【コンクリート主任技士過去問解説】平成28年度No6~10

主任技士過去問解説

コンクリート主任技士過去問 問題と解説

【平成28年度―問題6】

 下表は、JIS G 3112(鉄筋コンクリート用棒鋼)の規格に適合する異形鉄筋の引張試験結果を示している。次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、弾性係数(ヤング係数)は、降伏点を比例限界として割線弾性係数として求めることとする。
鉄筋の呼び径 D19
公称断面積(cm2) 2.865
降伏点荷重(kN) 107.0
降伏点でのひずみ(×10-6 1950
最大荷重(kN) 157.1
破断荷重(kN) 135.9
破断前標点距離(mm) 148.7
破断後標点距離(mm) 186.0
(1)降伏点は、373N/mm2である。
(2)引張強さは、474N/mm2である。
(3)弾性係数(ヤング係数)は、191kN/mm2である。
(4)伸びは、25%である。
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正解(2)

(1)問題のとおりです。

降伏点=降伏点荷重/公称断面積
=(107.0×103)/(2.865×102)=373.4729

(2)誤りです。

引張強さ=最大荷重/公称断面積
=(157.1×103)/(2.865×102)=548.3421

(3)問題のとおりです。

弾性係数=降伏応力/降伏点でのひずみ
=(373.4729×10-3)/(1950×10-6)=

(4)問題のとおりです。

伸び=破断時のひずみ
=(破断後の標点距離-破断前の標点距離)/破断前の標点距離
=(186.0-148.7)/148.7=0.2508

【平成28年度―問題7】

 スラッジ水に関する次の記述のうち、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)およびJIS A 5308付属書C(レディーミクストコンクリートの練混ぜに用いる水)に照らして、誤っているものはどれか

 

(1)スラッジ水は、塩化物イオン(Cl)量、セメントの凝結時間の差およびモルタルの圧縮強さの比が、上水道水以外の水の品質の規定と同等の範囲内にあれば、練り混ぜ水として使用することができる。
(2)スラッジ水は、スラッジ固形分率が3%を超えない範囲で用いる場合、呼び強度が30のコンクリートの練混ぜ水として使用することができる。
(3)スラッジ水は、スラッジ固形分率を1%未満で用いる場合、呼び強度が55の高強度コンクリートの練混ぜ水として使用することができる。
(4)スラッジ水は、スラッジ固形分率を1%未満で用いる場合、コンクリートの配合において、スラッジ固形分を水の質量に含めて使用することができる。
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正解(3)

(1)問題のとおりです。レディーミクストコンクリートの練混ぜに用いる水は、①上水道水②上水道水以外の水③回収水の3つに分類されます。スラッジ水は、回収水として区分されます。回収水は、上水道水以外の水の規定を満足すれば、練混ぜ水として使用できます。規定の内容は、以下のとおりです。
項目 上水道水の品質 上水道以外の水の品質 回収水の品質
塩化物イオン(Cl)量 200mg/L以下
セメントの凝縮時間の差 始発は30分以内、終結は60分以内
モルタルの圧縮強さの比 材齢7日及び材齢28日で90%以上
懸濁物質の量 2g/L以下
溶解性蒸発残留物の量 1g/L以下
(2)問題のとおりです。スラッジ水を練混ぜ水として用いる場合には、スラッジ固形分率が3%を超えてはならないと規定されています。
(3)誤りです。高強度コンクリートには、スラッジ水は使用できません。JIS A 5308では「呼び強度50、55、60」が高強度コンクリートとして定められています。
(4)問題のとおりです。スラッジ水は、スラッジ固形分率を1%未満で用いる場合、コンクリート配合おいてスラッジ固形分を水の質量に含めてもよいとされています。この場合は、スラッジ水は練混ぜ水の全量に使用し、かつ、温度の管理期間ごとに1%未満となるように管理しなければなりません。

【平成28年度―問題8】

 下図は、水セメント比50%、粗骨材の最大寸法20mm、空気量4.5%、スランプ12cm、細骨材率45%のレディーミクストコンクリートにおいて、構成材料である、水、セメント、細骨材、粗骨材および空気の容積割合を面積で示したものである。
 図中の①~④の各線を移動させることによるコンクリートのスランプの変化に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。ただし、各線の移動にともなう他の副次的な移動は無視するものとする。
(1)線①を下に移動させるとスランプが大きくなり、上に移動させると小さくなる。
(2)線②を右に移動させるとスランプが大きくなり、左に移動させると小さくなる。
(3)線③を下に移動させるとスランプが大きくなり、上に移動させると小さくなる。
(4)線④を右に移動させるとスランプが大きくなり、左に移動させると小さくなる。
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正解(4)

