【凍害の調査方法】-診断士小論文対策

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凍害の調査方法-診断士小論文対策

凍害のメカニズムと劣化

凍害は、コンクリート細孔中の水分が凍結する際に、約9%の体積膨張による応力の発生によって引き起こされます。

長年にわたり凍結と融解を繰返し受けると、徐々にコンクリート組織の劣化が激しくなります。
凍害を受けると、コンクリート表面いスケーリング、微細ひび割れ、ポップアウト等の形となって顕在化します。

これらは、美観の損失、断面欠損による体力低下、かぶり減少による鉄筋の腐食の進行などの劣化を引き起こします。

凍害の外観調査

凍害を受けると、次のような劣化が顕在化します。

・スケーリング
・微細ひび割れ
・ポップアウト
・表面はく離
・鉄筋露出

凍害による劣化と、塩害、ASRによる劣化は、外観調査のみでは断定できません。しかし、外観調査の際には立地条件、気温、水の供給や日射条件を確認することによって推定することができます。

気温:氷点下になる
日射条件:南側の日射を受ける場所=夜間凍結⇔昼間融解の繰返し

凍害の調査方法

凍害による損傷の可能性がある場合には、詳細調査、簡易現場計測、経過観察相当を行い、凍害の可能性と損傷の程度を計測します。

図書調査

コンクリートの含水比が高いほど、コンクリート中の水の凍結による膨張圧が大きくなり、凍害を生じやすくなります。

AEコンクリートの使用は、コンクリート中に微細な気泡を生じさせ、耐凍害性が向上します。微細な気泡が、凍結膨張に対して、クッションのような働きをして、劣化を防ぎます。

凍結時の最低温度が低いほど凍害が大きくなり、年間の凍結融解回数が多いほど凍害劣化が早く進行します。最低気温と日射量を調査することで、凍害危険度を判定します。

非破壊検査

スケーリング深さ計測:ノギス計測、3Dスキャナ
凍害劣化深さ計測:表面走査法
劣化範囲計測:反発硬度法

表面走査法は、コンクリート表面に超音波の発信子と受信子をあて、深さ10cm程度までの内部のひび割れ状況を計測する方法です。ひび割れがあると、コンクリート内部を超音波が伝わる際に、ひび割れを避けるように(遠回りするように)伝わるため、超音波の伝播時間が長くなります。

破壊検査

コアを用いた計測:強度、剛性、細孔径分布、複合劣化の試験

凍害が生じると、コンクリートにひび割れが生じるため、強度、剛性が低下します。

凍害は、主に特徴的な外観から原因が推定され、損傷の劣化因子が凍害であることを直接判定する試験は、現在のところ開発されていません。このため、塩害、中性化、ASR等他の劣化の可能性が考えられる場合には、詳細調査を行い、その結果を参考に複合劣化の可能性を慎重に検討する必要があります。

図書調査:使用材料、施工条件、環境条件、使用条件から劣化因子の推定
中性化深さの測定:中性化
塩化物イオン含有量試験:塩害
残存膨張量試験:ASR

凍害劣化対策

凍害劣化対策には、水の供給抑制、劣化部の除去、耐荷力の向上が考えられます。

水の供給抑制:表面処理工法、ひび割れ注入工法、排水処理

劣化部の除去:断面修復、ひび割れ注入

耐荷力の向上:増厚工法、打ち換え、巻き立て工法

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