【一級土木施工管理技士】過去問演習(No.106~110)

【No.106】

鋼道路橋の溶接の施工に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)溶接を行う部分は,溶接に有害な黒皮,さび,塗料,油などを取り除いた後,溶接線近傍を十分に湿らせる必要がある。
(2)エンドタブは,部材の溶接端部の品質を確保できる材片を使用するものとし,溶接終了後,除去しやすいように,エンドタブ取付け範囲の母材を小さくしておく方法がある。
(3)組立溶接は,組立終了時までにスラグを除去し溶接部表面に割れがある場合には,割れの両端までガウジングをし,舟底形に整形して補修溶接をする。
(4)部材を組み立てる場合の材片の組合せ精度は,継手部の応力伝達が円滑に行われ,かつ継手性能を満足するものでなければならない。
クリックで【No.106】の解答と解説をみる

正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。溶接を行う部分は,さびなどを取り除いた後,溶接線近傍を十分に乾燥させなければなりません。
(2)×誤り。エンドタブは,エンドタブ取付の溶接部が部材に残らないように,エンドタブ取付部の母材をあらかじめ大きくしておきます。
(3)×誤り。組立溶接は,組立終了時までにスラグを除去し,溶接部表面に割れがある場合には,割れの両端から50mm以上長めにガウジングし,舟底形に整形し補修溶接をします。
(4)〇正しい。部材を組み立てる場合の材片の組合せ精度は,継手部の応力伝達が円滑に行われ,かつ継手性能を満足するものでなければなりません。

【No.107】

鋼道路橋における高力ボルトの締付け作業に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
(1)フィラーは,継手部の母材に板厚差がある場合に用いるが,肌隙などの不確実な連結及び腐食などを防ぐため,複数枚を重ねて使用する。
(2)ボルト軸力の導入は,ナットを回して行うのを原則とするが,やむを得ずボルトの頭を回して締め付ける場合は,トルク係数値の変化を確認する。
(3)摩擦接合では,接合される材片の接触面を塗装しない場合は,所定のすべり係数が得られるよう黒皮,浮きさび,油,泥などを除去し粗面とする。
(4)トルシア型高力ボルトを使用する場合は,予備締めに作業能率のよいトルク制御式インパクトレンチを使用することができ,本締めには専用締付け機を使用する。
クリックで【No.107】の解答と解説をみる

正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。フィラーは,継手部の母材に板厚差がある場合に用いますが,肌隙などの不確実な連結及び腐食などを防ぐため,肌隙量1mmを超えるときにフィラーを挿入します(1mm以下の時は処理不要)。挿入されるフィラーの枚数は,原則として1枚とします。
(2)〇正しい。ボルト軸力の導入は,ナットを回して行うのを原則としますが,やむを得ずボルトの頭を回して締め付ける場合は,トルク係数値の変化を確認します。
(3)〇正しい。摩擦接合では,接合される材片の接触面を塗装しない場合は,所定のすべり係数が得られるよう黒皮,浮きさび,油,泥などを除去し粗面とします。
(4)〇正しい。トルシア型高力ボルトを使用する場合は,予備締めに作業能率のよいトルク制御式インパクトレンチを使用することができ,本締めには専用締付け機を使用します。

【No.108】

コンクリート構造物の劣化とその特徴に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
(1)凍害による劣化のうち,スケーリングは,ペースト部分の品質が劣る場合や適切な空気泡が連行されていない場合に発生するものである。
(2)塩害による劣化は,コンクリート中の塩化物イオンの存在により鋼材の腐食が進行し,腐食生成物の体積膨張によりコンクリートのひび割れやはく雕・はく落や鋼材の断面減少が起こる。
(3)中性化による劣化は,大気中の二酸化炭素がコンクリート内に侵入しコンクリートの空げき中の水分のpHを上昇させ鋼材の腐食により,ひび割れの発生,かぶりのはく落が起こる。
(4)アルカリシリカ反応による劣化のうち,膨張にともなうひび割れは,コンクリートにひび割れが顕在化するには早くても数年かかるので,竣工検査の段階で目視によって劣化を確認することはできない。
クリックで【No.108】の解答と解説をみる

正解は(3)

