくてもプラスティック収縮ひび割れは防止できる。
(3)マスコンクリート部材では、型枠脱型時に十分な散水を行い、コンクリート表面の温度をできるだけ早く下げるのがよい。
(4)寒中コンクリートにおいて設定する養生温度は、部材断面が薄い場合には、初期凍害防止の観点から、標準養生温度より高く設定しておくのがよい。
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正解(4)
(1)×です。膨張材は、酸化カルシウムや、エトリンガイトの水和反応による膨張によって、コンクリートの乾燥収縮を低減させます。水和反応には、水が必要であるため、収縮補償用コンクリートは、打ち込み後少なくとも5日間、湿潤状態に保つことを標準とします。
(2)×です。高流動コンクリートは、ブリーディングが通常のコンクリートと比べて少ないため、表面が乾燥しやすく、表面の急激な乾燥によるプラスティック収縮ひび割れが発生しやすいです。そのため、打込み表面をシートや養生マットで覆う必要があります。
(3)×です。マスコンクリート部材では、コンクリートの硬化反応に伴う水和熱によって、内部温度が上昇します。そのうえで、コンクリート表面の温度を下げると、コンクリート内部と表面の温度差による温度ひび割れが生じます。マスコンクリート部材では、表面を保温することで内部と表面の温度差を小さくすることが必要です。
(4)○です。寒中コンクリートにおいて設定する養生温度は、部材断面が薄い場合には、初期凍害防止の観点から、5℃以上を標準とします。部材断面が薄い場合には10℃程度とします。

【R1_学科A_No12】

 道路橋で用いられる基礎形式の種類とその特徴に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)直接基礎は、一般に支持層位置が浅い場合に用いられ、側面摩擦によって鉛直荷重を分担支持することは期待できないため、その安定性は基礎底面の鉛直支持力に依存している。
(2)杭基礎は、摩擦杭基礎として採用されることもあるが支持杭基礎とするのが基本であり先端の支持層への根入れ深さは、少なくとも杭径程度以上を確保するのが望ましい。
(3)鋼管矢板基礎は、主に井筒部の周面抵抗を地盤に期待する構造体であり、鉛直荷重は基礎外周面と内周面の鉛直せん断地盤反力のみで抵抗させることを原則とする。
(4)ケーソン基礎は、沈設時に基礎周面の摩擦抵抗を低減する措置がとられるため、鉛直荷重に対しては、周面摩擦による分担支持を期待せず基礎底面のみで支持することを原則とする。
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正解(3)
(1)○です。直接基礎は、一般に支持層位置が浅い場合に用いられ、基礎底面の鉛直支持力によって安定性を確保します。
(2)○です。杭基礎は、摩擦杭基礎として採用されることもありますが、支持杭基礎とするのが基本です。先端の支持層への根入れ深さは、少なくとも杭径程度以上を確保します。
(3)×です。井筒は、井戸の地上部分に出ている低い囲いのことです。鋼管矢板基礎は、打込み工法または中堀工法による先端支持とします。井筒部周面のせん断抵抗は期待しません。
(4)○です。ケーソン基礎は、沈設時に基礎周面の摩擦抵抗を低減する措置がとられるため、鉛直荷重に対しては、周面摩擦による分担支持を期待せず基礎底面のみで支持することを原則とします。

