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【No.121】 民法 物権に関する問題
Aは、B所有の甲土地を、自己の所有地であると過失なく信じて占有を開始し、以後、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と甲土地を占有している。占有から9年経過後、甲土地がBからCに譲渡された場合において、Aは、その5年後、所有権の移転の登記をしなくても、Cに対して甲土地の時効取得を主張することができる。
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正解は ”正しい”
【解説】 所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と甲土地を占有したAが、占有の開始の時に善意であり、かつ、過失がなかったので、10年間で時効が完成することになる。また、Aは、時効完成時の所有者であるCに対しては、登記がなくても時効による所有権の取得を対抗することができる。
【No.122】 民法 物権に関する問題
Aは、B所有の甲土地を、自己の所有地であると過失なく信じて占有を開始し、以後、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と甲土地を占有している。CがBから甲土地を譲り受けたのが、Aの占有開始後11年が経過した場合には、Aは、所有権の移転の登記をしなければ、Cに対して時効取得を主張することができない。
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正解は ”正しい”
【解説】 Aは、時効完成後に甲土地を譲り受けたCに対しては、登記がなければ時効による所有権の取得を対抗することができない。
【No.123】 民法 物権に関する問題
Aは、B所有の甲土地を、自己の所有地であると過失なく信じて占有を開始し、以後、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と甲土地を占有している。CがBから甲土地を譲り受けたのが、Aの占有開始後11年が経過した場合には、Aは、所有権の移転の登記をしなければ、Bに対して時効取得を主張することができない。
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正解は ”誤り”
【解説】 時効取得者であるAと原所有者であるBとは、当事者の関係にあり、Aは、Bに対して、登記なくして時効による所有権の取得を対抗することができる。
【No.124】 民法 物権に関する問題
Aは、B所有の甲土地を、自己の所有地であると過失なく信じて占有を開始し、以後、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と甲土地を占有している。Aは、13年の占有をしているが、10年間の占有に基づいて、占有開始を遅らせたうえでCに対して甲土地の時効取得を主張することはできない。
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正解は ”正しい”
【解説】 時効期間は、時効の基礎たる事実の開始された時を起算点として計算すべきであり、時効を援用する者において起算点を選択したり、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることができない。
【No.125】 民法 物権に関する問題
Aは、B所有の甲土地を、自己の所有地であると過失なく信じて占有を開始し、以後、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と甲土地を占有している。占有開始後、20年が経過するのを待って、その後に、20年の取得時効を主張することはできない。
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正解は ”誤り”
【解説】 時効の効果は、時の経過とともに確定的に生ずるのではなく、援用(時効の利益を受ける意思を表示すること。)によって確定的に生ずるのである。10年が経過した時点では、時効の利益を受けることを望まなかった占有者や、自己が所有する土地であると信じていた占有者、あるいは、無過失であることを立証することができなかった占有者が、20年を経過した後に、20年間の占有に基づく時効取得を主張することは何ら問題がない。
【No.126】 民法 物権に関する問題
Cが所有する土地をAに売却したが、所有権の移転の登記をしないうちに、Bが権原がないのにその土地を占拠した場合、AがBに対して土地の所有権を主張することができない。
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正解は ”誤り”
【解説】 不動産物権変動は、登記をしなければ第三者に対抗することができないが、この「第三者」とは、「当事者若しくはその包括承継人以外の者であって、不動産に関する物権の得喪及び変更の登記の欠缺を主張する正当の利益を有する者」を指すとしており、不法行為者や不法占拠者は、登記がないことを主張する正当な利益を有しないとしている。
【No.127】 民法 物権に関する問題
Cが所有する土地をAに売却したが、所有権の移転の登記をしないうちにCの一般債権者Bがその土地について仮差押えをした場合、AがBに対して土地の所有権を主張することができない。
