【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.74)総合問題2

コンクリート診断士 問題と解説Vol.74

 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【問366_火害】

 火災によるセメント硬化体と、骨材の化学的変化に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)受熱温度100℃で、水酸化カルシウムが分解する。
(2)受熱温度200~450℃で、ケイ酸カルシウム水和物が分解する。
(3)受熱温度450~600℃で、ケイ酸カルシウム水和物が分解する。
(4)受熱温度600℃以上で、炭酸カルシウムおよびケイ酸カルシウム水和物が分解する。
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正解(4)

(1)×:誤りです。受熱温度100℃で、エトリンガイトが分解します。
(2)×:誤りです。受熱温度200~450℃で、ケイ酸カルシウム水和物ゲルが脱水します。
(3)×:誤りです。受熱温度450~600℃で、水酸化カルシウムが分解し、炭酸カルシウムが生成します。
(4)〇:問題のとおりです。受熱温度600℃以上で、炭酸カルシウムおよびケイ酸カルシウム水和物が分解します。

【問367_複合劣化】

 火災によるセメント硬化体と、骨材の化学的変化に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)凍結融解環境下では、コンクリートに塩化ナトリウムが供給されると、毛細管内における水の昇華の影響等により未凍結水が増加する。
(2)浸透圧の増加によって、凍害による、劣化の進行が抑制されることがある。
(3)凍害で劣化したコンクリートには、塩化ナトリウムが浸入しにくくなる。
(4)凍害で劣化したコンクリートは、塩化ナトリウムが浸入し、細孔内のpHの上昇に伴って、アルカリシリカ反応が促進されることがある。
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正解(4)

(1)×:誤りです。凍結融解環境下では、コンクリートに塩化ナトリウムが供給されると、毛細管内における水の凝固点降下の影響等により未凍結水が増加します。
(2)×:誤りです。浸透圧の増加によって、凍害による、劣化の進行が促進されることがあります。
(3)×:誤りです。凍害で劣化したコンクリートには、塩化ナトリウムが浸入しやすくなります。
(4)〇:問題のとおりです。凍害で劣化したコンクリートは、凍結防止剤などの、塩化ナトリウムが浸入し、細孔内のpHの上昇に伴って、アルカリシリカ反応が促進されることがあります。

【問368_アルカリシリカ反応】

 コンクリート構造物のアルカリシリカ反応の調査に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)目視により、反応リム(骨材周辺部)の変色の有無を調べた。
(2)偏光顕微鏡により、骨材中の反応性鉱物の種類を調べた。
(3)蛍光顕微鏡により、骨材のSiO2(シリカ)の量を調べた。
(4)走査型電子顕微鏡(SEM)に付属の、エネルギー分散型X線分光器(EDS)により、白色ゲル状物質の化学成分を調べた。
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正解(3)

(1)〇:問題のとおりです。アルカリシリカ反応により、骨材周辺に白色のアルカリシリカゲルが生じるため、目視により、反応リム(骨材周辺部)の変色の有無を調べます。
(2)〇:問題のとおりです。アルカリシリカ反応性骨材の有無は、偏光顕微鏡を用いて骨材中の反応性鉱物の種類を調べます。
(3)×:誤りです。蛍光顕微鏡とは、従来の可視光を用いてサンプルに光を当てて拡大された画像を観察する顕微鏡に、さらに機能を追加したものです。蛍光顕微鏡は、より高強度の光源を使用して、小さなサンプルの特徴を画像化するため、微細なひび割れの調査などに使用されます。
(4)〇:問題のとおりです。アルカリシリカゲルの存在を確認するために、エネルギー分散型X線分光器により、白色ゲル状物質の化学成分を調べます。

【問369_アルカリシリカ反応】

 アルカリシリカ反応の調査に関する次の記述のうち、不適当なものはいくつあるか
(1)白色析出物が蒸留水に溶解した場合、エフロレッセンスやアルカリシリカゲルの可能性が高い。
(2)白色析出物が蒸留水に溶解した場合、硫酸塩劣化に伴う生成物である可能性が高くなる。
(3)白色析出物がアルカリシリカゲルであることを特定するためには、酢酸ウラニル蛍光法を用いる。
(4)白色析出物が硫酸塩劣化に伴う生成物であることを特定するためには、原子吸光光度計を用いる。
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正解(2つ)

(1)×:誤りです。エフロレッセンスやアルカリシリカゲルは、蒸留水には溶解しません。
(2)〇:問題のとおりです。白色析出物が蒸留水に溶解した場合、硫酸塩劣化に伴う生成物である可能性が高くなります。土壌から侵入した硫酸分が、コンクリート成分に作用し、硫酸塩を生成し、コンクリートの表面はく離が生じ、はく離か所へ白色析出物が生じる場合があります。
(3)〇:問題のとおりです。酢酸ウラニル溶液中のウラニルイオンは、アルカリシリカゲル中のアルカリイオンと置換する性質をもっており、そのウラニルイオンがコンクリート中のアルカリシリカゲルと置換されることで、アルカリシリカゲル部分が発光します。これにより、目視でアルカリシリカゲルの存在を確認することが出来ます。
(4)×:誤りです。原子吸光光度計は、試料を高温中で原子化して、そこに光を照射し、その吸収スペクトルを測定することで、試料中の元素の定量を行うものです。主に、塩化物イオン量の測定に用いられます。セメント系材料の、硫酸塩劣化を把握するためには、粉末X線回折装置を用いて、硫酸ナトリウムを検出します。X線回折は、試料にX線を照射し、試料に当たって反射したX線の回折角度で、原子配列のパターンを知ることができる原理を利用しています。主に、鉱物の同定に用いられます。

【問370_疲労】

 疲労により劣化が進行したRC床版の、内部の水平ひび割れの調査に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)RC床版の、内部の水平ひび割れの調査に電磁誘導法を用いた。
(2)RC床版の、内部の水平ひび割れの調査に超音波法を用いた。
(3)RC床版の、内部の水平ひび割れの調査に電磁波レーダー法を用いた。
(4)RC床版の、内部の水平ひび割れの調査のため、コア削孔内、壁面の観察を行った。
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正解(1)

(1)×:誤りです。電磁誘導法は、コイルに交流電流を流し、鉄筋径および鉄筋位置の探査、測定をする方法です。鉄筋径が大きいほど深い位置までの探査が可能で、かぶり厚さが薄いほど、測定精度が良くなります。コンクリート中の鉄筋位置、かぶり厚さ、鉄筋径および鉄筋以外の埋設金属も探査できます。
(2)〇:問題のとおりです。超音波法は、周波数が20kHz以上の超音波を使用し、発振子から、シリコングリスなどの接触剤を介して、弾性波を発射して、その反射波を、圧電素子を利用した振動子で検出する方法です。コンクリートに生じた、ひび割れの深さを推定するのに適しています。
(3)〇:問題のとおりです。電磁波レーダー法は、アンテナから電磁波をコンクリート表面に向けて放射すると、その電磁波が、コンクリートと電気的性質の異なる鉄筋や空洞、ひび等との境界面で反射され、再びコンクリート表面に出て受信アンテナに受信される仕組みです。この送信から受信に到るまでの時間から、反射物体までの距離、つまり、ひび割れの位置を推定することができます。
(4)〇:問題のとおりです。コアを削孔することで、内部のひび割れを目視確認することができます。
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