【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.70)維持管理

コンクリート診断士 問題と解説Vol.67

【問346_維持管理】

 鉄筋コンクリート構造物の各種工法の補強効果を確認するための点検に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)橋脚に炭素繊維シートを巻きつける工法において、せん断耐力への補強効果を確認するために、炭素繊維シートと既存コンクリートとの付着強度を点検しなければならない。
(2)橋脚にアラミド繊維シートを貼りつける工法において、曲げ耐力への補強効果を確認するために、アラミド繊維シートと既存コンクリートとの付着強度を点検しなければならない。
(3)鉄橋の鉄筋コンクリート床版に鋼板を接着する工法において、耐荷力への補強効果を確認するために、鋼板の既存コンクリートに対する一体性を点検しなければならない。
(4)鉄橋の鉄筋コンクリート床版に上面増厚する工法において、耐荷力への補強効果を確認するために、新旧コンクリートへの一体性を点検しなければならない。
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正解(2)

(1)問題のとおりです。橋脚に炭素繊維シートを巻きつける工法において、せん断耐力への補強効果を確認するために、炭素繊維シートと既存コンクリートとの付着強度を点検しなければなりません。
(2)誤りです。橋脚における繊維シートによる補強工法は、曲げ耐力の補強ではなく、せん断耐力やじん性の補強に使用されます。
(3)問題のとおりです。鉄橋の鉄筋コンクリート床版に鋼板を接着する工法において、耐荷力への補強効果を確認するために、鋼板の既存コンクリートに対する一体性を点検しなければなりません。
(4)問題のとおりです。鉄橋の鉄筋コンクリート床版に上面増厚する工法において、耐荷力への補強効果を確認するために、新旧コンクリートへの一体性を点検しなければなりません。

【問347_維持管理】

 道路橋鉄筋コンクリート床版の疲労によるひび割れ評価に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)疲労による劣化初期には、橋軸直行工法の曲げひび割れが観察される。この段階では、耐荷力(耐力)は低下しない。
(2)曲げひび割れが進展するとともに橋軸方向のひび割れも発生し始め、格子状のひび割れ網が形成される。この段階では、耐荷力(耐力)は大きく低下する。
(3)ひび割れの網細化が進むと、ひび割れのスリット化や角落ちが生じ、ひび割れの開閉やひび割れ面のこすり合わせが始まる。この段階では、コンクリートのせん断抵抗はほとんど期待できない。
(4)ひび割れが貫通すると床版の連続性は失われ、床版としての性能が期待できない。
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正解(2)

(1)問題のとおりです。疲労による劣化初期には、橋軸直行工法の曲げひび割れが観察されます。この段階では、耐荷力は低下しません。
(2)誤りです。曲げひび割れが進展するとともに橋軸方向のひび割れも発生し始め、格子状のひび割れ網が形成される、進展期では、床版の耐荷力が大きく低下することはありません。
(3)問題のとおりです。ひび割れの網細化が進むと、ひび割れのスリット化や角落ちが生じ、ひび割れの開閉やひび割れ面のこすり合わせが始まります。この段階では、コンクリートのせん断抵抗はほとんど期待できません。
(4)問題のとおりです。ひび割れが貫通すると床版の連続性は失われ、床版としての性能が期待できません。

【問348_維持管理】

 疲労の進行が懸念される鉄筋コンクリート床版の調査・測定に関する記述として、次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)床版下面のひび割れ発生状況を、目視観察により調べた。
(2)コンクリートの圧縮強度を、コア供試体により調べた。
(3)ひび割れ幅を、アコースティック・エミッション(AE)により調べた。
(4)鉄筋のかぶり(厚さ)を、電磁波レーダーにより調べた。
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正解(3)

(1)問題のとおりです。疲労の進行が懸念される鉄筋コンクリート床版の調査では、曲げモーメントが大きく作用する、床版下面、中央部のひび割れ発生状況の、目視観察が基本になります。
(2)問題のとおりです。疲労の進行が懸念される鉄筋コンクリート床版の調査では、床版の剛性に大きく関係する、コンクリートの圧縮強度をコア供試体により調べます。
(3)誤りです。アコースティック・エミッション法はコンクリートの亀裂の発生や進展などに伴って発生する弾性波(振動・音波)を検知することで、新たなひび割れの発生、進展を測定する方法です。ひび割れ幅は検出できません。
(4)問題のとおりです。床版の曲げ剛性に大きく影響する、鉄筋のかぶりを、電磁波レーダー法により調べるのは適当です。

【問349_維持管理】

 道路橋の鉄筋コンクリート床版の疲労破壊に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)床版の疲労破壊は、雨水の浸透が少ない部分で発生しやすい。
(2)床版の疲労破壊は、床版コンクリートが陥没する形態をとるのが一般的である。
(3)床版の疲労破壊は、大型車の交通量の多い路線で発生する場合が多い。
(4)床版の疲労破壊は、床板の版厚が薄いほど発生しやすい。
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正解(1)

(1)誤りです。水の影響を受けると、疲労強度は低下します。床版の疲労破壊は、雨水の浸透が多い部分で発生しやすくなります。
(2)問題のとおりです。床版の疲労破壊は、床版上面の荷重によって、床版コンクリートが陥没する形態をとるのが一般的です。
(3)問題のとおりです。床版の疲労破壊は、床版上面からの荷重が大きくなるため、大型車の交通量の多い路線で発生する場合が多いです。
(4)問題のとおりです。床版の疲労破壊は、床版自体の耐力・剛性が小さくなるため、床板の版厚が薄いほど発生しやすいです。

【問350_維持管理】

 道路橋の鉄筋コンクリート床版の疲労に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)コンクリート中に浸透する水がない場合よりある場合のほうが、疲労による劣化が生じやすい。
(2)主鉄筋量が同一であれば、主鉄筋量に対する配力鉄筋量の比率が低い場合より高い場合のほうが、疲労による劣化が生じやすい。
(3)床版支間長が同一であれば、床板厚が厚い場合より薄い場合のほうが、疲労による劣化が生じやすい。
(4)床版厚が同一であれば、床版支間長が小さい場合より大きい場合のほうが、疲労による劣化が生じやすい。
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正解(2)

(1)問題のとおりです。水の影響を受けると、疲労強度は低下します。コンクリート中に浸透する水がない場合よりある場合のほうが、疲労による劣化が生じやすいです。
(2)誤りです。主鉄筋量が同一であれば、主鉄筋量に対する配力鉄筋量の比率が高い場合のほうが、主筋方向のひび割れ抑制効果が増し、疲労抵抗性が増します。
(3)問題のとおりです。床版支間長が同一であれば、床板厚が厚い場合より薄い場合のほうが、剛性が低いため、疲労による劣化が生じやすいです。
(4)問題のとおりです。床版厚が同一であれば、床版支間長が小さい場合より大きい場合のほうが、スパン中央部の曲げ応力が大きくなるため、疲労による劣化が生じやすいです。
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