このページでは、受働土圧と主働土圧について、モールの応力円とクーロンの破壊戦の図から、評価式を求める方法についてまとめています。
受動土圧と主動土圧
受動土圧
受動土圧は、鉛直方向の応力(上載圧)σ1が一定の条件で、これ以上、側圧が大きくなると、水平方向の応力が勝って破壊する限界の土圧σ3pを言います。
受動土圧による土の破壊は、縦に変形して破壊します。
受動土圧による土の破壊は、縦に変形して破壊します。
主動土圧
主動土圧は、鉛直方向の応力(上載圧)σ1が一定の条件で、これ以上、側圧が小さくなると、鉛直方向の応力が勝って破壊する限界の土圧σ3aを言います。
主動土圧による土の破壊は、横に変形して破壊します。
主動土圧による土の破壊は、横に変形して破壊します。
受動土圧の評価式
受動土圧の評価式は、上の図のモールの応力円とクーロンの破壊線の関係から導くことができます。「三角形アイウ」の幾何学的な関係から、下式が成立します。
$$\left(\frac{C}{\tan{\phi}}+\frac{\sigma_{3p}+\sigma_{1}}{2}\right)\sin{\phi}=\frac{\sigma_{3p}-\sigma_{1}}{2}$$
これを整理すると
$$\left(1+\sin{\phi}\right)\sigma_{3p}=\left(1-\sin{\phi}\right)\sigma_{1}+\frac{\sin{\phi}}{\tan{\phi}}2{C}$$
更に整理すると、受動土圧は、以下の関係となります。
$$\sigma_{3p}=\frac{(1+\sin{\phi})}{(1-\sin{\phi})}\sigma_1-\frac{2\cos{\phi}}{(1-\sin{\phi})}{C}$$
主動土圧の評価式
主動土圧の評価式は、上の図のモールの応力円とクーロンの破壊線の関係から導くことができます。「三角形アエオ」の幾何学的な関係から、受動土圧と同じように整理すると、主動土圧は、以下の関係となります。
$$\sigma_{3p}=\frac{(1-\sin{\phi})}{(1+\sin{\phi})}\sigma_1-\frac{2\cos{\phi}}{(1+\sin{\phi})}{C}$$
例題
内部摩擦角φ=10°,粘着力C=30kN/m2のシルト質地盤がある。地下水位は地表面下2mの位置にあり、それ以浅の単位体積重量は1.8ton重/m3で、それ以深の単位体積重量は2.0ton重/m3である。
①このときの地下10mにおける鉛直応力(有効応力)を求めよ。
②このときの地下10mの受動土圧と主動土圧を求めよ。
(※有効応力の求め方は、こちらのページを参照)
①このときの地下10mにおける鉛直応力(有効応力)を求めよ。
②このときの地下10mの受動土圧と主動土圧を求めよ。
(※有効応力の求め方は、こちらのページを参照)
①の解答
地下10mの全応力σ=1.8×9.8×2+2.0×9.8×(10-2)=192.1kN/m2
深度10mの間隙水圧u=1.0×9.8×(10-2)=78.4kN/m2
地下10kの有効応力σ’=192.1-78.4=113.7kN/m2
深度10mの間隙水圧u=1.0×9.8×(10-2)=78.4kN/m2
地下10kの有効応力σ’=192.1-78.4=113.7kN/m2
②の解答
地下10mの受動土圧は
$$\sigma_{3p}=\left(\frac{1+\sin{10°}}{1-\sin{10°}}\right)113.7+\frac{2\cos{10°}}{\left(1-\sin{10°}\right)}30=233.0{kN/m}^2$$
地下10mの主動土圧は
$$\sigma_{3a}=\left(\frac{1-\sin{10°}}{1+\sin{10°}}\right)113.7+\frac{2\cos{10°}}{\left(1-\sin{10°}\right)}30=130.4{kN/m}^2$$
以上です。何かのお役に立てましたら幸いです。