【H27_No.1~5】コンクリート主任技士 問題と解説

主任技士過去問解説

【H27_No.1~5】コンクリート主任技士 問題と解説

【(H27)-No.1】

 ポルトランドセメントの常温常圧下における水和反応と硬化体の性質に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか
(1)セメントに含まれるけい酸三カルシウム(C3S)は、水と反応してけい酸カルシウム水和物(C-S-H)を生成する。
(2)セメントに含まれるけい酸二カルシウム(C2S)は、せっこうと反応してエトリンガイトを生成する。
(3)生成される水酸化カルシウム(Ca(OH)2)は、セメント硬化体をアルカリ性に保つ。
(4)毛細管空隙中に形成される水のメニスカスは、セメント硬化体の乾燥収縮の要因となる。
クリックで【(H27)-No.1】の解答と解説をみる

正解(2)

(1)〇:問題のとおりです。セメントに含まれるけい酸三カルシウム(C3S)は、水と反応してけい酸カルシウム水和物(C-S-H)を生成します。
(2)×:誤りです。セメントに含まれるけい酸二カルシウム(C2S)は、水と反応してけい酸カルシウム水和物(C-S-H)を生成します。
注水直後、アルミン酸三カルシウム(C3A)とせっこうが反応してエトリンガイトを生成します。
(3)〇:問題のとおりです。生成される水酸化カルシウム(Ca(OH)2)は、セメント硬化体をアルカリ性に保ちます。
(4)〇:問題のとおりです。毛細管空隙中に形成される水のメニスカスは、セメント硬化体の乾燥収縮の要因となります。メニスカスとは、毛細管張力のことです。

【(H27)-No.2】

 ポルトランドセメントの組成化合物と用途に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)マスコンクリートの温度ひび割れを抑制するため、けい酸二カルシウム(C2S)の含有量が多いセメントを使用した。
(2)舗装コンクリートの早期解放を図るため、けい酸三カルシウム(C3S)の含有量が多いセメントを使用した。
(3)硫酸塩の作用を受けるコンクリートの化学的抵抗性を高めるため、アルミン酸三カルシウム(C3A)の含有量が少ないセメントを使用した。
(4)高強度コンクリートの長期における強度発現を確保するため、けい酸二カルシウム(C2S)の含有量が少ないセメントを使用した。
クリックで【(H27)-No.2】の解答と解説をみる

正解(4)

(1)〇:問題のとおりです。マスコンクリートの温度ひび割れを抑制するため、水和熱の小さい中庸熱ポルトランドセメントや低熱ポルトランドセメントなど、けい酸二カルシウム(C2S)の含有量が多いセメントを使用します。
(2)〇:問題のとおりです。舗装コンクリートの早期解放を図るため、水和反応速度が早く、早期強度が得られるけい酸三カルシウム(C3S)の含有量が多い早強ポルトランドセメントを使用します。
(3)〇:問題のとおりです。せっこうなどの硫酸塩は、水酸化カルシウムおよびアルミン酸三カルシウム(C3A)と反応してエトリンガイトを生成し、コンクリートに膨張による劣化を生じさせます。硫酸塩の影響を受けるコンクリートの化学的抵抗性を高めるために、アルミン酸三カルシウム(C3A)含有量の少ない耐硫酸塩ポルトランドセメントを使用します。
(4)×:誤りです。けい酸二カルシウム(C2S)は、水和熱が小さく初期強度は小さいですが、長期強度は大きいです。高強度コンクリートは単位セメント量が多くなり、水和熱による温度応力を抑制するため、けい酸二カルシウム(C2S)含有量の多いセメントが用いられます。

【(H27)-No.3】

 骨材の規定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか
(1)JIS A 1103(骨材の微粒分量試験方法)では、微粒分量は、0.15mmのふるいを通過する粒子の量としている。
(2)JIS A 1104(骨材の単位容積質量及び実積率試験方法)では、単位容積質量の測定に、絶乾状態または気乾状態の粗骨材を用いることとしている。
(3)JIS A 5002(構造用軽量コンクリート骨材)では、骨材の絶乾密度、骨材の実積率、コンクリートの圧縮強度およびフレッシュコンクリートの単位容積質量により、骨材を区分している。
(4)JIS A 5011(コンクリート用スラグ骨材)には、高炉スラグ骨材、フェロニッケルスラグ骨材、銅スラグ骨材および電気炉酸化スラグ骨材の規定があり、それぞれに絶乾密度の下限値が規定されている。
クリックで【(H27)-No.3】の解答と解説をみる

正解(1)

