コンクリート主任技士過去問 問題と解説
【平成23年度―問題11】
コンクリートのワーカビリティ―と材料分離に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)コンクリートの温度が低くなると、ブリーディングが長く続き、ブリーディング量が増加する。
(2)高炉スラグ微粉末を粉末度の高いものに変更すると、コンクリートのスランプが大きくなり、ブリーディング量も大きくなる。
(3)細骨材の細粒分が増すと、コンクリートの粘性が増し、材料分離が少なくなる。
(4)良質のポゾラン材料を使用すると、同一スランプを得る単位水量が減少し、材料分離が少なくなる。
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正解(2)
(1)問題の通りです。コンクリートの温度が低いほど、ブリーディング量が増加します。その他のブリーディングの量を増加させる原因は、水セメント比の大きなコンクリートを使用すること、スランプが大きいコンクリートを使用すること、過度の締固めを行うこと、打込み速度が速いこと、1回の打込高さが高いこと、などが挙げられます。
(2)粉末度の高いものにすると、ブリーディング量が小さくなります。粒子が細かければ細かいほど、粉末度が高くなります。粉末度の高いものにすると、ブリーディング量が小さくなります。その他のブリーディング量を小さくするためには、AE剤を使用すること、粒度の小さい細骨材を使用することなどが挙げられます。
(3)問題の通りです。細骨材の、細粒分が増すとは、粒子が細かい細骨材を多くするということです。砂利に水を混ぜたものより、細粒分が多い、泥の方が粘性が大きく、どろどろである状態と結びつけると覚えやすいと思います。
(4)問題の通りです。まず、ポゾランとは、火山灰やシリカを含んだ砂や粉のことを差します。ポゾランは、ポゾラン反応性を有し、コンクリート中の水酸化カルシウムと反応して、不溶性で硬化する、カルシウムシリケート化合物を生成します。シリカフュームや、フライアッシュはポゾランの一種です。良質なポゾランとは、球形で粒度の小さいもので、コンクリートの流動性が改善され、単位水量の少ないコンクリートとすることができます。
【平成23年度―問題12】
一般のコンクリートの力学特性に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
(1)圧縮強度の試験値は、圧縮強度試験機の加圧版と供試体端面との摩擦が小さいと大きくなる。
(2)圧縮応力―ひずみ曲線から得られる初期接線弾性係数は、割線弾性係数より小さい。
(3)割裂引張強度試験では、引張強度は、円柱供試体の破断面の面積(直径D×長さL)で最大荷重Pを除した値(P/DL)として求められる。
(4)コンクリート供試体に縦振動またはたわみ衝撃を与えて求める動弾性係数は、静弾性係数に比べて大きな値を示す。
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正解(4)
(1)誤りです。摩擦が大きいと、圧縮強度の試験値が大きくなります。イメージは、強度+摩擦力。摩擦によって、コンクリートの変形が拘束され、強度の試験値が大きくなるイメージです。
(2)誤りです。グラフの傾きに該当します。割線弾性係数は、静的破壊強度の1/3の応力の点と原点とを結んだ直線の勾配です。
(3)誤りです。2P/πDLです。詳しくはこちらのページを参照ください。
(4)問題の通りです。動弾性係数は静弾性係数に比べて、大きな値を示します。コンクリートの圧縮強度試験を行う際、圧縮力を加える速度が速いほうが、遅いほうと比較して圧縮強度が大きな値を示します。
【平成23年度―問題13】
コンクリートの耐久性に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)同一水セメント比の場合、高炉セメントB種を用いたコンクリートでは、普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートよりも中性化が進みやすい。
(2)海水に含まれる硫酸マグネシウム(MgSO4)は、セメントの水和生成物中の水酸化カルシウム(Ca(OH)2)などと反応して体積膨張し、コンクリートにひび割れを発生させる。
(3)コンクリートに防水塗装を施して、外部からの水分の浸透を防止することは、アルカリシリカ反応による膨張の抑制に有効である。
(4)凍害は、コンクリート中の水分が凍結膨張してコンクリート組織を破壊する現象であるため、骨材中では生じない。
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正解(4)
(1)問題の通りです。高炉セメントB種を用いたコンクリートでは、潜在水硬性を持つ高炉セメントが、コンクリート中のアルカリ分を消費して硬化反応を起こすため、普通ポルトランドセメントよりも、中性化が進みやすくなります。
(2)問題の通りです。硫酸マグネシウムなどの硫酸塩は、コンクリートの水酸化カルシウムなどと反応し、エトリンガイトを生成し、体積膨張をおこします。エトリンガイトの生成は、コンクリートのひび割れを発生させる原因となります。
(3)問題の通りです。アルカリシリカ反応を起こすためには、水が必要です。水の浸透を防止することは、アルカリシリカ反応の抑制に有効です。
(4)誤りです。吸水率の大きな骨材を使用すると、凍害を起こす可能性があります。JISでは、凍害による劣化を抑制するには、吸水率が3.0%以下の粗骨材を、吸水率が3.5%以下の細骨材を使用することと規定されています。
【平成23年度―問題14】
コンクリート材料の計量に関する次の記述のうち、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)の規定に照らして、誤っているものはどれか。
(1)水を、あらかじめ計量してある高性能減水剤に累加して計量した。
(2)高性能AE減水剤を、容積によって計量した。
(3)高炉スラグ微粉末を、あらかじめ計量してあるセメントに累加して計量した。
(4)膨張材を、購入者の承認を得て袋の数で計量した。
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正解(3)
(1)問題の通りです。セメント、骨材、水及び混和材料、それぞれ別々の計量器によって計量しなければならない。なお、水はあらかじめ計量してある混和剤と一緒に累加して計量してもよい。(JIS A 5308)
(2)問題の通りです。水及び混和剤の計量は、質量または容積によります。
(3)誤りです。セメント、骨材、水、および、混和材料、それぞれ別々の計量器によって計量しなければならないとされています。
(4)問題文の通りです。ただし、1袋未満のものを用いる場合には、必ず質量を計量しなければなりません。
【平成23年度―問題15】
荷卸し地点において、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)の検査の規定に従ってスランプおよび空気量試験を実施した。その結果、スランプ試験では適合であったが、空気量試験では不適合となり不合格となったため、再試験を行うこととした。再試験における試料の採取方法および試験項目として、正しい組合わせはどれか。
1回目の試験試料を再使用した実施しない実施する1回目の試験試料を再使用した実施する実施しない1回目の試験試料と同一のトラックアジテーターより新しく試料を採取した実施しない実施する1回目の試験試料と同一のトラックアジテーターより新しく試料を採取した実施しない実施する。
試験の試料採取方法 | スランプ試験 | 空気量試験 | |
(1) | 1回目の試験試料を再使用した | 実施しない | 実施する |
(2) | 1回目の試験試料を再使用した | 実施する | 実施しない |
(3) | 1回目の試験試料と同一の トラックアジテーターより新しく試料を採取した |
実施しない | 実施する |
(4) | 1回目の試験試料と同一の トラックアジテーターより新しく試料を採取した |
実施する | 実施する |