【(択一式)土地家屋調査士】過去問の学習記録(No81~100)<一問一答形式>

土地家屋調査士
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【No.81】 民法 条件および期限に関する問題

農地の売買契約において、「農業委員会の許可を受けなければ、農地の所有権は移転しない。」旨の条項を設けた場合において、売主による故意の妨害行為があったために農業委員会の許可を受けることができなかったときは、買主は、農業委員会の許可を受けたものとみなして、当該農地の所有権を取得することができる。
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正解は ”誤り”

【解説】 ある法律行為が効力を発生するために当然必要な条件として法律が規定する条件は、ここでいう条件ではない。法定条件は、その条件をみたさない限り法律行為の効力は発生せず、当事者の意思によって左右できるものではないから、仮に当事者が法定条件を条件として付けても法律上無意味だからである。そこで、判例は、都道府県知事の許可を得ることを条件として農地の売買契約をしたとしても、いわゆる停止条件を付したことにはならず、農地の売主が故意に知事の許可を得ることを妨げたとしても、買主は、条件が成就したものとみなして、売主にその農地の引渡しを請求することはできないとしている。

【No.82】 民法 条件および期限に関する問題

甲土地の買主が甲土地の売買代金の支払を遅滞している場合において、売主がした「2週間以内に甲土地の売買代金を支払わないときは、売買契約を解除する。」旨の意思表示は、単独行為に条件を付すものであるから、無効となる。
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正解は ”誤り”

【解説】 婚姻、縁組、相続の承認・放棄といった身分上の行為については、条件を付することができない。このような行為に条件を付することは、強行規定や公序良俗に反する結果となるからである。また、相殺、解除、取消しといった単独行為についても条件を付することができない。このような行為に条件を付することは、相手方を不安定な状態におとしいれ不利にするからである。ただし、相手方の同意があるときや、相手方を不当に不利にするものでないときは、条件を付することができる。「2週間以内に土地の売買代金を支払わないときは、売買契約を解除する」というような条件付の解除の意思表示は有効である。相手方が解除の不利益を免れようとすれば、当然にしなければならないことを条件とするものであって、この条件によって相手方の不利益を増加するものではないからである。

【No.83】 民法 条件および期限に関する問題

「Aが結婚したら、Bは、Aに対し、B所有の甲土地を贈与する。」旨の契約をA及びBが締結した場合には、当事者は、甲土地について、条件付所有権の移転の仮登記をすることができる。
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正解は ”正しい”

【解説】 不動産登記法3条各号に掲げる権利(登記することができる権利)の設定、移転、変更又は消滅に関して請求権を保全しようとするときは、仮登記をすることができるとされているが、この請求権には、始期付き又は停止条件付きのものその他将来確定することが見込まれるものを含むとされている。

【No.84】 民法 条件および期限に関する問題

「Aが大学に合格したら、Bは、Aに対し、B所有の乙建物を贈与する。」旨の契約をA及びBが締結した場合において、Cの放火により乙建物が滅失したときは、Aは、大学に合格する前であっても、Cに対し、乙建物の価値相当額の損害の賠償を請求することができる。
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正解は ”誤り”

【解説】 登記することができる権利の設定、移転、変更又は消滅に関して請求権を保全しようとするときは、仮登記をすることができるとされているが、この請求権には、始期付き又は停止条件付きのものその他将来確定することが見込まれるものを含むとされている。

【No.85】 民法 条件および期限に関する問題

「Aが大学で進級することができなかったら、Bは、Aに対して支払ってきた奨学金をその後は支払わない。」旨の契約をA及びBが締結した場合において、Aが大学で進級することができなかったときは、Bは、Aが大学で進級することができなかったことを知らなくても、Aに対して奨学金を支払う義務を免れる。
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正解は ”正しい”

【解説】 「大学で進級することができなかったら、奨学金をその後は支払わない」旨の契約は、解除条件の場合である。大学で進級することができなかったときは、当事者がそのことを知らなくても、奨学金の給付契約の効力が消滅することになる。したがって、本肢のBは、Aに対して奨学金を支払う義務を免れる。

【No.86】 民法 時効に関する問題

取得時効が成立するためには、所有の意思をもって物を占有することが必要であり、賃借の意思をもって物の占有を継続しても、その占有者は、権利を時効取得しない。
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正解は ”誤り”

