【コンクリート主任技士過去問解説】平成24年度No11~15

主任技士過去問解説

コンクリート主任技士過去問 問題と解説

【平成24年度―問題11】

 壁状構造物において、天端付近のセパレータ締付け部に下図のように沈みひび割れ発生が予想された。このひび割れの防止対策として、不適当なものはどれか
(1)減水率が大きい混和剤を使用し、単位水量を少なくする。
(2)石灰石微粉末を使用し、単位粉体量を多くする。
(3)膨張材を使用し、コンクリートの沈下分を膨張させる。
(4)棒形振動機をしようし、セパレータ近傍のコンクリートの再振動を行う。
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正解(3)

沈みひび割れを防止するためには、ブリーディングによるコンクリートの沈降を抑制するために、水セメント比を小さくし、再振動を行う必要があります。
(1)問題の通りです。単位水量を少なくすると、沈みひび割れの原因である、ブリーディング水を減らすことができます。
(2)問題の通りです。単位粉体量を多くすると、ブリーディング水を減らすことができます。
(3)誤りです。膨張材の使用では、コンクリートの沈みひび割れを予防することはできません。
(4)問題の通りです。沈みひび割れを予防するためには、凝結前に、充分に振動を与えて、ブリーディング水を浮き上がらせることが有効です。

【平成24年度―問題12】

 下図(a)~(c)は、一般的なコンクリートの練混ぜ直後から材齢24時間までの、各種試験の測定値の変化を模式的に示したものである。(a)~(c)の縦軸の組合せとして、適当なものはどれか
(a) (b) (c)
(1) 断熱温度上昇量 ブリーディング水の累計 凝結試験の貫入抵抗値
(2) 凝結試験の貫入抵抗値 断熱温度上昇量 ブリーディング水の累計
(3) ブリーディング水の累計 凝結試験の貫入抵抗値 断熱温度上昇量
(4) 断熱温度上昇量 凝結試験の貫入抵抗値 ブリーディング水の累計
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正解(4)

 水和反応による水和熱は、練混ぜから12時間以降に、上昇の速度が上がります。凝結は、練混ぜ開始から4時間程度で上昇の速度が上がります。ブリーディング水は、凝結がある程度進行すると、その後は発生しません。

【平成24年度―問題13】

 コンクリートの体積変化に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか
(1)コンクリートの線膨張係数(熱膨張係数)は、使用骨材の岩種により異なり、石灰岩よりも硬質砂岩のほうが大きい傾向にある。
(2)同一のコンクリートを用いた屋内の部材において、断面寸法が小さいほうが、初期の乾燥収縮ひずみの増加速度は大きくなる。
(3)同一のコンクリートにおいて、載荷期間中の大気湿度が低いほどクリープひずみは大きくなる。
(4)クリープ限度以下の応力を受けるコンクリートでは、クリープひずみの単位時間当たりの増加は、時間の経過とともに大きくなる。
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正解(4)

(1)問題の通りです。コンクリートのひび割れ防止のためには、骨材に、線膨張係数の小さい石灰岩を使用します。
(2)問題の通りです。初期の乾燥収縮ひずみは、部材断面寸法に影響されます。スラブのように、表面積が大きく、薄い部材のほうが、柱のように厚い部材よりも、乾燥収縮ひずみが大きくなります。
(3)問題の通りです。載荷期間中の、大気湿度が低いほど、クリープひずみは大きくなります。これは、コンクリートが乾燥すると、クリープが助長されることを意味します。
(4)誤りです。クリープひずみは時間の経過とともに小さくなります。

【平成24年度―問題14】

 コンクリートの収縮に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか
(1)乾燥収縮の主な駆動力は、水分の逸散に伴い微細空気中に生じる毛細管張力である。
(2)コンクリートの乾燥収縮は、主にペースト部で生じるため、乾燥収縮量は骨材の原石の弾性係数の影響を受けない。
(3)収縮低減剤は、セメント硬化体中の水の表面張力を低下させることによって、乾燥収縮および自己収縮を低減することができる。
(4)拘束の程度が同じ場合、コンクリートの引張クリープが大きいと収縮によるひび割れは生じにくい。
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正解(2)

(1)問題の通りです。コンクリートの、微細な孔の中の水分が少なくなる際に、毛細管張力により、水分がコンクリートを内側に引っ張る力を生じます。これが乾燥収縮の、主な駆動力となります。
(2)誤りです。乾燥収縮は、骨材の弾性係数の影響を受けます。
(3)問題の通りです。収縮低減剤は、セメント硬化体中の、水の表面張力を低下させることによって、乾燥収縮、および、自己収縮を低減することができます。
(4)問題の通り。拘束の程度が同じ場合、コンクリートの引張クリープが大きいと、収縮によるひび割れは生じにくくなります。

【平成24年度―問題15】

 アルカリシリカ反応の試験方法および抑制対策に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)再生骨材Hのアルカリシリカ反応性を化学法によって試験する場合、骨材に付着したセメントペースト分の影響を考慮するため、セメントペースト分を付着させたままで試験に供する。
(2)JIS A 1804(コンクリートの生産工程管理用試験方法―骨材のアルカリシリカ反応性試験(迅速法))によってアルカリシリカ反応性試験を行う場合、供試体の作製から結果の判定までに要する時間は72時間以内である。
(3)JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)により、コンクリート中のアルカリ総量を規制する抑制対策をとる場合、セメント中の全アルカリ量は直近の6カ月の試験成績表に示されている値のうち最も大きいものを用いる。
(4)JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)により、高炉セメントB種を用いた抑制対策をとる場合、高炉スラグの分量(質量分率%)は30%以上でなければならない。
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正解(1)

(1)誤りです。化学法とは、コンクリート試料の溶解シリカ量と、アルカリ濃度減少量を、化学分析によって求める方法です。セメントペースト分を付着させたままで試験すると、セメントペースト分が多くなります。付着したセメントペースト分が多いほど、アルカリ濃度減少量が増え、相対的に溶解シリカ量が減る傾向があります。これは「無害でない」骨材を、「無害」と判定してしまう恐れがあります。
(2)問題の通りです。迅速法は、粒度調整した骨材試料を用いて、モルタル供試体を作成し、高温・高圧環境下で煮沸することで、アルカリシリカ反応を促進させ、骨材の反応性を迅速に判定する試験です。24時間の湿潤養生後、24時間水中養生し、4時間煮沸したのち、判定を行います。
(3)問題の通りです。セメント中の全アルカリ量は、直近の6カ月の試験成績表に示されているあたいのうち、最も大きいものを用いれば良いとされています。
(4)問題の通りです。高炉スラグ微粉末が反応するため、アルカリ成分が少なくなることで、コンクリート中のアルカリが減少し、結果的にアルカリシリカ反応を抑制します。アルカリシリカ反応を抑制させるためには、セメント中の高炉スラグの比率を40%以上とすることが必要とされています。また、フライアッシュは、骨材のアルカリシリカ反応を抑制する効果があります。反応抑制には、フライアッシュセメントの分量は、15%以上であることが必要です。

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