(1)×:誤りです。微粒分量は、0.075mmふるいを通過する粒子の量を測定します。
(2)〇:問題のとおりです。骨材の単位容積質量及び実積率試験では、絶乾状態の骨材を用いることとされています。また、粗骨材の場合は気乾状態でも良いとされています。
(3)〇:問題のとおりです。構造用軽量コンクリート骨材の区分は、骨材の期間密度によって3区分(L、M、H)、骨材の実績率によって2区分(A、B)、コンクリート圧縮強度によって4区分(4、3、2、1)、フレッシュコンクリートの単位容積質量によって4区分(15、17、19、21)が定められています。
(4)〇:問題のとおりです。コンクリート用スラグ骨材には、高炉スラグ骨材、フェロニッケルスラグ骨材、銅スラグ骨材および電気炉酸化スラグ骨材の規定があり、それぞれに骨材の絶乾密度の下限値が規定されています。
  • 高炉スラグ粗骨材は、区分Lが2.2g/cm3以上、区分Nが2.4g/cm3以上です。
  • 高炉スラグ細骨材は、2.5g/cm3以上です。
  • フェロニッケルスラグ骨材は、2.7g/cm3以上です。
  • 銅スラグ骨材は、3.2g/cm3以上です。]
  • 電気炉酸化スラグ骨材は、区分Nが3.1以上4.0g/cm3未満、区分Hが4.0以上4.5g/cm3未満です。

【(H27)-No.4】

 コンクリート用化学混和剤に関する次の一般的な記述のうち、適当なものはどれか
(1)AE剤は、微細な気泡(エントレインドエア)を連行させる混和剤であり、JIS A 6204(コンクリート用化学混和剤)には、ブリーディング量の比の上限値が規定されている。
(2)AE減水剤は、セメントの分散作用と空気連行作用の双方を有する混和剤であり、JIS A 6204(コンクリート用化学混和剤)には、スランプおよび空気量の経時変化量が規定されている。
(3)高性能AE減水剤は、高い減水性能と優れたスランプ保持性能を有する混和剤であり、セメント質量に対する添加率が同一の場合、単位セメント量が多いほど高い効果が得られる。
(4)収縮低減剤は、コンクリートの水分蒸発に伴う乾燥収縮を低減する効果を有するが、水和に伴う自己収縮を低減する効果は期待できない。
クリックで【(H27)-No.4】の解答と解説をみる

正解(3)

(1)×:誤りです。AE剤はブリーディング量の比の上限値は規定されていません。AE剤に規定されている項目は、減水率、凝結時間の差分、圧縮強度比、長さ変化比、凍結融解に対する抵抗性です。
(2)×:誤りです。AE減水剤は、スランプおよび空気量の経時変化量が規定されていません。AE減水剤に規定されている項目は、AE剤と同じく、減水率、凝結時間の差分、圧縮強度比、長さ変化比、凍結融解に対する抵抗性です。
(3)〇:問題のとおりです。高性能AE減水剤は、高い減水性能と優れたスランプ保持性能を有する混和剤であり、セメント質量に対する添加率が同一の場合、単位セメント量が多いほど高い効果が得られます。
(4)×:誤りです。収縮低減剤は、空隙中の水の表面張力を低下させ、毛細管張力を小さくすることで、乾燥収縮や自己収縮を低減する効果が期待できます。

【(H27)-No.5】

 混和剤材に関する次の一般的な記述のうち、適当なものはどれか
(1)高炉スラグ微粉末は、比表面積が大きくなるほど反応が緩やかで活性度が低下するため、コンクリートの断熱温度上昇速度が小さくなる。
(2)フライアッシュは、未燃炭素にAE剤が吸着するため、強熱減量が大きくなるほどフレッシュコンクリートの空気連行性が大きくなる。
(3)シリカフュームは、球形の超微粒子であり、低水セメント比のコンクリートに高性能AE減水剤と併用して用いることにより、高い流動性が得られる。
(4)石灰石微粉末は、高い化学抵抗性を有しているため、コンクリートの長期強度の発現性が大きくなる。
クリックで【(H27)-No.5】の解答と解説をみる

正解(3)

(1)×:誤りです。高炉スラグ微粉末は、比表面積が大きくなるほど反応が著しくなります。そのため、コンクリートの断熱温度上昇速度が大きくなります。
(2)×:誤りです。フライアッシュは、未燃炭素にAE剤が吸着するため、強熱減量が大きくなるほどフレッシュコンクリートの空気連行性が小さくなります。
(3)〇:問題のとおりです。シリカフュームは、球形の超微粒子であり、ボールベアリング効果により、流動性が高まります。さらに、低水セメント比のコンクリートに高性能AE減水剤と併用して用いることにより、高い流動性が得られます。
(4)×:誤りです。石灰石微粉末は、コンクリートの長期強度造親王効果はありません。
タイトルとURLをコピーしました