【R1_学科A_No13】

 既製杭の施工に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)中堀り杭工法の最終打撃方式は、ある深さまで中堀り沈設した杭を打撃によって所定の深さまで打ち込むが、支持層上面から杭径の3倍程度以上を残して中堀りから打込みへ切替えるのがよい。
(2)プレボーリング杭工法のソイルセメント柱は、あらかじめ掘削・泥土化した掘削孔内の孔底から杭頭部まで杭周固定液を注入し、液面が沈降した場合には適切に補充しながら造成を行う。
(3)プレボーリング杭工法の掘削は、掘削孔に傾斜や曲がり及び崩壊が生じないよう注意して行い、掘削孔が崩壊するような場合はベントナイトなどを添加した掘削液を使用するのがよい。
(4)中堀り杭工法のセメントミルク噴出撹拌方式は、沈設中に杭径以上の拡大堀りや1m以上の先掘りを行ってはならないが、根固部においては所定の形状となるよう先掘り、拡大掘りを行う。
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正解(2)
(1)○です。中堀り杭工法は、アースオーガー等を用い、既製杭の中空部を掘削しながら杭自重、圧入または打撃を加え、杭を沈設させる工法です。中堀り杭工法の最終打撃方式は、ある深さまで中堀り沈設した杭を打撃によって所定の深さまで打ち込みますが、支持層上面から杭径の3倍程度以上を残して中堀りから打込みへ切替えるのがよいです。
(2)×です。プレボーリング杭工法のソイルセメント柱は、あらかじめ掘削・泥土化した掘削孔内の孔底に根固め液を注入し、その後杭頭部まで杭周固定液を注入します。
(3)○です。プレボーリング杭工法の掘削は、掘削孔に傾斜や曲がり及び崩壊が生じないよう注意して行い、掘削孔が崩壊するような場合はベントナイトなどを添加した掘削液を使用するのがよいです。ベントナイトは、水を吸収・膨張する性質があり、杭孔壁の崩壊を防ぐことができます。
(4)○です。中堀り杭工法のセメントミルク噴出撹拌方式は、沈設中に杭径以上の拡大堀りや1m以上の先掘りを行ってはなりませんが、所定の支持力を得るために杭先端にセメントミルクを噴出し、地盤と攪拌・混合して根固め球根を築造します。

【R1_学科A_No14】

 場所打ち杭の鉄筋かごの施工に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)鉄筋かごの組立ては、鉄筋かごが変形しないよう、組立用補強材を溶接によって軸方向鉄筋や帯鉄筋に堅固に取り付ける。
(2)鉄筋かごの組立ては、特殊金物などを用いた工法やなまし鉄線を用いて、鋼材や補強筋を配置して堅固となるように行う。
(3)鉄筋かごの組立ては、自重で孔底に貫入するのを防ぐため、井げた状に組んだ鉄筋を最下端に配置するのが一般的である。
(4)鉄筋かごの組立ては、一般に鉄筋かごの径が大きくなるほど変形しやすくなるので、組立用補強材は剛性の大きいものを使用する。
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正解(1)
(1)×です。鉄筋かごの軸方向鉄筋や帯鉄筋は、構造上耐力上、重要な鉄筋です。そのため、それらに溶接による仮止めを行ってはなりません。
(2)○です。鉄筋かごの組立ては、特殊金物などを用いた工法やなまし鉄線を用いて、鋼材や補強筋を配置して堅固となるように行います。
(3)○です。鉄筋かごの組立ては、自重で孔底に貫入するのを防ぐため、井げた状に組んだ鉄筋を最下端に配置するのが一般的です。
(4)○です。鉄筋かごの組立ては、一般に鉄筋かごの径が大きくなるほど変形しやすくなるので、組立用補強材は剛性の大きいものを使用します。

【R1_学科A_No15】

 道路橋の直接基礎の施工に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)直接基礎の底面は、支持地盤に密着させることで、滑動抵抗を十分に期待できるように処理しなければならない。
(2)基礎地盤が砂地盤の場合は、基礎底面地盤を整地し、その上に栗石や砕石を配置するのが一般的である。
(3)基礎地盤が岩盤の場合は、均しコンクリートと地盤が十分にかみ合うよう、基礎底面地盤にはある程度の不陸を残し、平滑な面としないように配慮する。
(4)岩盤を切り込んで直接基礎を施工する場合は、水平抵抗を期待するためには、掘削したずりで埋め戻さなければならない。
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正解(4)
(1)○です。直接基礎の底面は、支持地盤に密着させることで、滑動抵抗を十分に期待できるように処理しなければなりません。
(2)○です。基礎地盤が砂地盤の場合は、基礎底面地盤を整地し、その上に栗石や砕石を配置するのが一般的です。
(3)○です。基礎地盤が岩盤の場合は、均しコンクリートと地盤が十分にかみ合うよう、基礎底面地盤にはある程度の不陸を残し、平滑な面としないように配慮します。
(4)×です。岩盤を切り込んで直接基礎を施工する場合は、水平抵抗を期待するためには、岩盤と同程度の強度や変形特性を有するコンクリート等で埋め戻します。
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