(1)問題のとおりです。線①を下に移動させると、空気量が増大することになり、スランプが大きくなります。
(2)問題のとおりです。線②を右に移動させると、単位水量が増大することになり、スランプが大きくなります。
(3)問題のとおりです。線③を下に移動させると、単位水量と単位セメント量が増大することになり、スランプが大きくなります。
(4)誤りです。線④を右に移動させると、細骨材量が増大することになり、スランプは小さくなります。

【平成28年度―問題9】

 各種コンクリートの配(調)合に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか
(1)マスコンクリートにおいて、中庸熱ポルトランドセメントに内割置換でフライアッシュを30%程度混合するなどして、水和発熱を抑制しつつ長期強度を確保することができる配(調)合とすることが望ましい。
(2)流動化コンクリートにおいて、ベースコンクリートの材料分離を防ぐために、ベースコンクリートの単位水量が最小になるような最適細骨材率を設定して配(調)合を行う。
(3)JASS5では、軽量コンクリートにおいて、軽量骨材の内部に空隙が多く、含水量が大きくなることから凍結融解抵抗性を確保するために、空気量は一般のコンクリートの場合よりも多い5.0%を標準としている。
(4)土木学会示方書では、設計基準強度が50N/mm2を超える高強度コンクリートにおいて、単位水量は175kg/m3以下とし、施工性を確保するために打込み時のスランプが18~21cm、あるいはスランプフローが50~65cmの範囲を標準としている。
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正解(2)

(1)問題のとおりです。マスコンクリートにおいて、中庸熱ポルトランドセメントに内割置換でフライアッシュを適切に配合することにより、水和発熱を抑制し、かつ長期強度を確保できるなどの効果が期待できます。
(2)誤りです。流動化コンクリートにおいて、ベースコンクリートの配合は流動化後のスランプ値に見合った細骨材率の配合とします。
ベースコンクリートの単位水量が少なすぎる場合、スランプ値に見合った配合とするために高性能AE減水剤の使用量が過多になり、凝結時間の著しい遅延や、材料分離を起こすことがあります。
(3)問題のとおりです。JASS5では、軽量コンクリートにおいて、軽量骨材の内部に空隙が多く、含水量が大きくなることから凍結融解抵抗性を確保するために、空気量は一般のコンクリートの場合よりも多い5.0%を標準としています。
(4)問題のとおりです。土木学会示方書では、設計基準強度が50N/mm2を超える高強度コンクリートにおいて、単位水量は175kg/m3以下とし、施工性を確保するために打込み時のスランプが18~21cm、あるいはスランプフローが50~65cmの範囲を標準としています。

【平成28年度―問題10】

 下表に示す計量値で各材料を計量して試し練りを行ったところ、練り上がったコンクリートの空気量は目標とした4.5%になった。このコンクリートの計画配(調)合(kg/m3)に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。ただし、細骨材は湿潤状態であり、細骨材の表面水率は2.0%であった。また粗骨材は表面乾燥飽水状態であった。なお、セメントの密度は3.15g/cm3、細骨材の表乾密度は2.56g/cm3、粗骨材の表乾密度hは2.65g/cm3とする。
セメント 細骨材 粗骨材
試し練りの計算値(kg) 6.83 14.8 40.3 53
(1)水セメント比は45~48%である。
(2)単位容積質量は2290~2310kg/m3である。
(3)単位細骨材量は785~795kg/m3である。
(4)単位粗骨材量は1055~1065kg/m3である。
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正解(1)

<試し練りの質量>

細骨材の表乾質量=40.3/1.02=39.51(kg)
細骨材の表面水量=40.3-39.51=0.79(kg)
水全体の量=6.83+0.79=7.62(kg)
水セメント比=7.62/14.8×100=51.49(%)

<試し練りの容積>

セメントの容積=14.8/3.15=4.698(L)
細骨材の容積=39.51/2.56=15.43(L)
粗骨材の容積=53.0/2.65=20.0(L)

空気を除く容積=7.62+4.70+15.43+20=47.75(L)
空気を含めた容積=47.75/(1-4.5/100)=50(L)

<単位質量>

単位水量=7.62×1000/50=152kg/m3
単位セメント量=14.8×1000/50=296kg/m3
単位細骨材量=39.51×1000/50=790kg/m3
単位粗骨材量=53.0×1000/50=1060kg/m3

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