【硬化コンクリートの配合推定】セメント協会法(粉末を塩酸に溶かし、強熱減量、酸化カルシウムで定量)

診断士

硬化コンクリートの配合推定とは?

既存のコンクリートからコアを採取後、粉砕し【結合水量、セメント量、骨材量】を推定する方法です。

硬化コンクリートの配合を推定する方法として、「セメント協会法」が用いられます。以下に、その方法についてまとめます。

セメント協会法=塩酸を用いた方法で、そのほかにグルコン酸ナトリウムを用いた方法やギ酸を用いた方法があります。

セメント協会法(塩酸を用いた方法)

コンクリートを粉砕するまでの手順

  1. 既存のコンクリートからコアを採取
  2. コアの状態で単位容積質量、吸水率を測定
  3. コンクリートコアを105μmふるいをすべて通過する程度に微粉砕する

粉砕したコンクリートから推定するもの

  1. 粉末を強熱減量(600±50℃)し、蒸発して減った水の質量から水分量を推定
  2. 塩酸で処理後、ろ液に酸化カルシウムを定量し、セメント量を推定
  3. 塩酸で処理後、残留物に強熱減量(1000±50℃)し、強熱後の質量から骨材量を推定

少し詳しく解説します。

1.粉末を強熱減量(600±50℃)し、蒸発して減った水の質量から水分量を推定

コンクリート粉末の状態(塩酸に溶かしていない状態)で強熱減量することで、コンクリート(セメント+骨材)中の水分を蒸発させることになります。そのため、コンクリート中の水分量を推定することが出来ます。

2.塩酸で処理後、ろ液に酸化カルシウムを定量し、セメント量を推定

塩酸でコンクリート粉末を溶かすことで、コンクリートのセメント分が塩酸に溶け、骨材分は溶けずに残ります。

塩酸に溶けたセメント中の酸化カルシウムの量を、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)標準液で滴定することで推定し、セメント量を推定します。

3.塩酸で処理後、残留物に強熱減量(1000±50℃)し、強熱後の質量から骨材量を推定

塩酸に溶けずに残った骨材を強熱減量することで、骨材の水分が蒸発し、骨材だけの質量を測ることができます。

ちなみに、105μmのふるいをすべて通過する程度に関して、μ(マイクロ)はm(ミリ)のさらに小さい単位です。かなり細かくしなければ塩酸に溶け切らないことがわかります。

m(ミリ)=10-3
μ(マイクロ)=10-6

注意点

  • 石灰石骨材が含まれているコンクリートは、石灰石(酸化カルシウムが含まれている)が塩酸に溶けてしまうため、セメント協会法は適用できない
  • 海砂が含まれている試験体は、海砂中の貝殻から溶出するCaO量の補正が必要なため、CaO量の分析値がわかる場合にのみ適用できる

グルコン酸ナトリウムを用いた方法

上記の、石灰石骨材や、海砂を使用したコンクリートに対しては、塩酸ではなくグルコン酸ナトリウム溶液を使用する方法が提唱されています。

一方、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメントおよび中性化したコンクリートには適応できません。これは、グルコン酸ナトリウムは、炭酸カルシウムを溶解せず、炭酸カルシウムを含む骨材と中性化により生じた炭酸カルシウムの区別がつけられないためです。

ギ酸を用いた方法

ACP法(ギ酸を用いた方法)は、セメントに含む酸可溶性シリカに着目し、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP)により、ギ酸で溶解したシリカを測定し骨材量およびセメント量を推定する方法ですが、中性化したコンクリート及びアルカリシリカ反応を生じているコンクリートには適応できません。

コアコンクリートに対して行う他の試験

促進膨張試験(残存膨張量の測定)

JCI-DD2法:温度40℃、湿度100%条件下で養生し、全膨張量が0.1%を超える場合は有害であると判定します。(阪神道路公団)

※判定基準に違いがある。旧建設省は13週養生し、膨張量が0.05%以上を有害と判定します。

アルカリシリカゲルの判定

  • 蛍光X線分析
  • 酢酸ウラニル蛍光法
  • 偏光顕微鏡観察
  • SEM(走査線電子顕微鏡)

アルカリ量の測定

コンクリート試料を粉砕した微粉末試料やコア試料により、コンクリート中のアルカリ(Na+、K+)を採取してアルカリ量を測定します。

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