【解説】
(1)〇正しい。スケーリングとは,コンクリート中の水分の凍結膨張によって,コンクリート表面が薄片状にはく離・はく落する現象です。
(2)〇正しい。塩害による劣化は,コンクリート中の塩化物イオンの存在により鋼材の腐食が進行し,腐食生成物の体積膨張によりコンクリートのひび割れやはく雕・はく落や鋼材の断面減少が起こります。
(3)×誤り。中性化による劣化は,大気中の二酸化炭素がコンクリート内に侵入し,炭酸化反応により本来アルカリ性である細孔溶液のpHを下げる現象をいいます。中性化か鋼材位置に達すると,鋼材の発錆による体積膨張により,ひび割れの発生,かぶりのはく落が起こります。
(4)〇正しい。7ルカリシリカ反応による劣化のうち,膨張にともなうひび割れは,コンクリートにひび割れが顕在化するには早くても数年かかるので,竣工検査の段階で目視によって劣化を確認することはできません。

【No.109】

損傷を生じた既設コンクリート構造物の補修に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
(1)断面修復工法は,劣化又は損傷によって喪失した断面やコンクリートの劣化部分を除去し,ポリマーセメントなどで当初の断面寸法に修復する工法である。
(2)電気防食工法は,塩害の対策として用いられるが,アルカリシリカ反応と塩害が複合して劣化を生じたコンクリート構造物に適用すると,アルカリシリカ反応を促進することがある。
(3)シラン系表面含浸材を用いた表面処理工法は,コンクリート中の水分低減効果が期待できるのでアルカリシリカ反応抑制効果が期待できる。
(4)有機系表面被覆工法は,被覆に用いる塗膜に伸縮性があるため,コンクリート中に塩化物イオンが多く浸透した状態での補修に適している工法である。
クリックで【No.109】の解答と解説をみる

正解は(4)

【解説】
(1)〇正しい。断面修復工法は,劣化又は損傷によって喪失した断面やコンクリートの劣化部分を除去し,ポリマーセメントなどで当初の断面寸法に修復する工法です。
(2)〇正しい。電気防食工法は,塩害の対策として用いられますが,アルカリシリカ反応と塩害が複合して劣化を生じたコンクリート構造物に適用すると,アルカリシリカ反応を促進することがあります。
(3)〇正しい。シラン系表面含浸材には,疎水性のアルキル基が含まれており,コンクリート表面に塗布・含浸させると表面にアルキル基が固着し,吸水防止層を形成して,塩害,凍害,アルカリ骨材反応等の劣化要因からコンクリートを保護できます。
(4)×誤り。有機系表面被覆工法は,コンクリート構造物の劣化の原因となる水,塩化物イオン,炭酸ガス等のコンクリート内への侵入を低減する目的で施工されます。このため,既に塩化物イオンなど劣化因子がコンクリート中に侵入し,劣化損傷が生じている場合は,劣化損傷部を除去する断面修復工などと組み合わせた施工が必要になります。

【No.110】

河川堤防の施工に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
(1)既設堤防の拡幅に用いる堤体材料は,表腹付けには既設堤防より透水性の小さい材料を,裏腹付けには既設堤防より透水性の大きい材料を原則として使用する。
(2)築堤盛土の締め固めは堤防横断方向に行い,締め固めに際しては締め固め幅が重複するよう留意して施工する。
(3)築堤土は,粗い粒度から細かい粒度までが適当に配合されたものがよく,土質分類上は粘性土,砂質土,礫質土が適度に含まれていれば締め固めを満足する施工ができる。
(4)既設の堤防に腹付けを行う場合は,新旧堤防をなじませるため段切りを行うとともに段切り面の水平部分には横断勾配をつけることで施工中の排水に注意する。
クリックで【No.110】の解答と解説をみる

正解は(2)

【解説】
(1)〇正しい。既設堤防の拡幅に用いる堤体材料は,表腹付けには既設堤防より透水性の小さい材料を,裏腹付けには既設堤防より透水性の大きい材料を原則として使用します。
(2)×誤り。築堤盛土の締め固めは,堤防縦断方向(堤体の法線方向)に締め固め後の一層の仕上がり厚さが30cm以下となるように,また締め固め幅が重複するように施工します。
(3)〇正しい。築堤土は,粗い粒度から細かい粒度までが適当に配合されたものがよく,土質分類上は粘性土,砂質土,礫質土が適度に含まれていれば締め固めを満足する施工ができます。
(4)〇正しい。堤防の腹付けにおける段切りは,1:4より急な勾配を有する地盤上の盛土において行うものとし,段切りの最小高は0.5m,最小幅は1.0m程度として,水平部分には2~5%の横断勾配をつけます。
タイトルとURLをコピーしました