【ヤング係数Eとせん断弾性係数Gの関係<E=2(1+ν)G>】図と式で解説!

建築士
 このページでは、ヤング係数Eとせん断弾性係数Gの関係についてひも解いていきます。
 GとEの関係は、以下のように示されます。

$$E=2(1+\nu)G{ , }G=\frac{E}{2(1+\nu)}$$

 ここで、ポアソン比(ν:ニュー)によってEとGが関連付けられていることが分かります。まずは、このνについて、前提となる準備計算をします。

応力(σ)ひずみ(ε)関係とポアソン比(ν)

 x方向に力を加えた時、その方向のひずみを(εx)とし、直交するy方向に生じるひずみを(εy)とすると、ポアソン比(ν)は次のように定義されます。

$$\nu=\left|\frac{\epsilon_{x}}{\epsilon_{y}}\right|$$

※一般的に、εxが正(引張応力)のとき、εyは負となります。
 ここで、x方向の応力σxとx方向のひずみεxの関係は、次のように書くことができます。

$$\epsilon_{x}=\frac{\sigma_{x}}{E}$$

 ここで、y方向の応力によって生じるx方向のひずみは、ポアソン比を用いて次のように書くことができます。

$$\sigma_{y}={E}\epsilon_{y}=-\nu\epsilon_{y}{→}\epsilon_{y}=-\nu\frac{\sigma_{y}}{E}$$

 x方向、y方向それぞれの応力によって生じるx方向のひずみは、上の式を足し合わせたものとなります。

$$\epsilon_{x}=\frac{1}{E}\left(\sigma_{x}-\nu\sigma_{y}\right){・・・式1}$$

※実際の物体は3次元のため、z方向の変形も考えますが、ここでは簡単にするため2方向のみとしています。

ヤング係数(E)せん断弾性係数(G)の関係

下図のように、単位長さ(=1)の物質を取り出し、応力σ1とσ2が作用する問題を考えます。
 ここで、上の図を拡大した図を下に示します。σ1とσ2が作用して変形した後の状態を破線で示しています。鉛直方向のひずみをε1、水平方向のひずみをε2、せん断ひずみをγとおきます。
 ここで、\(|\sigma1|=|\sigma2|\)です。体積変化がないことから、次の式を書くことができます。

$$\epsilon1=\epsilon2(=\epsilon)$$

 ここで、オレンジで塗りつぶした部分の三角形に着目します。

$$\frac{\frac{1}{2}-\frac{\epsilon}{2}}{\frac{1}{2}+\frac{\epsilon}{2}}=\tan{{(\frac{\pi}{4}-\frac{\gamma}{2})}}$$

 εとγが充分に小さいとすると、下の式を得ることができます。

$$\epsilon=\frac{\gamma}{2}{・・・式2}$$

ちょっと詳しく解説

 上の式の計算過程を示します。まずは、左辺から。

$$\begin{eqnarray}\frac{\frac{1}{2}-\frac{\epsilon}{2}}{\frac{1}{2}+\frac{\epsilon}{2}} &=& \frac{{(\frac{1}{2}-\frac{\epsilon}{2})}^2}{\frac{1}{2}+\frac{\epsilon}{2}{(\frac{1}{2}-\frac{\epsilon}{2})}}\\
&=& \frac{\frac{1}{4}-\frac{\epsilon}{2}+\frac{\epsilon^2}{4}}{\frac{1}{4}-\frac{\epsilon^2}{4}}\\
&=& 1-2\epsilon
\end{eqnarray}$$

 次に右辺です。

$$\begin{eqnarray}\tan{{(\frac{\pi}{4}-\frac{\gamma}{2})}} &=& \frac{\tan{\frac{\pi}{4}}-\tan{\frac{\gamma}{2}}}{1+\tan{\frac{\pi}{4}}\tan{\frac{\gamma}{2}}}\\
&=& \frac{1-\frac{\gamma}{2}}{1+\frac{\gamma}{2}}\\
&=& \frac{{(1-\frac{\gamma}{2})}^2}{{(1+\frac{\gamma}{2})}{(1-\frac{\gamma}{2})}}\\
&=& \frac{1-\gamma+\frac{\gamma^2}{4}}{1-\frac{\gamma^2}{4}}\\
&=& 1-\gamma
\end{eqnarray}$$

 ここで、x方向をから45°回転させた方向、つまりせん断方向について考えます。モールの応力円の関係から、σ1と-σ2が作用した状態での、45°方向のせん断力τは、|σ1|=|σ2|=|σ|であることから、σ1=τ、σ2=-τです。
※圧縮のσ1を正としているのは、後の計算をしやすくするためです。
 式1を再掲します。

$$\epsilon_{x}=\frac{1}{E}\left(\sigma_{x}-\nu\sigma_{y}\right){・・・式1}$$

ε=γ/2とσx=τ、σy=-τを代入します。

$$\frac{\gamma}{2}=\frac{1}{E}\left(\tau-\nu\tau\right)$$

 ここで、定義から、τ=Gγです。(σ=Eεのせん断方向の定義)
 以上から、ヤング係数Eとせん断弾性係数Gの関係式を書くことができます。

$$E=2(1+\nu)G{ , }G=\frac{E}{2(1+\nu)}$$

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