【気泡間隔係数とは?】現場監督が最低限持ちたい知識

主任技士

気泡間隔係数とは

コンクリートに含まれる気泡と気泡の距離

気泡間隔係数をなぜ測定するか

コンクリートに”微細な気泡”が含まれることにより、以下のメリットがあります。

  1. 微細な気泡がベアリングのように作用し、施工性が向上する
  2. 微細な気泡がクッションの役割をし、耐凍害性が向上する

このため、JIS A 1128では、フレッシュコンクリート中に含まれる空気量を確認しますが「気泡間隔係数」が凍害に対する抵抗性に大きな影響を及ぼすため、ASTM C 457「顕微鏡による硬化コンクリートの気泡間隔係数の測定方法」によって気泡間隔係数が測定されています。

ポイント

同じ空気量であれば、気泡間隔係数(気泡と気泡の距離)が小さいほど耐凍害性は向上する。

リニアトラバース法

気泡間隔係数の測定方法の代表例として、リニアトラバース法が挙げられます。
リニアトラバース法は、硬化したコンクリートを100mm角程度にスライスし、切断面で観察できる気泡の数と大きさから、セメントペースト中に分散した気泡であることを考慮し、気泡の間隔を計算により求める手法です。

cofee break

リニアトラバース=Liner (直線の)traverse(登山などで山の斜面を横切って進むこと)

コンクリート断面を横切る直線に対して評価する手法なので、このような呼び名だということですね。

なお、上の説明に合ったASTMについて、ご説明します。

ASTMは、世界最大規模の標準化団体である米国試験材料協会(American Society for Testing and Materials: ASTM、現在はASTM International)が策定する規格のことです。

気泡間隔係数の計算方法

$$L=\frac{3}{\alpha}[1.4(1+\sqrt[3]{\frac{P}{A}}-1]$$

$$\alpha=\sqrt{\frac{6\pi}{a}}$$

L:気泡間隔係数(mm)
\(\alpha\):気泡の比表面積(mm2/mm3
A:硬化コンクリートの空気量(%)
P:セメントペーストの容積比(%)
a:気泡面積の平均値(mm2

なお、空気量Aは、トラバース長TLと気泡弦長の総和ALから求めることが出来ます。

$$A=\frac{A_{L}}{T_{L}}$$

同様に、セメントペーストの容積比Pは、トラバース長TLとセメントペースト弦長の総和PLから求めることが出来ます。
なお、上図からセメントペースト弦長の総和はトラバース長から気泡弦長及び骨材弦長を引いた値となります。

$$P=\frac{P_{L}}{T_{L}}$$

なぜ横切る線に対しての値が、コンクリート全体の値といえるのか?ここら辺の話は、確率論などの難解な数式を用いると、証明できるそうです。筆者も勉強中ですが、全然理解が追い付いていません。今後の課題としたいと思います。

以上、気泡間隔係数と、その測定方法についてイメージがつかめましたか?

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