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正解は ”正しい”
【解説】 差押債権者や仮差押債権者は、登記がないことを主張する正当な利益を有する第三者である。したがって、買い受けた土地について所有権の移転の登記を受けていないAは、Bに対して所有権を主張することができない。
【No.128】 民法 物権に関する問題
Bが所有する土地をCに売却したが、所有権の移転の登記をしないうちに、CがAにその土地を売却した場合、AがBに対して土地の所有権を主張することができない。
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正解は ”誤り”
【解説】 Bは、CA間の所有権の移転についてAの登記がないことを主張する正当な利益を有する第三者には当たらないとしている。Bは、すでにCに所有権を移転して無権利者となっているから、Aの登記がないことを主張しても何らの利益もないからである。したがって、Aは、Bに対して所有権を主張することができる。
【No.129】 民法 物権に関する問題
Bが所有する土地をCに売却して所有権の移転の登記をし、CがAにその土地を売却したが、その所有権の移転の登記をする前にBがCの代金未払を理由にBC間の売買契約を解除した場合、AがBに対して土地の所有権を主張することができない。
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正解は ”正しい”
【解説】 Cがその土地をAに売却した後に、BがBC間の売買契約を解除して、現在登記はCにあるということであるが、仮に、B又はAに要求される登記が対抗要件であったとすると、Bは登記がない以上、Aに対して自己の所有権を主張することはできないが、Aに要求される登記は権利保護要件であるため、Aに登記がない以上、Aは保護されるべき第三者といえないため、解除の遡及効により無権利者となり、Bは自己に登記がなくてもAに対して所有権を主張することができるのである。つまり、AはBに対して土地の所有権を主張することができない。
【No.130】 民法 物権に関する問題
未成年者Aは、法定代理人Cの同意を得ないで、A所有の土地をDに売却し、Dは、Aが未成年者でDへの売却についてCの同意を得ていないことを知らないBに対し、その土地を売却した。その後、CがAのDに対する売買の意思表示を取り消した場合、AがBに対して土地の所有権を主張することができない。
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正解は ”誤り”
【解説】 制限行為能力を理由とする取消しは、取消し前の第三者に対する関係では、第三者が善意であっても、また、登記がなくても対抗することができる。
【No.131】 民法 物権に関する問題
土地を使用する権原を有しない者が当該土地に小麦の種をまき、これを育てた場合には、成育した小麦の所有権は、種をまいた者に帰属する。
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正解は ”誤り”
【解説】 土地を使用する権原を有しないAが、当該土地に種子をまいた場合には、当該土地の所有者Bがその種子の所有権を取得し、Aはその所有権を失うから、生育した小麦の所有権は、Aに帰属しない。
【No.132】 民法 物権に関する問題
建物の賃借人が賃貸人の承諾を得て当該建物を増築した場合であっても、その増築部分が取引上の独立性を有しないときは、当該賃借人は、当該増築部分の所有権を取得しない。
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正解は ”正しい”
【解説】 Aが所有する不動産に、Bが権原によって物を附属させたときは、付合は生ぜず、付着した物の所有権は、Bに留保される。つまり、Aはその物の所有権を取得しない。しかし、この民法242条ただし書が適用されるためには、附属させられた物が独立性を有することが前提となる。建物の賃借人であるAが、賃貸人(所有者)であるBの承諾を得てその建物に増築した場合であっても、その増築部分が取引上の独立性を有しないときは、Aは、当該増築部分の所有権を取得せず、増築後の建物全体がBの所有になる。
【No.133】 民法 物権に関する問題
BがAからAの所有する土地を買い受けて立木を植栽した後に、Cが当該立木とともに当該土地をAから買い受けてその所有権の移転の登記を備えた場合には、Bは、当該立木につき対抗要件を備えていなくとも、Cに対し、当該立木の所有権を主張することができる。
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正解は ”誤り”
【解説】 BがAからAの所有する土地を買い受けて立木を植栽した後に、Cが当該立木とともに当該土地をAから買い受けた場合には、Cが当該土地について所有権の移転の登記を備える前に、Bが当該立木について対抗要件(明認方法)を備えていれば、Bは、Cに対して、当該立木の所有権を対抗(主張)することができるが、Bが対抗要件を備える前に、Cが所有権の移転の登記を備えたときは、Bは、Cに対して、当該立木の所有権を対抗することができない。
【No.134】 民法 物権に関する問題
Aが所有する甲動産に甲動産の賃借人Bが所有する乙動産が付合したときは、甲動産が主たる動産であったとしても、Bは、乙動産の所有権を失わない。
