【R1_No.21~25】コンクリート主任技士 問題と解説

主任技士過去問解説

【R1_No.21~25】コンクリート主任技士 問題と解説

【(R1)-No.21】

 一般的な配(調)合の暑中コンクリートに関して、コンクリートの練上がり温度を5℃下げるための対策に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)使用するセメントの温度を20℃下げて用いた。
(2)使用する水の温度を12℃、骨材の温度を2℃下げて用いた。
(3)使用するセメントの温度を8℃、水の温度を8℃、骨材の温度を4℃下げて用いた。
(4)使用するセメントの温度を10℃、水の温度を8℃、骨材の温度を2℃下げて用いた。
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正解(3)

コンクリート温度1℃下げるために必要な材料温度低下
材料 下げる温度(℃)
セメント 8
4
骨材 2
(1)×:誤りです。20/8=2.5℃
(2)×:誤りです。12/4+2/2=4℃
(3)〇:問題のとおりです。8/8+8/4+4/2=5℃
(4)×:誤りです。10/8+8/4+2/2=4.25℃

【(R1)-No.22】

 マスコンクリートの温度ひび割れに関する次の一般的な記述のうち、適当なものはどれか
(1)ひび割れ誘発目地は、あらかじめ断面の一部を欠損させてその部分にひび割れを誘発させることにより、拘束を受ける部材の長さを短くし、目地間のコンクリートのひび割れを抑制することができる。
(2)パイプクーリングは、内部温度上昇量を低減する効果があり、コンクリートが最高温度に達してから通水を開始する。
(3)保温養生は、表面と内部との温度差を低減する対策方法で、コンクリートが最高温度に達した後、ただちに保温養生材を撤去する。
(4)温度ひび割れ指数は、コンクリートの設計基準強度と構造物中の主引張応力度(算定値)の比として求められる。
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正解(1)

(1)〇:問題のとおりです。ひび割れ誘発目地は、あらかじめ断面の一部を欠損させてその部分にひび割れを誘発させることにより、拘束を受ける部材の長さを短くし、目地間のコンクリートのひび割れを抑制することができます。建築では一般に、断面の20%以上を欠損させます。
(2)×:誤りです。パイプクーリングは、内部温度上昇量を低減する効果があり、コンクリート打設後に通水を開始します。
(3)×:誤りです。保温養生は、表面と内部との温度差を低減する対策方法で、コンクリートが最高温度に達した後、内外温度差が小さくなるまで保温養生を行います。表面と内部の温度差が15~20℃程度になるまで保温養生を行うことが望ましいです。温度ひび割れは、コンクリート構造物の部材寸法が大きいほど、温度上昇量が大きいほど発生しやすくなります。建築では、最小断面寸法が壁状部材で80㎝以上、マット状部材・柱状部材で100㎝以上が目安とされています。土木では、広がりのあるスラブについてはおおよそ厚さ80~100㎝以上、下端が拘束された壁では厚さ50㎝以上とされています。
(4)×:誤りです。温度ひび割れ指数は、コンクリートの引張強度と構造物中の主引張応力度(算定値)の比として求められます。コンクリートの引張強度は、時間の経過に伴い変化します。つまり、強度が充分に発現していない状態のほうが、ひび割れが発生しやすく、ひび割れ指数が大きくなります。

【(R1)-No.23】

 水中コンクリートおよび水中不分離性コンクリートに関する記述のうち、不適当なものはどれか
(1)水中コンクリートは、粘性を高くする必要があるため、粗骨材に砂利を用いる場合には細骨材率を40~45%として計画した。
(2)場所打ちコンクリート杭に用いる水中コンクリートは、水中での材料分離抵抗性を高めるため、単位セメント量を360kg/m3として計画した。
(3)水中分離性コンクリートは、一般的な水中コンクリートよりも粘性が大きいため、1バッチあたりの練混ぜ量を使用するミキサの公称容量の70%として計画した。
(4)水中不分離性コンクリートは、一般的な水中コンクリートよりも材料分離抵抗性が高いため、水中落下高さを1.0mとして計画した。
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正解(4)

