【一級建築士過去問_Ⅳ_構造】一日5問!詳しく解説
構造_H29_No.8
建築基準法における荷重及び外力に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.学校の屋上広場の単位面積当たりの積載荷重は、実況に応じて計算しない場合、教室の単位面積当たりの積載荷重と同じ数値とする。
2.雪下ろしを行う習慣のある地方においては、その地方における垂直積雪量が1mを超える場合においても、積雪荷重は、雪下ろしの実況に応じて垂直積雪量を1mまで減らして計算することができる。
3.風圧力における平均速度の高さ方向の分布を表す係数Erは、建築物の高さが同じ場合、一般に、「都市計画区域外の極めて平坦で障害物がない区域」より「都市計画区域内の都市化が極めて著しい区域」のほうが小さい。
4.建築物の地上部分における各層の地震層せん断力Q<sub<iは、最下層の値が最も大きくなる。
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【正解(1)】
1.×です。屋上広場の積載荷重は、学校又は百貨店で同じ値を取ります。学校の屋上広場の単位面積当たりの積載荷重は、実況に応じて計算しない場合、教室の単位面積当たりの積載荷重より大きな数値とします。なお、百貨店の屋上広場の単位面積当たりの積載荷重は、実況に応じて計算しない場合、店舗の売り場の単位面積当たりの積載荷重と同じ値とすることができます。
2.○です。雪下ろしを行う習慣のある地方においては、その地方における垂直積雪量が1mを超える場合においても、積雪荷重は、雪下ろしの実況に応じて垂直積雪量を1mまで減らして計算することができます。
3.○です。風圧力における平均速度の高さ方向の分布を表す係数Erは、建築物の高さが同じ場合、一般に、「都市計画区域外の極めて平坦で障害物がない区域」より「都市計画区域内の都市化が極めて著しい区域」のほうが小さいです。気流の乱れを表すガスト影響係数Gfは、障害物の多い「都市計画区域内の都市化が極めて著しい区域」のほうが大きな値となります。
4.○です。建築物の地上部分における各層の地震層せん断力Q<sub<iは、最下層の値が最も大きくなります。最上階の梁よりも1階の梁のほうが断面が大きいことからも想像できます。なお、層せん断力係数Ciは上層ほど大きくなる点と混同しないように注意が必要です。
構造_H29_No.9
木造軸組工法による地上2階建ての建築物に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.平面が長方形の建築物において、必要壁量が風圧力により決定されたので、張り間方向と桁行方向の壁量が、それぞれの方向の必要壁量以上となるように設計した。
2.圧縮力と引張力の両方を負担する筋かいとして、厚さ3cm、幅9cmの木材を使用した。
3.9cm角の木材の筋かいを入れた軸組の倍率(壁倍率)を3とし、9cm角の木材の筋かいをたすき掛けに入れた軸組の倍率(壁倍率)を6とした。
4.筋かいが間柱と交差する部分は、間柱の断面を切り取り、筋かいは欠込みをせずに通すようにした。
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【正解(3)】
1.○です。風圧力に対する、構造上必要な壁量は、張り間方向と桁行方向の壁量が、それぞれの方向の必要壁量以上となるように設計します。
2.○です。厚さ3cm以上、幅9cm以上の木材は、圧縮力と引張力の両方を負担する筋かいとして使用できます。
3.×です。たすき掛けに入れた軸組の倍率(壁倍率)は、片掛けの2倍とすることはできますが、5を超えることはできません。
4.○です。筋かいが間柱と交差する部分は、間柱の断面を切り取り、筋かいは欠込みをせずに通すようにします。
構造_H29_No.12
鉄筋コンクリート構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.梁のせん断強度を大きくするために、あばら筋量を増やした。
2.曲げ降伏する梁の靭性を高めるために、コンクリートの設計基準強度に対するせん断応力度の比を大きくした。
3.柱のせん断強度を大きくするために、設計基準強度がより高いコンクリートを採用した。
4.曲げ降伏する両側柱付き耐力壁の靭性を高めるために、側柱の帯筋量を増やした。
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【正解(2)】
1.○です。一般的に、梁のせん断強度を大きくするためには、あばら筋量を増やします。
2.×です。設計基準強度に対するせん断応力度の比は、「せん断応力度/設計基準強度」のことで、この比率を大きくするということは、分子のせん断応力度を増やす、または、分母の設計基準強度を下げるということになります。せん断に対する強度の余裕がなくなるため、せん断降伏が先行し、靭性が低くなります。
3.○です。設計基準強度がより高いコンクリートを採用することで、柱・梁・壁部材のせん断強度を大きくすることができます。
4.○です。曲げ降伏する耐力壁の両側の柱の帯筋量を増やすと、柱付き耐力壁としてのせん断耐力が増すので、靭性が高くなります。
構造_H29_No.13
鉄筋コンクリート構造の柱及び梁における付着に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.主筋間のあきが大きくなると、付着割裂強度は小さくなる。
2.細径の主筋を用いる場合よりも、太径の主筋を用いる場合のほうが、断面の隅角部に付着割裂破壊を生じやすい。
3.付着割裂破壊に対する安全性の検討を行う場合、帯筋、あばら筋及び中子筋の効果を考慮して、付着割裂強度を算定しても良い。
4.部材端部にせん断ひび割れが生じる部材では、主筋の引張応力度を一定とみなす範囲を除いたうえで、設計用付着応力度を算定する。
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【正解(1)】
1.×です。主筋間のあきが大きくなると、付着割裂強度は大きくなります。
2.○です。付着割裂破壊は、柱断面の一辺に多数の鉄筋を配筋するとサイドスプリットという付着割裂破壊を生じやすく、コーナー部に太い鉄筋を配筋するとコーナースプリットという付着割裂破壊を生じやすくなります。
3.○です。帯筋、あばら筋及び中子筋が多いほど付着割裂強度が高くなります。この効果を考慮して、付着割裂破壊に対する安全性の検討を行います。
4.○です。部材端部にせん断ひび割れが生じる部材では、ひび割れによって鉄筋とコンクリートの付着性能が低下するため、設計用付着応力度を算定する際に、せん断ひび割れが生じる範囲である、断面の有効せい(d)分を付着長さから除きます。
構造_H29_No.14
鉄筋コンクリート構造の許容応力度設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.柱の長期許容曲げモーメントの算定において、コンクリートには引張応力度の負担は期待せず、主筋と圧縮コンクリートを考慮して計算を行った。
2.梁の長期許容曲げモーメントを大きくするために、引張鉄筋をSD345から同一径のSD390に変更した。
3.柱及び梁の短期許容せん断力の算定において、主筋はせん断力を負担しないものとして計算を行った。
4.開口を設けた耐力壁において、壁縦筋や壁横筋の寄与分を考慮して、設計用せん断力に対して必要となる開口補強筋量を算定した。
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【正解(2)】
1.○です。柱及び梁の許容曲げモーメントの算定では、コンクリートには引張応力度の負担は期待せず圧縮力のみを負担するものとして考えます。圧縮応力度の負担は、主筋と圧縮コンクリートの両方を考慮して計算を行います。
2.×です。鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説において、高強度鉄筋である、SD345、SD390、SD490は、長期許容応力度の値は同じと定められています。
3.○です。柱及び梁の短期許容せん断力の算定において、せん断補強筋とコンクリートにより、せん断耐力を算定します。主筋はせん断力を負担しないものとして計算を行います。
4.○です。開口を設けた耐力壁において、開口補強筋だけでなく、壁縦筋や壁横筋の寄与分を考慮して、設計用せん断力に対して必要となる開口補強筋量を算定します。