【解説】 所有権の取得時効は、所有の意思をもってする占有(自主占有)であることが要件とされるが、賃借権は債権であるが、賃借権のように継続的給付を目的とする債権は所有権以外の財産権として取得時効の対象となる。

【No.87】 民法 時効に関する問題

物の所有者がその物を占有している者に対して所有権に基づく引渡請求の訴えを提起した場合において、その訴えが却下されたときは、その後6箇月間は、取得時効が完成しない。
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正解は ”正しい”

【解説】 訴えの提起がされると、これにより時効完成の猶予の効力が発生して、その後、訴えの却下や、取下げ等、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなく訴訟が終了した場合でも、その終了の時から6か月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

【No.88】 民法 時効に関する問題

物の所有者は、その物に対する所有権を消滅時効によって失うことはないが、他人が当該所有権を時効取得した場合には、当該所有権を失う。
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正解は ”正しい”

【解説】 所有権は消滅時効にかからない。しかし、他人が時効取得すれば、これの反射的効果として所有者は、所有権を失うことになる。ただし、これは消滅時効による消滅ではない。

【No.89】 民法 時効に関する問題

物の所有者は、その物を不法に占有する者に対し、所有権に基づく妨害排除請求権を有するが、不法占有の開始時から10年間当該請求権を行使しなかった場合には、当該請求権は、時効により消滅する。
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【解説】 物権的請求権は、物権に基づき認められるものであり、物権が消滅しない限り、時効消滅しない。所有権は消滅時効にかからないから、これに基づく物権的請求権も消滅時効にかからない。

【No.90】 民法 時効に関する問題

取得時効が成立するためには、他人の物を占有することが必要であり、自己の所有物を占有しても、その占有者は、所有権を時効取得しない。
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【解説】 民法162条は、「他人の物」について時効によって所有権を取得するものとしているから、民法162条の占有者は、権利なくして占有をした者を指すことになる。しかし、これは、通常の場合を規定したにとどまり、所有権に基づいて占有した者も含まれる。しかし、自己の物について取得時効の援用を許さない趣旨ではないとされている。

【No.91】 民法 時効に関する問題

AのBに対する売買代金債務を連帯保証したCは、Aの売買代金債務について消滅時効が完成した後にBから連帯保証債務の履行を求められた場合にはAの売買代金債務についての消滅時効が完成する前に自らの連帯保証債務を承認していたときであっても、Aの売買代金債務についての消滅時効を援用してBからの請求を拒むことができる。
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【解説】 連帯保証債務について債務承認による時効の更新がされても、主たる債務の消滅時効には影響せず、連帯保証人は、主たる債務の消滅時効を援用して、債権者からの請求を拒むことができる。

【No.92】 民法 時効に関する問題

Aを抵当権者として先順位の抵当権が設定されている不動産の後順位の抵当権者であるBは、Aの先順位の抵当権の被担保債権について消滅時効が完成した場合であっても、その消滅時効を援用することができない。
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正解は ”正しい”

【解説】 時効を援用することができる者(援用権者)の範囲については、時効によって直接に利益を受ける者及びその承継人に限定し、時効によって間接に利益を受ける者を除外するというのが判例の基本的立場である。後の順位の抵当権者は、先の順位の抵当権者の被担保債権の消滅時効を援用することができない。後の順位の抵当権者は、先の順位の抵当権の被担保債権の消滅により直接に利益を受ける者には該当しないからである。

【No.93】 民法 時効に関する問題

甲土地上に乙建物を所有しているAから乙建物を賃借しているBが、甲土地の所有者であるCから、所有権に基づき乙建物から退去して甲土地を明け渡すよう求められた場合において、Aの占有による甲土地の所有権の取得時効が完成しているときは、Bは、その取得時効を援用してCからの請求を拒むことができる。
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正解は ”誤り”

【解説】 Cが所有する土地を時効によって取得するAから、Aが所有する建物を賃借したBは、Aの取得時効を援用することができない。Bは、Aから建物を賃借しているにすぎず、土地の取得時効の完成によって直接に利益を受ける者ではないからである。