(1)〇:問題のとおりです。水中コンクリートは、粘性を高くする必要があるため、粗骨材に砂利を用いる場合には、一般に、細骨材率を40~50%として計画します。粗骨材に砕石を用いる場合には、さらに5%程度細骨材率を上げます。
(2)〇:問題のとおりです。場所打ちコンクリート杭に用いる水中コンクリートは、水中での材料分離抵抗性を高めるため、土木学会示方書では単位セメント量を350kg/m3以上を標準とし、JASS5では330kg/m3以上を標準としています。
(3)〇:問題のとおりです。水中分離性コンクリートは、一般的な水中コンクリートよりも粘性が大きいため、1バッチあたりの練混ぜ量を使用するミキサの公称容量の80%以下として計画します。
(4)×:誤りです。水中不分離性コンクリートは、一般的な水中コンクリートよりも材料分離抵抗性が高いですが、水中落下高さが大きすぎると品質が低下します。水中不分離性コンクリートの水中での落下高さは50cm以下とします。

【(R1)-No.24】

 設計基準強度60N/mm2の高強度・高流動コンクリートの施工計画に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)単位セメント量が多く、水和熱による温度上昇が大きくなるので、マスコンクリートとなる部材に用いる場合では、低熱ポルトランドセメントを用いる計画とした。
(2)スランプフローを60cmとしたが、粘性が高いため圧送時の圧力損失を一般のコンクリートの2~4倍程度大きいものとして計画した。
(3)単位セメント量が多く、凝結が早くなるため、型枠に作用する側圧を一般のコンクリートと同等として計画した。
(4)一般のコンクリートよりもレイタンスの形成が少ないので、打継目が所要の品質を有していることを確認の上、打継ぎ面の処理を簡略化する計画とした。
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正解(3)

(1)〇:問題のとおりです。単位セメント量が多く、水和熱による温度上昇が大きくなるので、マスコンクリートとなる部材に用いる場合では、内部温度の上昇による温度ひび割れを抑制するため、低熱ポルトランドセメントを用いる計画とします。
(2)〇:問題のとおりです。スランプフローを60cmとするために、単位セメント量が多い、粘性が高いコンクリートとなります。粘性が高いコンクリートは、圧送時の抵抗が大きいため、圧力損失を一般のコンクリートの2~4倍程度大きいものとして計画します。
(3)×:誤りです。高流動コンクリートは、凝結時間が遅く、液体のようにふるまうため、型枠に作用する側圧を一般のコンクリートよりも大きく設定して、型枠の設計をします。
(4)〇:問題のとおりです。高強度・高流動コンクリートは、一般のコンクリートよりもレイタンスの形成が少ないので、打継目が所要の品質を有していることを確認の上、打継ぎ面の処理を簡略化する計画とします。

【(R1)-No.25】

 鉄筋コンクリート梁の設計に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)曲げ耐力を計算する場合、かぶりコンクリート部分は圧縮鉄筋の外側にあるので、圧縮力の負担面積から除外する。
(2)曲げ耐力を計算する場合、部材軸に直交する断面において生じるひずみは、中立軸からの距離に比例する平面保持を仮定する。
(3)せん断補強筋を密に配してせん断耐力を高め、せん断破壊よりも曲げ破壊を先行させて、大きな変形性能を確保する。
(4)鉄筋径を大きくすると、付着応力が大きくなるので、付着割裂破壊が生じやすくなる。
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正解(1)

(1)×:誤りです。曲げ耐力を計算する場合、かぶりコンクリート部分も圧縮力を負担します。
(2)〇:問題のとおりです。曲げ耐力を計算する場合、部材軸に直交する断面において生じるひずみは、中立軸からの距離に比例する平面保持を仮定します。
(3)〇:問題のとおりです。一般に、構造物は変形によるエネルギー吸収を大きくし、脆性的な破壊を防ぐため、せん断補強筋を密に配してせん断耐力を高め、せん断破壊よりも曲げ破壊を先行させて、大きな変形性能を確保します。
(4)〇:問題のとおりです。付着強さは、鉄筋の表面積に比例します。同じ鉄筋断面積量の場合、鉄筋径を大きくすると、鉄筋表面の、単位面積当たりに負担する付着応力が大きくなるので、付着割裂破壊が生じやすくなります。
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