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正解は ”誤り”
【解説】 所有者を異にする数個の動産が、付合により、損傷しなければ分離することができなくなったとき、又は分離するのに過分の費用を要するときは、その合成物の所有権は、主たる動産の所有者に帰属するものとされている。例えば、Aが所有する機械を修理するために、Bが所有するリベットをその機械に溶接したときは、Bはそのリベットの所有権を失う。
【No.135】 民法 物権に関する問題
不動産の付合によって付合した物の所有権を喪失し、損失を受けた者は、当該不動産の付合によって所有権を取得した者に対し、その償金を請求することができる。
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正解は ”正しい”
【解説】 付合に関する規定の適用によって損失を受けた者は、民法703条及び704条の規定に従い、その償金を請求することができる。
【No.136】 民法 物権に関する問題
物権としては占有権、所有権、抵当権、採石権等の民法の明文で認められている物権のほか、仮登記担保契約に関する権利等の特別法で認められた物権、さらには、上土権(地表のみの所有権)のように判例によって認められた慣習法上の物権などがある。
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正解は ”誤り”
【解説】 上土権とは、徳川時代に他人のもっている荒蕪地(荒れはてて雑草の繁る土地)を開墾した場合に、開墾者が表土(土壌の最上層の部分)についてもつと認められた権利であり、近代法的な意味では所有権に近い権利と観念されている。また、上土権に対して上土権を除いた土地の支配権は底土権と呼ばれるが、小作料徴収権としての意味しかなくなっている。上土権が独自の物権として認められるかどうかについて、判例・学説はこれを否定している。
【No.137】 民法 物権に関する問題
物権の客体である「物」の定義は、民法に定められており、有体物をいう。この有体物とは、空間の一部を占める外界の物質、すなわち、固体、液体及び気体のすべてを意味する。
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正解は ”正しい”
【解説】 物権の客体は、原則として、物であることを要する。物とは、有体物をいう。有体物とは、無体物に対するもので、有形的に存在するもの、つまり空間の一部を占める外界の物質、すなわち固体、液体、気体をいう。
【No.138】 民法 物権に関する問題
物権の客体となる「物」は、特定していなければならない。また、物権の客体は、単一の物でなければならず、物の集合に対して1個の物権が成立することはない。
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正解は ”誤り”
【解説】 後段の記述については誤りである。集合物は、それを構成する個々の物の上に各別の物権が成立するのが原則であるが、多数の物が有機的に結合している場合には、個々の構成物の価値の総和より、一体としての集合物の価値のほうがはるかに高いということになる。そこで、集合物に、ある程度まで特定性と独立性が認められ、適当な公示方法があるときは、集合物を一体の物としで担保の目的とする等、集合物全体の上に1個の物権を認める社会的必要があるため、特別法によって1個の不動産又は1個の物とみなして、所有権や抵当権の目的とすることが認められている。例えば、工場財団や鉱業財団等がある。
【No.139】 民法 物権に関する問題
「物」のうち、土地及びその定着物は不動産とされているが、土地の定着物は、原則として、その土地の一部を構成し、土地所有権に含まれるが、建物は、土地とは独立した所有権の客体となり、立木も、立木ニ関スル法律による登記又は明認方法を備えることにより、独立した物として扱われる。
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正解は ”正しい”
【解説】 立木法による立木とは、一筆の土地又は一筆の土地の一部に生立する樹木の集団について、立木法により所有権の保存の登記を受けたものをいい、土地とは独立した不動産とみなされる。これにより、立木の所有者は、土地と分離して、立木を譲渡することができ、又はこれを抵当権の目的とすることができる。
【No.140】 民法 物権に関する問題
賃借人が賃借権に基づいて木や作物を土地に付属させた場合には、それらの物の所有権は、その土地の所有権には含まれず、賃借人に帰属する。
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正解は ”正しい”
【解説】 不動産の所有者は、原則として、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。「不動産に従として付合する」とは、動産が不動産に付着して、一般取引通念上、これを分離復旧させることが事実上不可能になるか、又は分離復旧させることが社会経済上著しく不利益になることをいう。しかし、例外として、他人が権原によって動産を不動産に附属させたときは、付着した動産の所有権は、その他人に留保される。つまり、附属させた者の所有にとどまり、不動産の所有者がその所有権を取得しない。例えば、Aが所有する土地に賃借人Bが樹木を植えた場合は、樹木の所有権はBに留保され、Aがその所有権を取得しない。