【No.94】 民法 時効に関する問題

被相続人Aの占有により甲土地の取得時効が完成していた場合には、Aの共同相続人の一人であるBは、甲土地の全部について取得時効を援用することができる。
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【解説】 時効の援用権者が数人いる場合に、その1人が援用しても、その効果は他の者には及ばない、これを「時効の効果の相対性」という。Aの共同相続人の1人であるBは、甲土地の全部について取得時効を援用することはできない。

【No.95】 民法 時効に関する問題

Aに対する貸金債務を承認したBが、Aから貸金返還請求を受けた場合には、Bは、その承認の際に、その貸金債務について消滅時効が完成していることを知らなかったときであっても、貸金債務の消滅時効を援用してAからの請求を拒むことができない。
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【解説】 消滅時効完成後に債務の承認をした債務者は、時効の完成の事実を知らなかった場合でも、時効を援用することは許されない。

【No.96】 民法 時効に関する問題

A所有の甲土地についての取得時効に関して、Bは、甲土地を無権利者Cから賃借した場合には、甲土地の賃借権を時効によって取得することはできない。
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【解説】 所有権以外の財産権も取得時効の対象となるが、ここでいう財産権には、地上権や地役権といった用益物権のほか、賃借権や使用借権のように、継続的給付を目的とする債権も取得時効の対象となる。土地賃借権の取得時効の要件について判例は、土地の継続的な用益という外形的事実の存在と、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されていることをあげている。

【No.97】 民法 時効に関する問題

A所有の甲土地についての取得時効に関して、Bは、甲土地が自己の所有する物であると過失なく信じ、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と甲土地の占有を開始したものの、それから10年が経過する前に当該占有が隠秘のものとなった場合には、当該占有の開始から10年間占有を継続しても、甲土地の所有権を時効によって取得することはできない。
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正解は ”正しい”

【解説】 10年間,所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得することとされているが、この規定にいう「公然」とは、隠匿しないことをいう。公然と占有を開始したものの、時効期間が満了する前に当該占有が隠匿のものとなった場合には、時効取得することができない。

【No.98】 民法 時効に関する問題

A所有の甲土地についての取得時効に関して、Bは、甲土地を無権利者Cから買い受け、甲土地が自己の所有する物であると過失なく信じ、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と甲土地の占有を開始したものの、それから10年が経過する前に甲土地がAの所有する物であることを知った場合には、当該占有の開始から10年間占有を継続しても、甲土地の所有権を時効によって取得することはできない。
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正解は ”誤り”

【解説】 10年間の取得時効の要件とされる善意とは、自分に所有権があると信じることであり、過失がない、すなわち、無過失とは、自分に所有権があると信ずるについて過失のないことをいう。そして、この善意無過失は、占有の開始時点で充足されればよく、その後、悪意又は有過失になってもそれで時効期間が20年間になるわけではない。

【No.99】 民法 時効に関する問題

A所有の甲土地についての取得時効に関して、Bは、甲土地が自己の所有する物であると過失なく信じ、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と甲土地の占有を開始し、その3年後、甲土地がAの所有する物であることを知っているCに対して甲土地を売却した。この場合において、Cは、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と甲土地の占有を始め、それから7年が経過したときには、甲土地の所有権を時効によって取得することができる。
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正解は ”正しい”

【解説】 善意無過失は、最初の占有者について、その占有開始の時点において判定すれば足りるとしている。したがって、最初の占有者であるBが占有開始時点で善意無過失であれば、後の占有者であるCが占有開始時点で悪意であっても、Bの占有と併せて10年が経過したときには、甲土地の所有権を時効によって取得することができる。これは、このような場合にCの10年間の取得時効の援用を認めないことは、Bがそのまま10年継続して占有を継続した場合と権衡を失し妥当ではないからである。

【No.100】 民法 時効に関する問題

A所有の甲土地についての取得時効に関して、Bは、甲土地がAの所有する物であることを知りながら、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と甲土地の占有を始め、その4年後、甲土地がBの所有する物であると過失なく信じたCに対して甲土地を売却した。この場合において、Cは、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と甲土地の占有を始め、それから6年が経過したときには、甲土地の所有権を時効により取得することができる。
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正解は ”誤り”

【解説】 Cは、Bの占有を併せれば10年間占有を継続したことになるが、その場合は、Bの瑕疵(悪意で占有を開始したこと。)をも承継することになるので、Cは、10年間の取得時効を援用することはできない。
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