コンクリート診断士 問題と解説Vol.2-17
このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。
【No.81】
火災によるコンクリートの劣化に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)火災による火熱を受けるとセメント硬化物と骨材とは,それぞれ異なった膨張収縮挙動をし,それによってコンクリートの組織は緩み,端部の拘束によって生じた熱応力によってひび割れが生じ,コンクリートが劣化,はく落する。
(2)加熱温度の上昇につれてコンクリート中のセメント水和物が化学的に変質し,約1200℃まではセメントペースト部は収縮するが,骨材は膨張するという相反する挙動を示す。
(3)コンクリート中の自由水などが水分膨張する結果,内部応力が次第に増大し,内部組織が破壊されていくため,強度および弾性などの力学的性質が低下する。
(4)強度低下は,300℃まではそれほどでもないが,500℃を超えると50%以下となり,弾性係数も加熱により低下し,500℃でほぼ半減する。
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正解は(2)
【解説】
(1)○正しい。火災による火熱を受けるとセメント硬化物と骨材とは,それぞれ異なった膨張収縮挙動をし,それによってコンクリートの組織は緩み,端部の拘束によって生じた熱応力によってひび割れが生じ,コンクリートが劣化,はく落します。
(2)×誤り。加熱温度の上昇につれてコンクリート中のセメント水和物が化学的に変質し,約600℃まではセメントペースト部は収縮しますが,骨材は膨張するという相反する挙動を示します。
(3)○正しい。コンクリート中の自由水などが水分膨張する結果,内部応力が次第に増大し,内部組織が破壊されていくため,強度および弾性などの力学的性質が低下します。
(4)○正しい。強度低下は,300℃まではそれほどでもないが,500℃を超えると50%以下となり,弾性係数も加熱により低下し,500℃でほぼ半減します。
【No.82】
火災によるコンクリートの劣化に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)コンクリート部材が,火災初期に,表層面のコンクリートのはく落を生じて鉄筋を露出してしまう破壊現象を生じることがあり,これを爆裂という。
(2)爆裂の現象は,加熱に伴って発生するコンクリート内部の水蒸気圧が解放されにくい場合に生じやすく,水セメント比の大きい疎なコンクリートや含水率の高いコンクリートは爆裂しやすい。
(3)火災によって新しく生じたひび割れには,すすは付着しないので,ひび割れが火災によるものか否かは,目視により容易に判断できる。
(4)コンクリート表面の変色状況から,表面の受熱温度を推定することができ,受熱温度が300℃未満の範囲では,表面に煤が付着している状態となる。
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正解は(2)
【解説】
(1)○正しい。コンクリート部材が,火災初期に,表層面のコンクリートのはく落を生じて鉄筋を露出してしまう破壊現象を生じることがあり,これを爆裂といいます。
(2)×誤り。爆裂の現象は,加熱に伴って発生するコンクリート内部の水蒸気圧が解放されにくい場合に生じやすく,水セメント比の低い緻密なコンクリートは,水分の逃げ道が無く,爆裂を起こしやすいです。また,含水率の高いコンクリートは爆裂しやすいです。
(3)○正しい。火災によって新しく生じたひび割れには,すすは付着しないので,ひび割れが火災によるものか否かは,目視により容易に判断できます。
(4)○正しい。コンクリート表面の変色状況から,表面の受熱温度を推定することができ,受熱温度が300℃未満の範囲では,表面に煤が付着している状態となります。
【No.83】
火災によるコンクリートの劣化に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)コンクリート表面の変色状況から,表面の受熱温度を推定することができ,受熱温度が300~600℃の範囲では,表面は白色に変色する。
(2)コンクリート表面の変色状況から,表面の受熱温度を推定することができ,受熱温度が600~950℃の範囲では,表面は灰白色に変色する。
(3)コンクリート表面の変色状況から,表面の受熱温度を推定することができ,受熱温度が950~1200℃の範囲では,表面は淡黄色に変色する。
(4)コンクリート表面の変色状況から,表面の受熱温度を推定することができ,受熱温度が1200℃以上では,表面は溶解する。
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正解は(1)
【解説】
(1)×誤り。コンクリート表面の変色状況から,表面の受熱温度を推定することができ,受熱温度が300~600℃の範囲では,表面はピンク色に変色します。
(2)○正しい。コンクリート表面の変色状況から,表面の受熱温度を推定することができ,受熱温度が600~950℃の範囲では,表面は灰白色に変色します。
(3)○正しい。コンクリート表面の変色状況から,表面の受熱温度を推定することができ,受熱温度が950~1200℃の範囲では,表面は淡黄色に変色します。
(4)○正しい。コンクリート表面の変色状況から,表面の受熱温度を推定することができ,受熱温度が1200℃以上では,表面は溶解します。
【No.84】
コンクリートの炭酸化反応に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)セメント硬化体中の細孔溶液に含まれるイオンの大部分は,ナトリウムイオンとマグネシウムイオン,およびそれらと平衡している水酸化イオンである。
(2)セメント中のアルカリについて,炭酸の存在下では,まず炭酸アルカリが生成する。
(3)炭酸アルカリの溶解度は,炭酸カルシウムと比較して極めて大きい。
(4)セメントのアルカリ量が多いほど,水酸化カルシウムの溶解・炭酸化が進みやすく,コンクリートの炭酸化は速くなる。
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正解は(1)
【解説】
(1)×誤り。セメント硬化体中の細孔溶液に含まれるイオンの大部分は,ナトリウムイオンとカリウムイオン,およびそれらと平衡している水酸化イオンです。
(2)○正しい。セメント中のアルカリについて,炭酸の存在下では,まず炭酸アルカリが生成します。
(3)○正しい。炭酸アルカリの溶解度は,炭酸カルシウムと比較して極めて大きいです。
(4)○正しい。セメントのアルカリ量が多いほど,水酸化カルシウムの溶解・炭酸化が進みやすく,コンクリートの炭酸化は速くなります。
【No.85】
コンクリートの中性化に関する次の記述のうち,最も適当なものはどれか。
(1)コンクリートの中性加速度について,空気中の炭酸ガス濃度が2倍になれば,中性化速度は2倍になる。
(2)コンクリートの中性加速度について,相対湿度が同じ場合,温度が20~30℃程度で中性化速度は最も大きい。
(3)コンクリートの中性加速度について,試用しているセメントのアルカリ含有量が多い方が,中性化速度は大きい。
(4)コンクリートの中性加速度について,混和材が普通ポルトランドセメントに30%置換する場合,高炉スラグ微粉末を用いた場合の方がフライアッシュを用いた場合より,中性化速度は大きい。
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正解は(3)
【解説】
(1)×誤り。中性化速度は,ルートt則で表され,空気中の炭酸ガス濃度が2倍になれば,中性化速度は√2倍になります。
(2)×誤り。中性化速度は温度が高いほど進行が早くなり,相対湿度が同じ場合は温度が40~50℃程度で最も大きくなります。
(3)×誤り。使用しているセメントのアルカリ含有量が多いと炭酸化深さが多くなり,中性化速度は大きくなります。
(4)○正しい。混和材を普通ポルトランドセメントに30%置換する場合,フライアッシュを用いた場合の方が高炉スラグ微粉末を用いた場合より,中性化速度は大きいです。