【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.60)補修、中性化の補修、ASRの補修

コンクリート診断士 問題と解説Vol.60

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 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【問296_補修】

 ひび割れ注入材および工法に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか
(1)セメント系注入材は、注入する前にひび割れ部を乾燥させておく必要がある。
(2)セメント系注入材は、エポキシ樹脂系注入材と比較して、ひび割れ追従性が高い。
(3)硬化速度の速いエポキシ樹脂系注入材は、ひび割れ深さが深い場合に適している。
(4)アクリル樹脂系注入材は、エポキシ樹脂系注入材と比較して、低い温度環境での施工が可能である。
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正解(4)

(1)誤りです。セメント系注入材は、ひび割れ部を湿潤状態にしてから注入します。一方、エポキシ樹脂系注入材は、乾燥状態にしておきます。
(2)誤りです。セメント系注入材は、エポキシ樹脂系注入材と比較して、ひび割れ追従性が低いです。
(3)誤りです。ひび割れ深さが深い場合に、硬化が速い注入材を用いると、深部まで注入完了する前に硬化してしまい、充分に充填できなくなります。
(4)問題のとおりです。アクリル樹脂系注入材は、0℃以下の温度環境で使用できます。エポキシ樹脂系注入材は5℃程度以上で使用することが望ましいです。

【問297_中性化の補修】

 コンクリートの中性化の補修に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)シラン系の含浸材を塗布しても中性化の進行を抑制することはできない。
(2)ウレタン系表面被覆材により中性化の進行を抑制することができる。
(3)鉄筋位置まで中性化が進行している場合でも、電気防食により鉄筋の腐食を防止することができる。
(4)電気化学的再アルカリ化工法を適用すれば、適用後の中性化の進行を防止することができる。
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正解(4)

(1)問題のとおりです。含浸系塗布材の代表的なものとして、シラン系があります。シラン系は、コンクリート表面の組織をち密にし、水分と塩分は通しませんが、通気性がある状態になります。つまり、中性化の進行を抑制することはできません。
(2)問題のとおりです。ウレタン系表面被膜材は、水分と二酸化炭素の侵入を抑制します。そのため、中性化の進行を抑制することができます。
(3)問題のとおりです。鉄筋に電流を流すと、鉄筋の電位がマイナス側に保たれます。鉄筋の腐食は、アノード部(プラス側)で起きるため、電流を流して電位を強制的にマイナス側にすることで鉄筋の腐食反応を停止することができます。
(4)誤りです。再アルカリ化工法でコンクリートのpHを回復しても、中性化の進行は防止できません。

【問298_中性化の補修】

 鉄筋コンクリート構造物の中性化による劣化への対策に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか
(1)ウレタン系表面被覆材を被覆して中性化の進行を抑制することとした。
(2)シラン系の含浸材を塗布して中性化の進行を抑制することとした。
(3)鉄筋位置まで中性化が進行していたので、電気防食により鉄筋腐食の進行を抑制することとした。
(4)再アルカリ化工法を適用し、中性化したコンクリートのアルカリ性を回復することとした。
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正解(4)

(1)問題のとおりです。ウレタン系表面被膜材は、水分と二酸化炭素の侵入を抑制します。そのため、中性化の進行を抑制することができます。
(2)誤りです。シラン系含浸材は、コンクリート表面の組織をち密にし、水分と塩分は通しませんが、通気性がある状態になります。つまり、中性化の進行を抑制することはできません。
(3)問題のとおりです。鉄筋に電流を流すと、鉄筋の電位がマイナス側に保たれます。鉄筋の腐食は、アノード部(プラス側)で起きるため、電流を流して電位を強制的にマイナス側にすることで鉄筋の腐食反応を停止することができます。
(4)問題のとおりです。再アルカリ化工法でコンクリートのpHを回復することができます。

【問299_ASRの補修】

 アルカリ骨材反応が発生しているコンクリート橋脚において、この橋脚から採取したコンクリートサンプルによって、コンクリートが今後も膨張する可能性があることが判明している。この橋脚に対する対策のうち、不適当なものはどれか
(1)コンクリートの劣化の進行を予測するために、膨張挙動およびひび割れの進展を現地で定期的に計測した。
(2)コンクリート中への水分の浸透を防止するために、コンクリート表面にひび割れ追従性の良い表面被覆材を塗布した。
(3)コンクリート中のアルカリ分を減らすために、かぶり部分を除去してポリマーセメントモルタルにより断面修復した。
(4)コンクリートのひび割れが進展するのを拘束するために、橋脚の円周方向にプレストレスを導入した。
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正解(3)

(1)問題のとおりです。アルカリ骨材反応は、非常にゆっくり進行するため、コンクリートの劣化の進行を予測するために、膨張挙動およびひび割れの進展を現地で定期的に計測します。
(2)問題のとおりです。アルカリ骨材反応は、アルカリ反応性骨材、アルカリ、水が存在する条件で発生します。水分の浸透を防止することは、有効な対策です。
(3)誤りです。コンクリート表面のアルカリを除去しても、内部のアルカリが残っているため、アルカリ骨材反応の対策としては不適当です。
(4)問題のとおりです。コンクリートの膨張を物理的に拘束することで、アルカリ骨材反応の膨張によるひび割れの進展を拘束することができます。

【問300_ASRの補修】

 アルカリシリカ反応骨材の使用が確認された鉄筋コンクリート柱部材に対する対策として、次のうち、不適当なものはどれか
(1)ひび割れは認められなかったが、コンクリート中への水分の浸透を防止するため、コンクリート表面にひび割れ追従性のよい表面被覆材を塗布した。
(2)軽微なひび割れが認められたので、今後のアルカリシリカ反応の進行を抑制するため、けい酸ナトリウム系の含浸材をコンクリート表面に塗布した。
(3)鉄筋の破断がなく、コンクリートの膨張が終了していたので、鋼板を柱周囲に巻き立てた。
(4)コンクリートの膨張が継続すると予測されたため、PC鋼線を柱周囲に巻き
プレストレス導入した。
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正解(2)

(1)問題のとおりです。アルカリ骨材反応は、アルカリ反応性骨材、アルカリ、水が存在する条件で発生します。水分の浸透を防止することは、有効な対策です。
(2)誤りです。けい酸ナトリウム系含浸材は、水の侵入は防ぎますが、水蒸気は通します。また、ひび割れ追従性が無いことに加え、アルカリ性を付与してしまうため、アルカリ骨材反応の抑制には不適当です。
(3)問題のとおりです。コンクリートの膨張を物理的に拘束することで、アルカリ骨材反応の膨張によるひび割れの進展を拘束することができます。
(4)問題のとおりです。コンクリートの膨張を物理的に拘束することで、アルカリ骨材反応の膨張によるひび割れの進展を拘束することができます。
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