<独学>土地家屋調査士【六法の読み方】学習記録No.1

法律とは?

 法律とは、個人・法人が社会生活をするうえで最低限守らなければならないルールです。法律には「借りたものは返す」といった道徳的なものから、「自動車は左側通行する」といった社会生活を円滑に送るために定められたものまであります。

日本の法律の成り立ち

 明治維新の近代日本は、ドイツ法やフランス法などの大陸法の流れを受けています。大陸法は成文法を法体系の中心においています。成文法とは、法律があらかじめ文章によって表記され、定められているものです。日本は、この成文法主義を採用しています。
戦後の日本は、GHQの占領下でアメリカ法の英米法の影響を受けます。英米法は判例法を法体系の中心においています。判例法とは、事件ごとの解決法が法律になるという考え方で、あらかじめ文章によって定められているものではありません。憲法、刑事訴訟法、独禁法といった分野で判例法の影響を強く受けています。

法令の種類

 法令の種類と概要について、以下の表にまとめます。
順位 概要
憲法 国家の最高法規であり、最上位の法規です。憲法に反する下位規範が制定されても、その下位規範は無効とされます。
法律 国会で定められた法規範です。土地家屋調査士の学習で基本となるのがこの法律です。
命令 行政機関で定められた法規範です。法律を執行する現場である行政機関に規範の制定の一部を担わせているものです。内閣が定めるものを「政令」、各省庁が定めるものを「省令」と呼びます。
規則 行政機関(府省)の外局である行政委員会、人事院、会計検査院が定める命令です。
条約 文書による国家間の合意を言います。
凡例・通達 日本は、凡例主義ではなく、成文法主義を採用しているので「法」ではありませんが、裁判や実務を通して「凡例・通達」が重要な指針となります。

法令の構成

 日本の法律は「パンデクテン方式」を採用しています。パンデクテン方式とは、共通する一般的・抽象的規定を前にまとめる方式です。共通事項をまとめるために用いられる設定されているものが「へんしょうせつかんもく」で、左にあるものほど大きなまとまりを差す言葉となります。

条・項・号

 民法第13条を以下に示します。「条」の中に複数の段落に分かれている「項」があります。また、いくつかのものを列挙する場合には「号」が用いられます。

法令用語

「適用」「準用」

「適用」:法律の規定をそのまま当てはめて規定を働かせるものです。
「準用」:法律が規定していない事象に対して修正を加えて規定を働かせるものです。

「又は」「若しくは」

 いずれも2つ以上のものを選択するときに用います。「又は」は大きい段階で、「若しくは」は小さい段階での選択で用います。「若しくは」を単独で用いることはありません。例えば、大きな段階が「大文字か小文字か」で、小さな段階が「A(a)かB(b)か」とします。

「又は」:A又はa A又はB a又はb B又はb A、B又はa
「若しくは」:A若しくはB 又は a若しくはb

「及び」「並びに」

 いずれも2つ以上のものを並列するときに用います。「並びに」は大きい段階で、「及び」は小さい段階での選択で用います。「並びに」を単独で用いることはありません。例えば、大きな段階が「大文字か小文字か」で、小さな段階が「A(a)かB(b)か」とします。

「及び」:A及びa A及びB a及びb B及びb A、B及びa
「並びに」:A及びB 並びに a及びb

「場合」「とき」「時」

「場合」「とき」:いずれも前提条件を表します。大きな前提条件を「場合」、小さな前提条件を「とき」で表します。
「時」:時間、時期を表します。

「者」「物」「もの」

「者」:法律上の人格を有する、自然人・法人を差します。
「物」:自然人・法人以外の物体を差します。
「もの」:抽象的なものを差します。

「権限」「権原」

「権限」:一定の行為をすることができる権利・権力の範囲を言います。
「権原」:一定の行為をすることができることの法律上の原因、法的根拠を言います。

「科料」「過料」

「科料」:刑法上の罰であり、罰として金銭の納付を命じられることを言います。
「過料」:行政上の罰であり、罰として金銭の納付を命じられることを言います。

「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」

「直ちに」:最も即時性が強い表現です。
「速やかに」:「直ちに」と「遅滞なく」の間の表現です。
「遅滞なく」:最も即時性が弱い表現です。

「その他」「その他の」

「その他」:「Aさん その他 社員」という場合、Aさんと社員は別概念で、Aさんは社員であるとは限らないです。
「その他の」:「Aさん その他の 社員」という場合、Aさんは社員の中に含まれます。

「無効」「取り消し」

「無効」:そもそも効力が生じていないことを差します。
「取り消し」:いったん生じた効力を、行為時までさかのぼって効力を消滅させることを差します。

「脅迫」「強迫」

「脅迫」:刑法上の害悪で、それ自体が刑事罰の対象となります。
「強迫」:私法上の概念で、相手の自由な意思決定を妨げることを言います。強迫によりした意思表示は、瑕疵ある意思表示とされます。

「みなす」「推定する」

「みなす」:性質の違うものを同様に扱ってしまい、反対の証拠をもってきてもその扱いを変えないことを差します。
「推定する」:一応は事実として取り扱いますが、反対の証拠が出れば、その事実を真実とすることができることを差します。

「善意」「悪意」

「善意」:ある一定の事実を知らないことを差します。
「悪意」:ある一定の事実を知っていることを差します。

まとめ

 第1回の学習記録は以上です。法律の成り立ちから、法律用語までを学習しました。普段から法律に触れている方にとっては当たり前の知識と思いますが、筆者は土地家屋調査士試験の初学者であるため、基本から学びました。次回は土地家屋調査士試験に必要な数学(幾何図形)についての学習を記録予定です。
タイトルとURLをコピーしました