コンクリート診断士 問題と解説Vol.2-41
このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。
【No.201】
トンネルの覆工コンクリートに生じた変状に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)トンネルの覆工コンクリートに縦断方向に水平ひび割れが生じた。この原因として,地山の塑性圧によってコンクリートが変形したことが挙げられる。
(2)トンネルの覆工コンクリートに縦断方向に水平ひび割れが生じた。この原因として,打ち込み時に型枠が変形したことが挙げられる。
(3)トンネルの覆工コンクリートに縦断方向に水平ひび割れが生じた。この原因として,打ち込み時に過剰な締め固めを行ったことが挙げられる。
(4)トンネルの覆工コンクリートに縦断方向に水平ひび割れが生じた。この原因として,コンクリートの打ち重ね時間間隔が長くなったことが挙げられる。
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正解は(4)
【解説】
(1)×誤り。地山の塑性圧によるコンクリートの変形は,内空側に変形することから,水平ひび割れは生じません。
(2)×誤り。型枠の変形は,出来形に影響しますが,水平ひび割れが生じることは考えにくいです。
(3)×誤り。過剰な締固めでは,材料分離が起こります。
(4)○正しい。トンネルの覆工コンクリートに縦断方向の水平ひび割れは,コールドジョイントの可能性が高いです。この原因として,コンクリートの打ち重ね時間間隔が長くなったことが挙げられます。
【No.202】
エフロレッセンスに関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)エフロレッセンスの主成分は炭酸カルシウムである。
(2)エフロレッセンスは,水酸化カルシウムの水に対する溶解度と温度の関係が影響する。
(3)水酸化カルシウムは,高温になるほど,水に対する溶解度が大きくなる。
(4)エフロレッセンスは,気温が低く,コンクリートの材齢が若い等の条件で発生しやすい。
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正解は(3)
【解説】
(1)○正しい。エフロレッセンスの主成分は炭酸カルシウムです。
(2)○正しい。エフロレッセンスは,水酸化カルシウムの水に対する溶解度と温度の関係が影響します。
(3)×誤り。水酸化カルシウムは,高温になるほど,水に対する溶解度が小さくなります。つまり,低温になるほど溶解度は大きくなります。
(4)○正しい。エフロレッセンスは,気温が低く,コンクリートの材齢が若い等の条件で発生しやすいです。
【No.203】
PC連続有ヒンジラーメン箱桁橋の変状の発生要因に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)PC連続有ヒンジラーメン箱桁橋を建設から20年後に点検したところ,中央ヒンジ部において,異常なたわみを伴う変状(垂れ下がり)が認められた。この変状の発生要因として,上部工コンクリートのクリープの進行が挙げられる。
(2)PC連続有ヒンジラーメン箱桁橋を建設から20年後に点検したところ,中央ヒンジ部において,異常なたわみを伴う変状(垂れ下がり)が認められた。この変状の発生要因として,上部工コンクリートの乾燥収縮の進行が挙げられる。
(3)PC連続有ヒンジラーメン箱桁橋を建設から20年後に点検したところ,中央ヒンジ部において,異常なたわみを伴う変状(垂れ下がり)が認められた。この変状の発生要因として,上部工コンクリート中のPC鋼材の破断が挙げられる。
(4)PC連続有ヒンジラーメン箱桁橋を建設から20年後に点検したところ,中央ヒンジ部において,異常なたわみを伴う変状(垂れ下がり)が認められた。この変状の発生要因として,上部工コンクリート中のせん断補強筋の腐食が挙げられる。
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正解は(4)
【解説】
(1)○正しい。クリープとは,持続荷重の作用により,時間の経過とともにひずみ量が増大するので,垂れ下がりの原因として考えられます。
(2)○正しい。コンクリート中の水分が蒸発することにより,コンクリートが収縮するもので,垂れ下がりの原因として考えられます。
(3)○正しい。PC鋼材に破断が生じると,ヒンジ機能を失うので,垂れ下がりの原因として考えられます。
(4)×誤り。せん断補強筋の腐食が生じると,箱桁本体にひび割れが生じます。垂れ下がりの原因としては最も不適当です。
【No.204】
コンクリートの中性化速度に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)普通ポルトランドセメントを用いた場合,アルカリ含有量が多い方が,中性化速度が大きい。
(2)普通ポルトランドセメントの30%を混和材で置換する場合,高炉スラグ微粉末を用いた場合の方が,フライアッシュを用いた場合より,中性化の速度は大きい。
(3)コンクリートが乾燥状態にあるとき,連続した空隙を有する軽量骨材を用いたコンクリートの中性化速度は,普通骨材を用いたコンクリートと同程度である。
(4)相対湿度が60%の場合,温度20℃前後で中性化速度は最も大きくなる。
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正解は(1)
【解説】
(1)○正しい。セメント中のアルカリ分が多いほど,コンクリート中のアルカリ分も多くなり,炭酸化が促進されます。つまり,中性化の速度は大きくなる,。
(2)×誤り。混和材として,高炉スラグ微粉末およびフライアッシュを用いた場合より,中性化速度は等しいか,小さくなります。
(3)×誤り。コンクリートが乾燥状態にあると,中性化は進行しにくいが,空隙の多い軽量骨材の方が普通骨材よりも中性化速度は大きくなります。
(4)×誤り。中性化は温度が高いほど進行が早く,相対湿度が50%前後で中性化の進行が最も早まる。
【No.205】
コンクリート中の鋼材腐食に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)一般に,乾燥状態から含水率が増加すると,コンクリートの電気抵抗は徐々に小さくなる。
(2)コンクリートの電気抵抗が小さくなると,内部の鋼材腐食は大きくなる。
(3)コンクリート中の鋼材から供給された電子が,水および酸素と反応して水酸化イオンを生成する現象をアノード反応といい,鋼材の腐食が進行する。
(4)水中にあるコンクリートのように飽水状態に近くなると,酸素の供給が少なくなり,カソード反応が抑制され,鋼材の腐食速度は小さくなる。
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正解は(3)
【解説】
(1)○正しい。一般に,乾燥状態から含水率が増加すると,コンクリートの電気抵抗は徐々に小さくなります。
(2)○正しい。コンクリートの電気抵抗が小さくなると,内部の鋼材腐食は大きくなります。
(3)×誤り。コンクリート中の鋼材から供給された電子が,水および酸素と反応して水酸化イオンを生成する現象をカソード反応といい,鋼材の腐食が進行します。
(4)○正しい。水中にあるコンクリートのように飽水状態に近くなると,酸素の供給が少なくなり,カソード反応が抑制され,鋼材の腐食速度は小さくなります。