【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.42)配合推定

コンクリート診断士 問題と解説Vol.42

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 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【問206_配合推定】

 コンクリートの配(調)合推定の記述(a)~(d)の組合せとして次のうち、適当なものはどれか
(a)石灰岩骨材を用いた中性化していないコンクリートにグルコン酸ナトリウム溶液を用いた。
(b)安山岩骨材を用いた中性化したコンクリートにグルコン酸ナトリウム溶液を用いた。
(c)安山岩骨材を用いた中性化したコンクリートに希塩酸を用いた。
(d)石灰岩骨材を用いた中性化していないコンクリートに希塩酸を用いた。
(a) (b) (c) (d)
(1)
(2)
(3)
(4)
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正解(2)

(a)問題のとおりです。グルコン酸ナトリウムは、石灰岩骨材を用いたコンクリートに適用できます。
(b)誤りです。グルコン酸ナトリウムは、炭酸カルシウムを溶解せず、炭酸カルシウムを含む骨材と中性化によって生じた炭酸カルシウムの区別がつけられません。
(c)問題のとおりです。安山岩の主成分である酸化ケイ素が、希塩酸に溶解しないので、適用できます。
(d)誤りです。希塩酸は、石灰石の主成分である、炭酸カルシウムを溶解するので適用できません。

【問207_配合推定】

 コンクリートの配(調)合推定に関する記述中の(A)~(C)にあてはまる語句として、次の(1)~(4)の組合せのうち、適当なものはどれか
 セメント協会法は(A)骨材を使用したコンクリートに適用できない。この問題を解消するため、(B)溶液によりセメント分を溶解する方法が提案されている。また、セメント中の(C)に着目した分析を行う方法もある。
(A) (B) (C)
(1) 石灰岩 希硝酸 酸可溶性シリカ
(2) 石灰岩 グルコン酸ナトリウム 酸可溶性シリカ
(3) 安山岩 グルコン酸ナトリウム 酸可溶性カルシウム
(4) 安山岩 希硝酸 酸可溶性カルシウム
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正解(2)

 セメント協会法で用いる希塩酸は、石灰石の主成分である、炭酸カルシウムを溶解するため、骨材中のカルシウム成分と区別がつかないため、適用できません。
 グルコン酸ナトリウム法は、セメント協会法の欠点である、石灰石骨材や貝殻を含んだ海砂には適用できないことの解消を図った方法です。セメント成分のうち酸化カルシウムに次いで量が多く、変動が少ない、酸可溶性シリカを定量することで分析を行います。

【問208_配合推定】

 走査型電子顕微鏡(SEM)の原理に関する次の記述中の(A)~(C)にあてはまる語句の(1)~(4)の組合せのうち、適当なものはどれか
 電子銃から照射された入射電子線が効率的に試料に到達できるように、電子銃と試料との間は(A)となっており、二次電子と反射電子(後方散乱電子)の量が検出器で計測される。二次電子の量から(B)が画像化され、反射電子(後方散乱電子)の量から(C)が画像化される。
(A) (B) (C)
(1) 真空状態 表面の凹凸状態 物質の分布状況
(2) 真空状態 物質の分布状況 表面の凹凸状態
(3) 飽水状態 物質の分布状況 表面の凹凸状態
(4) 飽水状態 表面の凹凸状態 物質の分布状況
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正解(1)

 SEM(Scanning Electron Microscopy)は真空中で細く絞った電子線で、資料の表面を走査(スキャニング)し、試料から出てくる信号を検出して、試料表面の拡大像を表示する電子顕微鏡です。
 電子銃から照射された入射電子線が効率的に試料に到達できるように、電子銃と資料との間は真空状態となっています。
 そして、試料からの二次電子と反射電子(後方散乱電子)の信号を用いて拡大した像を表示します。
 二次電子から得られた像は試料表面の微細な凹凸を反映したものとなります。
 一方、反射電子は試料を構成している原子に当たって跳ね返された電子で、物質の分布状況を反映した像が得られます。

【問209_配合推定】

 コンクリート構造物から採取したコア断面における塩素(Cl)の面分析を電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)により行った。分析試料の調整に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)研磨剤を用いて、研磨盤により分析面を平たんにした。
(2)純水を用いて、超音波洗浄機により分析面から研磨剤を除去した。
(3)導電性材料の蒸着の前に分析試料を真空乾燥機中で十分に乾燥させた。
(4)分析面に導電性材料として炭素を蒸着した。
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正解(2)

(1)問題のとおりです。表面が平たんでないと、定量分析での誤差が大きくなるため研磨剤を用いた研磨が必要になります。
(2)誤りです。研磨完了後、超音波洗浄機を用いてアセトンにより、潤滑剤および擦り込まれた研磨剤を洗浄します。水を使用してはなりません。
(3)問題のとおりです。電子顕微鏡の内部は真空に保たれているので、試料に水が付着していると水が電子顕微鏡の中で揮発し、内部を汚染してしまうため、十分な乾燥が必要です。
(4)問題のとおりです。分析部分に照射する電子線による電子の帯電(チャージ)を防ぐために、炭素(導電性材料)を蒸着させます。蒸着させる炭素の厚さは10~20nm程度です。

【問210_配合推定】

 コンクリート組織構造の測定方法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか
(1)X線回折法では、X線がセメント水和物や骨材を通過した後の線量分析から含有成分の同定を行うことができる。
(2)SEM(走査電子顕微鏡)では、コンクリート面に金属等を蒸着して硬化コンクリートの組織構造を高い倍率で観察することができる。
(3)水銀圧入法では、高圧をかけた水銀が細孔内に浸透するときの加圧力浸透した水銀の量を測定して、セメント硬化体の細孔構造を調べることができる。
(4)EPMA(電子線マイクロアナライザ―)では、コンクリート試料の全面にわたり微量元素の存在状態を連続的にとらえることができる。
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正解(1)

(1)誤りです。X線回折法は、物質にX線を照射し、その回折角度から結晶構造を把握するものです。
(2)問題のとおりです。分析部分に照射する電子線による電子の帯電(チャージ)を防ぐために、炭素(金属等の導電性材料)を蒸着させます。蒸着させる炭素の厚さは10~20nm程度です。
(3)問題のとおりです。水銀は、表面張力が非常に強いことで知られています。表面張力により、コンクリートの表面の微細な孔に水銀が自然に入り込むことはありません。しかし、水銀を圧入すると、コンクリート表面の微細な孔に水銀を入れ込むことが出来ます。水銀を入れ込むのに必要な圧力と入り込んだ体積から、コンクリートの表面に開いている微細な孔の大きさと数(体積)を測定することが出来ます。
(4)問題のとおりです。EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)は真空中で、電子線を試料に照射し、試料から出てくる信号を検出して、試料表面の拡大像を表示する電子顕微鏡です。コンクリート試料の全面にわたり微量元素の存在状態を連続的にとらえることができます。
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